
調査で用いられる手法には、大きく分けて「定性調査」と「定量調査」の2種類があります。名前が似ているため混同しやすく、「今さら意味を聞きづらい」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、両者の違いを正しく理解することは消費者調査を行う上で欠かせません。本記事では定性調査と定量調査の違いやメリット・デメリット、使い分け方についてわかりやすく解説します。
定性調査と定量調査とは
定性調査とは、感情や行動、価値観など、数値では捉えにくい要素を把握するための調査手法です。主な方法としては、インタビューや行動観察などが挙げられます。
一方、定量調査は、割合・回数・金額といった数値化できるデータを収集し分析する調査手法です。例えば、アンケートで5段階評価の選択肢から回答してもらう方法が該当します。得られた回答を分析することで、「顧客満足度〇%」のように、結果を客観的な数値として示せるのが特徴です。
定性調査と定量調査の違い

定性調査と定量調査の違いは、簡単に言えば、調査結果を数値として分析できるかどうかです。ただし、両者の違いはそれだけではありません。調査の目的や手法、データ・サンプル数、分析方法などにも違いがあります。ここでは、4つの視点から定性調査と定量調査の違いをわかりやすく解説します。
目的の違い
定性調査の目的は、対象者の心理や感情、行動の背景を深く理解することです。「なぜこの機能が使われていないのか」「実際にはどのように製品を使っているのか」といった、数値だけでは見えてこない理由や実態を明らかにするのに活用されています。
一方、定量調査の目的は立てた仮説を数値によって検証することです。数値は基準を設定しやすく、客観性や説得力が高いという特長があります。そのため、仮説の妥当性の確認に加え、数値を根拠とした経営判断や意思決定に活用されています。
手法の違い
定性調査では、対象者の考えや行動を深く理解するため、対話や観察を中心とした手法が用いられます。主な調査手法の種類は以下のとおりです。
■定性調査の種類
・グループインタビュー
・デプスインタビュー
・行動観察調査
一方、定量調査では多くの対象者から同一の質問を行い、数値として分析する手法が用いられます。代表的な調査方法は以下のとおりです。
■定量調査の種類
・アンケート
・街頭調査
・電話調査
データ・サンプル数の違い
定性調査で得られるデータは、対象者の発言内容や行動を記録した文章や映像が中心です。1つひとつのデータが持つ情報量が多いため、調査対象者は少人数になるのが一般的です。サンプル数よりも内容の深さが重視されます。
一方、定量調査で得られるデータは、数値として集計・分析しやすい点が特徴です。統計的な信頼性を確保するため、サンプル数は多くなる傾向があります。
分析方法の違い
定性調査の分析は、記録を分類・整理しながら、背景にある考え方や行動パターンを抽出していくのが特徴です。
一方、定量調査では、収集したデータを集計・比較し統計的に分析します。平均値や割合、分布などを用いることで、傾向や差異を客観的に把握できます。分析結果を数値やグラフで示せるため、関係者と共有しやすい点も特長です。
定性調査と定量調査の違いをまとめると以下のとおりです。
| 項目 | 定性調査 | 定量調査 |
| 目的 | 対象者の心理・感情・行動を理解する | 仮説を数値で検証する |
| 主な調査手法 | ・グループインタビュー ・デプスインタビュー ・行動観察調査 | ・アンケート ・街頭調査 ・電話調査 |
| データの性質 | 非数値データが中心 | 数値データが中心 |
| サンプル数 | 少ない | 多い |
| 分析方法 | データを分類・整理し、背景やパターンを読み解く | データを統計的に分析する |
定性調査と定量調査のメリット・デメリット
定性調査と定量調査は、どちらか一方が優れているわけではありません。調査の目的に応じて使い分けることが重要です。そのためにも両者のメリット・デメリットの違いを押さえておきましょう。
| 項目 | 定性調査 | 定量調査 |
| メリット | ・心理や感情を深く理解できる ・課題やニーズを発見しやすい ・リアルな反応を確認できる ・アイデア創出につながりやすい | ・結果を数値で示せる ・客観性と説得力が高い ・分析がしやすい ・意思決定に活用しやすい |
| デメリット | ・調査や分析に時間がかかる ・サンプル数が少なく情報が偏りやすい | ・数値を読み解く力が必要になる ・質問票以上のことを深掘りしにくい |
これらの違いを押さえておくことは、マーケティング調査や消費者調査を設計する上での基礎的な知識と言えます。
定性調査と定量調査の使い分け方

ここでは、使い分け方をイメージしやすいように、海外消費者調査を行う場合を例に定性調査と定量調査の活用方法を紹介します。
定性調査:現地消費者の価値観・行動背景を理解する
海外消費者調査における定性調査は、現地消費者の価値観や行動の背景を把握する上で有効です。海外市場では、文化や生活習慣が日本と異なるため、日本市場の前提がそのまま通用しないケースも少なくありません。こうした違いを理解しないまま事業を展開すると、失敗のリスクが高まります。
そこで役立つのが定性調査です。
現地インタビューや行動観察を通じて、「なぜその商品が選ばれているのか」「実際にどのように使われているのか」を分析します。こうした調査によって、表面的な数値だけでは見えない示唆を得ることができ、海外事業の戦略の精度を高められます。
定量調査:市場規模や需要を数値で把握する
海外消費者調査における定量調査は、市場規模や需要の大きさを数値で把握する上で有効です。海外市場では、国や地域によって人口構成や購買力、市場規模が異なります。そのため、一部の消費者の声だけをもとに判断すると、実際の需要を過大または過小に見積もってしまう可能性があります。
そこで役立つのが定量調査です。
調査を通じて、購買意向や利用頻度、想定価格帯などを数値として集計・分析します。これにより、市場規模や需要を把握でき、海外事業における意思決定の精度を高めることができます。
定性調査と定量調査を組み合わせる
海外消費者調査では、定性調査または定量調査のどちらか一方だけで現地市場を十分に理解することは困難です。そこで有効なのは、両者を組み合わせて活用する方法です。例えば、定性調査によって課題を発見したりアイデアを創出したりした上で、その仮説を定量調査で検証します。このように調査手法を組み合わせると、それぞれのメリットを取り入れられるため、海外事業の成功確率を高められます。
定性調査・定量調査を活用する際の注意点
定性調査と定量調査は、活用する際の注意点も異なります。そこで、両者の注意点を比較して整理します。
■定性調査を行う際の注意点
・対象者の選定が必要
・分析者の解釈や経験によって、結果が左右されやすい
■定量調査を行う際の注意点
・表面的な回答を得やすい
・データ分析の知識やスキルが必要
こうした注意点を踏まえ、調査方法を選定することが重要です。また、消費者調査では専門的な知見が求められる場面も多いため、外部のコンサルティングサービスの利用も検討しましょう。専門企業に委託することで、調査設計や分析の精度向上が期待できます。
定性調査・定量調査の違いを海外ユーザー調査に生かそう
定性調査と定量調査の違いを理解し、目的に応じて使い分けることで調査の質は大きく向上します。特に海外消費者調査では、高い精度の調査が求められます。違いを正しく理解し、実務に生かしていきましょう。
一方で、海外消費者調査には、次のような課題が生じやすいのも事実です。
・調査方法の選定が難しい
・専門的な知見を持つ人材を確保できない
・現地のネットワークが不足している
プルーヴでは、こうした海外事業特有の課題に対し、各種支援を提供しています。海外消費者調査や海外市場への展開をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

