
海外進出や新規事業を検討する際には、市場規模や顧客ニーズ、競合動向などの情報が不可欠です。しかし、検討段階にある全ての案について現地調査を行うのは、時間やコストの面から現実的とは言えないでしょう。そこで有効なのは、デスクリサーチです。本記事では、事業の立ち上げを検討されているご担当者様に向けて、デスクリサーチの基本的なやり方と、海外市場調査を成功させるためのコツをわかりやすく解説します。
デスクリサーチとは
デスクリサーチとは、インターネット上の情報や公表資料、統計データ、書籍・論文などから必要な情報を収集・分析する調査手法です。「デスクトップリサーチ」や「二次調査」と呼ばれることもあります。
現地でのインタビューやアンケート調査といった一次調査と比べ、短期間かつ低コストで実施できる点が特徴です。そのため、海外市場調査や新規事業の検討段階において、広く活用されています。
海外市場調査におけるデスクリサーチの重要性
デスクリサーチは、海外市場調査において特に重要な役割を果たします。調査にかかるコストや時間を抑えながら、市場規模や成長性、競合状況などを効率的に把握できるためです。また、複数の事業案を並行して比較・検討できる点もメリットと言えるでしょう。
さらに、調査結果をレポートとしてまとめることで、経営層やプロジェクトメンバーへの説明資料として活用できます。客観的なデータに基づく資料は、意思決定や合意形成を円滑に進めるのに役立ちます。
このような理由から海外市場調査では、いきなり現地調査を行うのではなく、まずデスクリサーチによって事業案を選別することが重要です。
デスクリサーチのやり方

デスクリサーチを効果的に進めるには、基本的な手順に沿って実施することが重要です。ここでは、デスクリサーチのやり方を5つの手順で解説します。
手順① リサーチの目的を明確にする
最初の手順は、リサーチの目的を明確にすることです。例えば、次のような目的が考えられます。
- 進出を検討している地域の市場規模を把握する
- 進出予定地域のユーザー特性を理解する
- 商品やサービスに十分な需要があるかを確認する
- 競合他社が近隣にどの程度存在するかを調査する
このように目的を明確にすることで、不必要な情報の収集に時間を費やすことを防げます。また、意思決定に役立つ調査につながりやすいのも目的を設定するメリットです。
手順② 仮説を立てる
仮説とは、調査前の段階で予想される結論や方向性を仮定することです。例えば、次のとおりです。
- 若者を中心に需要があるのではないか
- 競合企業は存在するものの、機能で差別化の余地があるのではないか
- 地方ではまだ競争が少ないのではないか
あらかじめ仮説を立てることで、どのような調査が必要なのかが定まり、効率的に情報を収集できます。
手順③ 調査項目をリストアップする
仮説は、必ずしも正しいとは限りません。重要なのは、仮説を検証するためのデータを収集し、真偽を確かめることです。そこで、検証に必要な調査項目を洗い出します。
- 市場規模
- 成長性
- 顧客属性
- 競合企業
- 法規制
このような調査項目を事前にリストアップしておくことで、抜け漏れを防げます。
手順④ 情報を収集する
洗い出した調査項目に沿って、情報を収集します。主な情報の収集先は以下のとおりです。
- インターネット検索
- 企業や公的機関のWebサイト
- 統計データ
- 書籍
- 業界専門誌
これらの情報源を目的に応じて使い分け、複数の資料を照らし合わせながら収集することで、情報の偏りや誤りを防げます。
手順⑤ 収集したデータを検証し、レポートにまとめる
収集した情報の信頼性や整合性を確認した上で、調査結果をレポートにまとめます。仮説の検証結果を踏まえ、結論とその根拠をまとめることで、経営判断や社内共有に活用できる資料となります。
海外市場調査のデスクリサーチを成功させるコツ

海外市場調査でデスクリサーチを効果的に進めるには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。ここでは、調査を成功につなげるための4つのコツを紹介します。
一次情報を使用する
デスクリサーチでは、情報の信頼性が非常に重要です。そのため、可能な限り一次情報を優先して活用することが求められます。
一次情報とは、統計データや企業の公式発表、業界団体のレポートなど、情報の発信元が明確で加工されていない情報です。一方、一次情報をもとに編集・要約・再配布されたものは二次情報と呼びます。
情報の信憑性は基本的に一次情報の方が高いため、できる限り一次情報を活用しましょう。
情報の鮮度を確認する
海外市場に関するデータは、入手できる情報量が限られており、見つかった場合でも内容が古いケースがあります。古い情報は、現況を正しく反映していない可能性があるため注意が必要です。調査を行う際は、できる限り最新の一次情報を収集するよう心がけましょう。
AIを活用する
AIツールを活用することで、デスクリサーチの効率を高めることもできます。大量の情報を要約したり、複数の資料を比較したりするのに役立つためです。特に海外市場調査では、言語の壁により現地の情報を探し出すのが難しいケースも少なくありません。そのような場合でも、AIツールは必要な情報を素早く見つけてくれます。
ただし、AIが出力した内容には誤りが含まれる可能性もあります。AIを使用する際は、必ず一次情報を確認し、情報の正確性を検証した上で活用することが重要です。
専門業者へ委託する
社内リソースが限られている場合や、専門的な知見が求められる場合には、デスクリサーチを専門業者へ委託するのも有効な選択肢です。調査会社やコンサルティング会社に依頼することで、効率的かつ精度の高い調査結果が期待できます。自社での実施に不安がある場合は、外部への委託も検討しましょう。
自社でデスクリサーチをするメリット・デメリット
デスクリサーチは、大きく分けて「自社で実施する方法」と「外部企業に委託する方法」の2つがあります。インターネット環境があれば手軽に取り組めるように思われがちですが、自社で行う場合にはメリットだけでなくデメリットも存在します。そのため、実施方法を検討する際は、メリット・デメリットについて押さえておくことが大切です。
- 自社でデスクリサーチをするメリット
自社でデスクリサーチを行うメリットは、コストを抑えられる点です。外部に委託する場合と比べて、調査費用を削減できます。また、自社の事業内容や課題を理解している担当者が調査を行うことで、調査結果を実務に落とし込みやすい点もメリットです。さらに、調査の進め方やスケジュールを柔軟に調整できるため、意思決定までのスピードを高めやすい点もメリットと言えるでしょう。
- 自社でデスクリサーチをするデメリット
一方で、自社でデスクリサーチを行う場合には、いくつかの注意点があります。まず、担当者の負担が大きくなりやすく、本来の業務に支障をきたす可能性がある点です。また、調査経験や専門知識が不足している場合、情報の見落としや分析の偏りが生じる可能性があります。さらに、海外市場調査では言語や文化が壁となり、情報収集に時間がかかるケースもあります。調査の精度や客観性が求められる場面では、限界を感じることもあるでしょう。
デスクリサーチを行う際は、自社で行うメリットとデメリットの両面を理解した上で、必要に応じて外部に委託することも大切です。
デスクリサーチで事業の精度を高めよう
デスクリサーチは、海外進出や新規事業の事業案を検討する際に有効な調査手法です。時間とコストを押さえつつ、事業案の精度を高められるためです。海外進出、あるいは新規事業の立ち上げを検討しているご担当者様は、この機会にデスクリサーチに取り組んでみてはいかがでしょうか。
社内リソースが不足している場合や、正確な情報を収集できるか不安な場合は、プルーヴにお任せください。これまで数多くの海外進出や海外事業展開を支援してきた経験を生かし、目的に応じた各種調査をサポートします。
