
世界経済フォーラム年次総会は、毎年1月にスイスのダボス・クロスタースで開催される国際会議です。開催地の名称から、「ダボス会議」とも呼ばれています。
この会議には、日本からも政府首脳や大手企業のトップが参加し、国際社会が抱える課題や解決策について意見が交わされます。世界経済のトレンドや潮流を読み解く場として、ビジネスパーソンにとっても押さえておきたい会議のひとつです。
本記事では世界経済フォーラム年次総会(以降、ダボス会議)の目的やテーマ、注目される背景、問題点などをわかりやすく解説します。
ダボス会議とはどういう会議?
ダボス会議は、世界各国の政治・経済分野を代表するリーダーが一堂に会し、国際社会が直面する課題について議論・意見交換を行う国際会議です。概要を簡単にまとめると以下の表のとおりです。
| 名称 | 世界経済フォーラム年次総会(通称:ダボス会議) |
| 開催地 | スイス(ダボス・クロスタース) |
| 開催時期 | 原則として毎年1月 |
| 主催 | 世界経済フォーラム(WEF) |
| 参加方法 | 招待制 |
| 規模 | 130カ国以上から約3,000名が参加 |
世界経済フォーラムとは
世界経済フォーラムは、1971年にクラウス・シュワブ教授によって創設された非営利財団です。「官民連携を通じて世界をより良くすること」をミッションに掲げ、国際社会が直面する課題の解決に取り組んでいます。本部はスイスのジュネーブに置かれ、アメリカ、中国、日本にも拠点があります。
同フォーラムは年間を通じて継続的に活動しており、その象徴的な取り組みが毎年開催される年次総会「ダボス会議」です。
これまでに、ギリシャとトルコの緊張緩和に向けた対話の促進や、ネルソン・マンデラ氏とフレデリク・デクラーク氏の協働を通じた南アフリカの平和的移行の支援など、様々な課題解決に貢献してきました。
ダボス会議のテーマ
ダボス会議で取り上げられる議題は、経済分野に限りません。安全保障・エネルギー・地経学上の対立・環境問題・技術革新など、幅広い課題が議論の対象となっています。また、ダボス会議では毎年、世界情勢を踏まえたテーマが設定され、それに基づいて多角的な議論が展開されます。近年のテーマは、以下のとおりです。
- 直近5年のダボス会議のテーマ一覧
| 開催年 | テーマ |
| 2022年 | 歴史的転換点における、政策とビジネス戦略のゆくえ |
| 2023年 | 分断された世界における協力の姿 |
| 2024年 | 信頼の再構築へ |
| 2025年 | インテリジェント時代における連携 |
| 2026年 | 対話の力 |
また、ダボス会議ではテーマをさらに掘り下げるためのサブテーマも設定しています。
世界経済フォーラムは、2026年のグローバルリスクとして、「地経学上の対立」「国家間武力紛争」「異常気象」「社会の二極化」「誤報と偽情報」を挙げています。これらの課題に対応するため、2026年に設定されたサブテーマは以下のとおりです。
- 対立が深まる世界における協力
- 新たな成長源の開拓
- 人材投資
- 責任あるイノベーションの推進
- プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)内での繁栄の構築
このようにダボス会議では毎年、その年の世界情勢や課題を反映したテーマとサブテーマが設定され、議論が行われています。
ダボス会議の参加国・参加メンバー

ダボス会議には、世界各国の政界・経済界・学術界・国際機関・市民団体を代表するリーダーが参加します。2026年は、130カ国以上から約3,000名が参加しました。
今回は、G7のうち6カ国の首脳を含む65名の国家元首に加え、グローバル企業の経営トップ約850名、さらに国際連合や世界銀行グループといった国際機関・金融機関の要人も出席しました。代表的な参加者は次のとおりです。
- ドナルド・トランプ氏(アメリカ大統領)
- マーク・カーニー氏(カナダ首相)
- フリードリヒ・メルツ氏(ドイツ首相)
- ヴォロディミル・ゼレンスキー氏(ウクライナ大統領)
また、ビジネス分野からも以下のようなグローバル企業のリーダーが参加しています。
- NVIDIA CEO
- Microsoft Corporation会長兼CEO
- OpenAI CFO
日本からも政府および大手企業の要職者が参加しており、国際社会における日本の立場や存在感を示しています。
- 片山財務大臣
- 赤澤経済産業大臣
- 小泉防衛大臣
- 松本デジタル大臣
- 日本電気株式会社(NEC)取締役代表執行役社長兼CEO
このように多様な分野の意思決定層が参加する点に、ダボス会議の特徴と影響力の大きさがあります。
ダボス会議で注目すべきポイント

ダボス会議は、ビジネスパーソンにとって、世界の潮流や将来のビジネス環境を読み解くための重要なヒントが詰まった国際会議です。各国の政策動向や企業トップの発言、国際社会が重視する課題を知ることで、今後のトレンドや方向性を把握できるためです。ここでは、ダボス会議において特に注目すべき3つのポイントを紹介します。
世界各国の要人の発言
ダボス会議では、世界各国の要人による発言が大きな注目を集めます。国家元首や政府高官は、この場を通じて自国の政策方針や国際協力に対する姿勢を発信することが多く、その内容は国際情勢を読み解く重要な手がかりです。
実際に2026年の会合では、アメリカのトランプ大統領がグリーンランドの領有に意欲を示しました。この発言は地経学上の対立への懸念を高め、欧米諸国の関係に緊張を生じさせています。
このように、ダボス会議での要人の発言は、国際関係や市場環境の変化を読み解く上で、ビジネスパーソンにとっても重要な情報源と言えるでしょう。
グローバル企業の戦略・メッセージ
ダボス会議では、世界を代表するグローバル企業の経営トップが、自社の成長戦略や投資方針、技術革新に対する考え方を発信します。これらの発言は、今後どの分野に資本や人材が集まるのかを読み解くための重要なヒントです。また、経営層が描く将来像を直接知ることができる貴重な機会でもあります。こうしたメッセージを知ることで、業界のトレンドや方向性を捉えやすくなるでしょう。
社会課題に対する議論の方向性
ダボス会議では、気候変動や地経学上の対立、格差問題などの様々な社会課題について議論が行われます。これらの議論は、国際社会がどの分野の課題に取り組もうとしているのかを示す指標とも言えるでしょう。
社会課題への対応は、新たな市場やビジネスの創出につながるケースが少なくありません。実際、気候変動と密接に関わる脱炭素分野では、多くの企業が成長領域として注目し、新規参入や投資を進めています。つまり、ダボス会議で示される課題や議論の方向性を理解することは、将来のビジネスチャンスを捉えるのにも役立ちます。
ダボス会議の問題点
ダボス会議は大きな影響力を持つ一方で、「必ずしも世界全体の声を代表しているとは言えない」という批判があります。これは、ダボス会議が招待制であり、参加者の多くが各国のエリート層で占められているためです。その結果、エリート層の意見に偏り、一般市民や発展途上国の意見が反映されにくいと指摘されています。
ダボス会議で世界のトレンドを知ろう
ダボス会議は、世界各国の首脳や企業トップが一堂に会し、国際社会が直面する課題や将来の方向性を議論する国際会議です。そこで交わされる発言や設定されるテーマからは、世界経済や政治、ビジネス環境の潮流を読み取ることができます。一方で、議論がエリート層の意見に偏っているとの指摘がある点にも留意が必要です。こうした特徴を踏まえてダボス会議の動向に注目することで、ビジネスのヒントを得られるでしょう。

