Exorとはどんな企業?イタリア財閥のアニェッリ家の持株会社を解説

イタリアは輸出規模を拡大しており、近年では世界有数の輸出国の一つとなっています。こうしたイタリア企業を象徴する存在の一つが、高級スポーツカーで知られるFerrari(フェラーリ)です。

Ferrariの大株主は、イタリア財閥のアニェッリ家で、その資産を管理・運営しているのが同家の投資持株会社Exor(エクソール)です。ExorはFerrariのほか、オランダのStellantis(ステランティス)やPhilips(フィリップス)にも出資しており、世界有数の投資持株会社として知られています。本記事では、Exorの会社概要や運用状況、主要関連企業についてわかりやすく解説します。

Exorとはどんな会社?

出典:Exor

Exorは、世界有数の投資持株会社です。自動車や産業機械、ラグジュアリー、メディア、ヘルスケアなど幅広い分野の企業に投資し、世界的な事業ポートフォリオを構築しています。設立当初はイタリア・トリノに本社を構えていましたが、2016年にオランダ・アムステルダムへ移転しています。

会社概要

Exorの会社概要は以下のとおりです。

企業名Exor N.V.
本社オランダ・アムステルダム
設立2009年
総資産価値(GAV)425億ユーロ(2024年12月31日時点)
純資産価値(NAV)382億ユーロ(2024年12月31日時点)
従業員数23名(2024年12月31日時点)

同社の総資産価値の87.5%は、世界の上場企業・非上場企業への投資によるものです。

歴史

Exorの歴史は、19世紀末にさかのぼります。1899年、実業家のジョヴァンニ・アニェッリ氏が自動車メーカーのFIAT(フィアット)を創業。その後、数十年をかけてグローバル企業に成長させるとともに、新産業への投資を積極的に行いました。

1927年には、持株会社IFIを設立。自動車や食品、消費財、金融、航空などの幅広い企業を傘下に収めて事業の多角化を進めました。戦後は企業買収と国際投資を通じて事業を拡大。1969年にはレーシングカー企業家のエンツォ・フェラーリ氏と提携し、後に世界的ブランドとなるFerrariとの関係が始まりました。

2000年代以降はグループ再編を進め、2009年に設立されたExorは、アニェッリ家の中核の投資持株会社として位置付けられました。2021年にはStellantis(ステランティス)の筆頭株主となり、近年はヘルスケア分野への投資も拡大しています。こうしてExorは、1世紀以上にわたりアニェッリ家の投資哲学を受け継ぎながら、世界的な投資持株会社へと発展してきました。

経営理念

Exorの経営理念は、以下の4つの価値観に集約されています。

1. 野心と謙虚さ

高い目標を掲げながらも地に足をつけていること。

2. 好奇心と集中力

重要な課題を優先しながら、新しいアイデアを追求すること。

3. 忍耐力と意欲

長期的視点を持ちながら、粘り強く取り組むこと。

4. 勇気と責任

結果を意識しながら大胆に行動すること。

こうした価値観の根底には、創業者であるジョヴァンニ・アニェッリ氏の理念があります。未来を見据え、新しい挑戦を恐れないという精神は、現在もExorの方向性を示す重要な指針となっています。

Exorの運用状況

Exorの資産の運用状況として、総資産価値の推移を紹介します。

参考:Exor「Net AssetValue (NAV)

Exorの総資産価値は、過去15年間で約6倍に拡大しました。短期的には減少が見られるものの、長期的には成長を続けており、同社の投資戦略が持続的に成果を上げていることが伺えます。

Exorの投資ポートフォリオと主要関連企業

Exorが成長を続けている背景は投資戦略にあります。投資戦略の参考となるように、ここでは同社の投資ポートフォリオの構成について解説します。

参考:Exor「Net Asset Value (NAV)

Exorの投資ポートフォリオは、上場企業を中心に構成されています。特に総資産価値に占める割合が大きい主要企業は次の4社です。

  • Ferrari:43.2%
  • Stellantis:13.3%
  • Philips:9.5%
  • CNH Industrial:9.4%

この4社でポートフォリオ全体の75.4%を占めており、Exorの総資産価値の大半はこれら主要企業によって構成されています。なお、「Lingotto(リンゴット)」とは、Exorが全額出資する独立系投資運用会社のことです。ここからは上位4社の事業内容について解説します。

Ferrari(フェラーリ)

出典:Exor「Ferrari

Ferrariは、イタリアを代表する高級スポーツカーメーカーです。高性能スポーツカーの設計・開発・製造・販売を中心に事業を展開しており、卓越した走行性能や革新的な技術、ラグジュアリーなデザインからイタリアを象徴する高級ブランドとして知られています。現在は60以上の市場で事業を展開し、世界各地に販売拠点を持つグローバル企業です。ExorにとってFerrariは最大の投資先で、同社の資産価値を支える中核企業となっています。

Stellantis(ステランティス)

出典:Exor「Stellantis

Stellantisは、オランダ・アムステルダムに本社を置く、世界有数の自動車メーカーです。現在は130以上の市場で事業を展開し、2024年には約560万台の車両を販売しました。FIAT、Jeep、PEUGEOT、Maseratiなど多様なブランドを傘下に持っています。Exorは同社の筆頭株主であり、グループの中核投資先の一つです。

Philips(フィリップス)

出典:Exor「Philips

Philipsは、オランダ・アムステルダムに本社を置く世界的なヘルステクノロジー企業です。一般消費者向け製品と病院や医療従事者向け製品を提供しており、画像診断装置や超音波診断、モニタリングなどの分野で高い競争力を持っています。100カ国以上で事業を展開しており、Exorにとってヘルスケア領域の重要な投資先です。

CNH Industrial(CNHインダストリアル)

出典:Exor「CNH

CNH Industrialは、イギリス・ロンドンに本社を構える農業機械や建設機械に特化した産業機械メーカーです。世界約180カ国で事業を展開しています。主要ブランドにはCase IHやNew Hollandなどがあり、農業の効率化や建設業界の生産性向上に貢献する機器・ソリューションを提供しています。

Exorの投資戦略

Exorは、将来性が高く、同社の参画によって成長を加速できる企業への投資機会を積極的に探しています。特徴的なのは、企業間のシナジー効果を目的として投資先を選ぶのではなく、それぞれの企業が独立して優れた価値を生み出せるかという観点を重視している点です。投資候補となる企業は、主に次の3つの視点から評価されます。

  • 理解:事業内容を十分に理解できる企業にのみ投資する。
  • 人材:企業価値を生み出すのは人であり、才能だけでなく行動や文化的な適合性も重視する。
  • 価値:価格の安さだけでなく、潜在的な価値に基づいて投資判断を行う。

またExorは、将来の成長機会として以下の3つの領域に注目しています。

  • ヘルスケア
  • ラグジュアリー
  • テクノロジー

ただし、これらの分野に限定するわけではなく、優れた企業を築く可能性がある投資機会には幅広く目を向ける柔軟な姿勢も同社の投資戦略の特徴です。

まとめ

Exorは、イタリア財閥のアニェッリ家が率いる世界有数の投資持株会社です。自動車、産業機械、ヘルスケアなど幅広い分野の企業に投資し、グローバルな事業ポートフォリオを構築しています。

長期的視点に基づく投資戦略によって、同社の総資産価値は過去15年間で大きく拡大しました。今後もヘルスケアやラグジュアリー、テクノロジーといった成長分野への投資を通じて、持続的な企業価値の向上を目指しています。M&Aや投資戦略に課題を感じているご担当者の方は、Exorの戦略を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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