
世界経済の先行きに不透明感が高まる中、新たな成長市場として存在感を強めているのがインドです。高い経済成長率や世界最大の人口、内需の拡大などを背景に海外進出先として注目を集めています。そこで本記事では、2026年2月時点の最新情報をもとに、インド経済の現状から今後の展望までをわかりやすく解説します。
インド経済の現状
まずは、インド経済の現状について把握するために、基本情報を紹介します。
インドの基本情報
| 人口 | 14億5,094万人(2024年世銀資料) |
| 首都 | ニューデリー |
| 名目GDP | 3兆9,127億ドル(2024年:世銀資料) |
| GDP成長率 | 6.5%(2024年:インド政府発表) |
| 一人当たりGDP | 2,697ドル(2024年:世銀資料) |
| 主要産業 | 農業、工業、IT産業 |
引用:外務省「インド基礎データ」
インドの名目GDPは、日本に次ぐ世界第5位の規模を誇り、高い経済成長率を維持しています。
また、インドは高度なIT人材が豊富であることから、世界中の企業にとって有力なアウトソーシング先です。実際、1,700社以上の海外企業がインドにグローバル・ケイパビリティー・センター(GCC)を設置しています。GCCとは、IT・ソフトウェア開発やコールセンター、バックオフィス業務などを担う拠点です。
さらに人口は14億人を超え、中国を抜いて世界最多となりました。この巨大な人口を背景に、インドは労働力が豊富な生産拠点や成長著しい消費市場として注目されています。以下の輸入貿易額の推移からもインドの消費市場の拡大が伺えます。

参考:外務省「インド基礎データ」
インド経済の今後の展望
ここでは、今後のインド経済の方向性について、経済成長率・GDP・人口の3つの視点から解説します。
2026年の経済成長率
インド政府の見通しでは、2025年度の経済成長率は7.4%。2026年度は6.8~7.2%と予想されています。つまり、2026年度は2025年度と比べてやや成長が鈍化する見込みです。ただし、6%台後半~7%台という水準は、世界的に見ても依然として高い成長率で、インド経済の堅調さを示しています。
参考:Reuters「インド政府、来年度成長率6.8─7.2%と予測 不透明感が重し」
GDP予測:2027年には世界3位の経済大国へ
インドの名目GDPは、2025年時点で日本に次ぐ世界第5位です。しかし、今後も持続的な拡大が見込まれており、2026年には日本を上回り、さらに2027年にはドイツを抜いて世界第3位になると予測されています。つまり、インドはアメリカ、中国に次ぐ「世界第3位の経済大国」としての地位を確立する見込みです。このような変化は、インド経済の国際的な影響力が一段と高まることを意味します。
人口のピークは2063年頃
インドの強みは、14億人を超える圧倒的な人口規模にあります。すでに世界最多の人口を有していますが、今後も増加を続けると見込まれています。ピークは2063年頃に約17億人に達すると予測されており、その後も2100年時点で15億人以上を維持する見込みです。
一方、第2位の中国はすでに人口減少局面に入っており、2100年には約7億人まで縮小する見込みです。また、第3位のアメリカの人口は3億人規模にとどまり、インドとの差が大きく開いています。こうした人口動態を踏まえると、インドは今後長期にわたり「世界最大の人口を持つ国」となる可能性が高いと言えます。
インド市場が世界から注目される背景

ここからは、インド市場が世界中の企業から注目される背景について解説します。
人口ボーナス
インド市場が世界から注目される大きな理由の一つは、人口ボーナス期に突入している点です。
人口ボーナスとは、子どもや高齢者といった従属人口(14歳以下・65歳以上)に対して、生産年齢人口(15〜64歳)の割合が2倍以上の状態を指します。この時期は労働力が豊富になり、消費も拡大しやすいため、経済成長が加速しやすいとされています。
実際に、日本や中国なども、この人口ボーナス期に急速な経済発展を遂げてきました。
インドは2019年頃からこの人口ボーナス期に入り、今後20年以上にわたって続くと見込まれています。これは、労働力と消費の両面で成長を支える基盤が続くことを意味します。こうした背景から、インドは「次の成長市場」として世界中の企業や投資家から注目されているのです。
高い経済成長率
インドの経済成長率は、2021年以降一貫して5%以上、直近では6%以上の高水準を維持しています。一方で、2025年の日本の経済成長率は1.2%、世界平均でも3.3%にとどまる見込みです。つまり、インド経済は世界平均を上回るスピードで拡大を続けており、それに伴い消費市場としての魅力も一段と高まっています。
内需の拡大
インドでは、経済成長を背景に中間所得者層の拡大が急速に進んでいます。※ここでは、年間可処分所得が5,000~35,000ドルの層を中間所得者層と定義します。
AAIAのデータによると、2020年時点で全体の53.2%だった中間所得者層は、2030年には71.6%まで拡大する見込みです。さらに注目すべきは富裕層の増加です。年間可処分所得が35,000ドル以上の富裕層は、1.3%から10.9%へと大幅に拡大すると予測されています。
つまり、富裕層は10倍以上に増加する計算となり、購買力の高い消費者が急増することになります。このような変化は、インドの内需を大きく押し上げる要因です。企業にとっては、新たな需要を取り込むビジネスチャンスと言えるでしょう。
参考:AAIC「大きな成長ポテンシャルを取り込む!「アジアの大国インドの近年の動向」」
中国に代わる生産拠点
米中関係の悪化や関税政策の影響により、企業の間ではサプライチェーンの見直しが進んでいます。これまで中国に集中していた生産拠点を分散させる動きが広がる中、次の有力な移転先として期待されているのがインドです。その理由は次のとおりです。
- 豊富で若い労働力
- 低水準の人件費
加えて、インド政府は「Make in India(メーク・イン・インディア)」政策を掲げ、海外企業の誘致を積極的に推進しています。こうした要素が重なり、インドは中国に代わる生産拠点として注目されています。
進むインフラ整備
インドでは、経済成長を支える基盤としてインフラ整備が積極的に進められています。2026年度の予算案では、インフラ関連に約12兆2182億ルピー(約20兆5000億円)が計上され、大規模な投資が計画されています。こうした政策は、企業にとって参入障壁を下げる要因です。物流の効率化や電力供給の安定化が進むことで、事業運営がしやすくなるためです。インフラ整備の進展により、インドは海外企業にとってより参入しやすい市場へ変化していると言えるでしょう。
地方都市の急成長
インドの都市は、人口規模に応じて「Tier(ティア)1〜4」に分類されています。区分は以下のとおりです。
Tier1:人口400万人超
Tier2:人口100万人超〜400万人以下
Tier3:人口50万人超〜100万人以下
Tier4:人口50万人以下
Tier1には、ニューデリーやムンバイ、バンガロールなどの主要都市が含まれ、全国で8都市あります。一方、Tier2都市は33都市にのぼります。
近年、特に注目されているのはTier2都市の急成長です。経済発展や消費の拡大が著しく、新たなビジネス拠点として存在感を強めています。この背景には、政府がTier2都市への投資を積極的に促進していることが挙げられます。
インド市場のリスク要因

成長が期待されるインド市場ですが、以下のようなリスク要因もあります。進出する際は、これらの点についても検討が必要です。
- 制度・規制の複雑さ
インドでは、州ごとに法規制や制度が異なり、許認可の手続きも一様ではありません。さらに、頻繁に行われる制度変更への対応も求められるため、常に最新情報を把握する必要があります。
- 離職率の高さ
インド人は離職率が高いことで知られています。これは、より良い待遇やキャリア機会を求めて転職する傾向が強いためです。産業や職種によっては優秀な人材の確保が課題になるケースがあります。
こうしたリスクを適切にコントロールしながらビジネスチャンスを捉えるには、事前の海外市場調査や法規制の把握、そして信頼できる現地パートナーの選定が重要です。
インド進出で成功するには事前調査が鍵
インド経済は、世界最多の人口と高い経済成長率を背景に、今後さらなる発展が期待されています。近年では、GCCの設置を通じてアウトソーシング先として活用する企業も増えており、IT分野の高度人材を生かしたビジネス展開も活発化しています。海外進出先として、有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
一方で、制度や規制の複雑さ、離職率の高さといったリスクがある点にも注意が必要です。こうした不確実性に対応するためには、事前の海外市場調査や法規制の把握が欠かせません。
PROVEでは、海外事業のパートナーとして各種調査を通じ、事業推進や意思決定を力強く支援しています。インド市場への進出をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
