
中国上海において日系FMCG商材の受容性調査を実施し、消費者複数名へのデプスインタビューを行いました。この調査は、2019年以来約5年ぶりの現地渡航となり、コロナ後の中国経済の変化を直接観察する機会となりました。
上海市では、2025年の消費拡大に向けて様々な施策を展開しており、商品消費の買い換え活動やサービス消費の質向上、新型消費促進などを通じて経済の活性化を図っています。しかしながら、現地の方々からは依然として仕事を見つけることの困難さや消費を控える傾向があるという声が聞かれました。実際に週末に繁華街(静安寺)を視察してみましたが、コロナ前と比べ明らかに人通りが減少した感覚がありました。

一方、外食の価格上昇が顕著でした。1食あたり20〜30元(日本円で約400〜600円)程度まで上昇しており、10年前であれば同じメニューが約半分の10~15元(日本円で約200〜300円)程度で購入できていました。中国では文化的に外食が多く自炊が少ない為、家計への影響も大きいと考えられます。
今回の調査対象となったFMCG商材は、ブランド価値が強く影響する嗜好品的要素の強い商品です。依然としてブランドに対する興味は強い一方、消費者はより理性的に商品を選ぶ傾向が強まっていました。具体的には、優先度の高いケアには費用を割く(高い海外商品も買う)一方で、優先度の低い領域に関しては必ずしも海外商品を選択しないという傾向が見られました。また、衝動買いも控えるようになったようです。

上記の内容は、2024年頃に中国人消費者の間で広がっていた「消費降級(消費ダウングレード)」という概念と合致します。可処分所得が減少した分、より理性的な購買行動に変化していると見られます。中国市場は世界でも有数の規模ですが、各企業の顧客獲得競争は一層激しくなることが窺えました。日系企業としてもシェアを拡大していくのがより難しい市場へ変貌していくであろうと推察できます。