インドにおける動画配信サービスの課金モデル別事業性検証

インドにおける動画配信サービスの課金モデル別事業性検証

業界 : コンテンツ配信
対象国・地域 : インド

クライアントはスポーツ動画コンテンツの配信ライセンスを有しており、同動画コンテンツでインド市場への展開を計画していました。しかし動画配信における課金方式には、複数の手段があります。どの手段を用いるかでアプローチ可能な消費者数が異なるため、適切な手段の選択が課題でした。そこでプルーヴはインド進出へ向けて、動画配信・課金方式に関する手段の洗い出しを行い、現地先行企業調査及び消費者調査を通じて、各手段採択時の期待収益を試算しました。結果、クライアントはインドの消費者に幅広くアプローチできる課金方式を採択し、事業構築に向けた具体的な方針の決定につながっています。

課題

クライアントが権利を持つスポーツ動画コンテンツは、インドにおいて人気が高いと調査済みでした。しかし、どのような配信方法・課金方式にすべきかの決定に苦慮していました。

先進国であれば動画コンテンツへの支出に一定程度の許容性がありますが、発展途上国では支出可能額が低くなる懸念があるためです。従い、以下の配信方法の選択によって、アプローチできる顧客層と期待収益が異なり、配信方法の決定は事業に大きく影響するためです。

  • 月額定額配信
  • 広告込み無料配信
  • コンテンツ単位で課金を行うPPV配信

クライアントではインドの商習慣に精通した消費者調査を通じて、事業性検証を行うための社内体制が不足しており、これらの検証を外部委託することに決めます。そこで配信方法の決定を目的として、「インドの消費者調査及び調査を通じた事業性検証に豊富な実績」のあるプルーヴに依頼されました。

支援内容

プルーヴがクライアントに対して行った支援内容は以下のとおりです。

  1. インドにおける動画配信サービスの体系整理
  2. 各動画配信サービスの利用者数や収益性の把握
  3. 定量調査を通じた動画コンテンツへの課金状況の把握
  4. クライアントが権利を有する動画の価格需要性の分析
  5. 調査結果を通じた事業性及び各手法に関する期待収益の推計

支援として、まずはインド国内の既存動画配信サービス事業者を特定しました。次に各課金手法におけるアプローチ可能な顧客数を定量調査や価格需要性を加味したうえで、市場規模をTAM/SAM/SOMにわけて推計しました。

この事例の支援で気を付けたポイントは、異なる進出手法に対し、同条件に揃えて期待収益を試算したことです。

またインドは発展途上国で若年層人口が多いことから、現在の市場規模だけではなく、将来へ向けた各配信手法の成長カーブを推計したのもポイントです。

さらに既存動画配信サービスの体系化及び収益性の実態把握において、非上場企業の場合は情報源が限定的になります。そこで弊社ネットワークを活用し、現地業界関係者へのインタビューを行い、既存動画配信サービスの現状の収益性を把握したのも支援のポイントです。

これらにより、プルーヴの以下の強みを生かせた事例といえるでしょう。

  • 多種多様な業界の支援実績を基に、海外事業の成功・成長へ向けた引き出し(オプション出し)を行えること
  • 事業性検証に向けた現地での情報収集のノウハウ・ネットワークが豊富であること

結果

異なる配信手法に対して、収益可能性を比較分析できるようにクライアント企業視点で調査を行った結果、インド進出に向けて動画配信・課金方式の意思決定ができました。

現在は、事業構築へ向け現地合弁企業とともにサービス開発を行う段階に進んでいます。

クライアントからは「インド国内の情報収集は自社のみで行えず、PROVEと協働したことにより納得感のある意思決定ができた」と評価をいただいております。

最後に支援を振り返ってみて、「海外進出は国内事業の横展開ではなく、現地経済環境や商習慣、消費者志向に応じてビジネスモデル自体を再考する必要がある」ということを再認識できました。