韓国の「イエス・ジャパン」現象について、「ノー・ジャパン」時代からの歴史を振り返りながら解説!

数年前の韓国では不買運動「ノー・ジャパン」が行われ、日本との関係性が悪化しました。それが現在では日本製品が多く買われ、日本に旅行しようという「イエス・ジャパン」現象が起きています。

180度違う現象が起きていることに、不思議と感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では日本と韓国の歴史から、日本ブームが再燃した理由について読み解いていきます。

韓国とはどんな国

韓国と日本との関係性を紐解く前に、まずは韓国の概要について簡単に紹介します。

韓国の概要

正式名称大韓民国(韓国は略称)
面積約10万平方km
人口約5,163万人
首都ソウル
公用語韓国語
宗教仏教・プロテスタント・カトリック
主要産業電気・電子機器、自動車、鉄鋼、石油化学、造船
主要貿易相手国輸出:中国、米国、ベトナム、香港、日本
輸入:中国、米国、日本、オーストラリア、サウジアラビア

2021年、韓国は国連貿易開発会議において先進国の仲間入りを果たしたように、世界のなかでも大きな市場に成長しています。世界進出を検討している企業にとって、近くて大きな市場は魅力的でしょう。

そこで韓国市場について理解を深めるために、韓国のGDPに注目してみます。

韓国GDPは世界13位

2022年の国別GDPランキングは以下のとおりです。

順位国名名目GDP
(億ドル)
順位国名名目GDP
(億ドル)
1位米国254,62711位ブラジル19,201
2位中国179,63212位オーストラリア16,754
3位日本42,31113位韓国16,652
4位ドイツ40,72214位メキシコ14,142
5位インド33,85115位スペイン13,975
6位英国30,70716位インドネシア13,191
7位フランス27,82917位サウジアラビア11,081
8位ロシア22,40418位オランダ9,911
9位カナダ21,39819位トルコ9,060
10位イタリア20,10420位スイス8,077
出典:外務省「主要経済指標

韓国は2021年の10位から3ランクダウンですが、K-POPなどの音楽や新しいトレンドの発信を通じてグローバルでも一目おかれています。

韓国の名目GDP推移

1980年から2022年までの韓国の名目GDP推移は、以下のグラフのとおりです。

参考:国連統計部(UNSD)

グラフより韓国の名目GDPは多少の波があるものの、全体的に右肩上がりの傾向にあることがわかります。

また、日本と韓国の1人あたりGDPの推移を比較したのが以下のグラフです。

参考:国連統計部(UNSD)

日本の1人あたり名目GDPは約30年間横ばいを続けているのに対して、韓国は右肩上がりに増えています。2027年には、韓国の1人あたり名目GDPが日本を上回るという試算もあるほどです。

名目GDP・1人あたり名目GDPの推移より、韓国は将来性のある市場といえるでしょう。

今までの韓国と日本の問題とは?

韓国と日本の間には様々な問題が山積しており、今でも解決できない状態が続いています。

韓国・日本の問題の一例

  • 慰安婦問題
  • 徴用工訴訟
  • 漁業問題
  • 日本海呼称問題
  • 竹島問題
  • 旭日旗問題

これらの問題がテレビやニュースなどで報道されるたびに、相手国への嫌悪・憎悪感情を引き出してしまい、さらに解決を難しくしています。

例えば、直近では慰安婦問題の解決に向けた「不可逆的な合意」が、韓国の一方的な不履行により形骸化し、「ゴールポストを動かされた」として日本人の嫌韓感情を引き起こしました。

慰安婦問題を筆頭に徴用工訴訟やGSOMIA破棄、レーダー照射問題など、2018年から2019年に立て続けに起きた問題により、過去最悪といわれるほど日韓の関係は冷え込んでいきます。

韓国での日本製品不買運動

韓国の日本製品不買運動は反日感情が高まるたびに起こるため、1965年の国交正常化から何度も行われています。韓国と日本の関係性を考えるうえで重要なポイントなので、本章では韓国の日本製品不買運動について詳しく解説します。

いつ:直近では2019年7月

直近では、過去最悪といわれるほど日韓関係が悪化した2019年に、大規模な日本製品不買運動が発生しました。きっかけは日本による韓国への輸出厳格化措置に対して、「けしからん」と韓国国民の反日感情が高まったことです。

韓国の至るところで「ノー・ジャパン」や「ボイコットジャパン」が叫ばれ、不買運動の対象となる日本企業のリストが韓国のインターネットに出回るといった事態にまで発展しました。

ターゲット:不買運動の対象となった製品

「ノー・ジャパン運動」では、日本産ビールや衣料品のユニクロがとくに不買運動の対象として嫌悪されました。これらの商品は値段が安く代替品を見つけやすい、身につけている人を糾弾しやすいといった特徴が挙げられます。

結果、ユニクロは韓国において旗艦店をはじめ、10店舗以上を閉店する状況にまで追い込まれました。

現在の「イエス・ジャパン」現象とは?

現在の韓国は「ノー・ジャパン運動」から一転し、「イエス・ジャパン」現象がみられています。

「イエス・ジャパン」現象とは日本アニメやJ-POPの大ヒット、日本文化の流行、日本語と韓国語を混ぜる「ハンボノ」と呼ばれる言葉の登場などです。

また「ノー・ジャパン運動」では日本旅行を避けられていたのに対して、現在は多くの韓国人が日本を訪問しています。2022年4月の訪日韓国人は88万8,000人で、「ゴージャパン」現象も起こっているのです。

なぜ、「イエス・ジャパン」現象が起こったのか?

「ノー・ジャパン」と「イエス・ジャパン」は正反対の現象なので、「なぜ風向きが変わったのか」と疑問に持つ方も多いはずです。

「イエス・ジャパン」現象が起きた要因は以下の3つが考えられます。

  • 政権交代
  • 反日疲れ
  • 日本証券市場ブーム

これら3つの要因は、現在の韓国について理解するために重要なポイントのため詳しく解説します。

理由①:政権交代

「イエス・ジャパン」現象が起きた要因の1つは政権交代です。

前政権の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は反日派として知られ、就任直後から慰安婦合意の見直しに向けて動きだすなど、日韓関係の悪化を招きました。そのようななか2022年3月に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が政権交代を果たします。

ユン・ソンニョル氏は前政権と異なり、「日本との関係改善を目標とする」と発言するなど、日韓関係の正常化に意欲を示している政権です。実際に2023年4月にユン・ソンニョル氏は、これまでの韓国による日本への謝罪要求の反省を表明し話題になっています。

つまり政権交代によって、前政権下で難しかった親日的行動がしやすくなり、未来志向で日韓関係の改善を望む若者らが日本ブームに火をつけたのです。

理由②:長く続いた「反日疲れ」

「イエス・ジャパン」現象が起きた要因として、「反日疲れ」が挙げられます。

文政権下では「ノー・ジャパン運動」に代表されるように、反日の空気が充満していました。そのような「反日」の姿勢に疲れた若者たちを中心に、歴史問題は課題としつつも、互いの発展に向けて協力しあうべきとの考えが広まっているのです。

その証拠に、韓国の全国経済人連合会が実施した調査では、74.9%の人が「韓国政府と日本政府が両国の関係改善のために努力する必要がある」と回答しています。

理由③:韓国での日本証券市場ブーム 

「イエス・ジャパン」現象の1つとして、「バイジャパン」現象が起きています。

「バイジャパン」現象とは、韓国投資家による日本証券市場ブームのことです。例えば、長期的な円安や日本の金融緩和政策のため、為替差益を狙った投資方法に人気があります。

また「投資の神様」と称えられるウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、日本の5大商社の持分を高めていると判明したことも、韓国人投資家による「バイジャパン」を加速させている要因です。

このように日本は投資先としても、韓国から熱い視線が注がれているのです。

まとめ

本記事では日本と韓国の関係性や日本製品の不買運動を振り返りながら、現在の「イエス・ジャパン」現象について解説しました。

韓国に進出を検討している企業は、親日感情が高まっている今、韓国市場参入は絶好のチャンスです。韓国をはじめ、海外進出を検討している企業様はぜひプルーヴ株式会社にご相談ください。

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