
Petrolimex(ペトロリメックス)は、ベトナムに本社を置く、ベトナム国営石油グループです。石油や天然ガス、石油化学製品などの製造・販売に加えて、保険や金融、建設といったエネルギー関連以外の事業も手掛けています。本記事ではPetrolimexの会社概要や経営状況について解説します。
Petrolimexとはどんな会社

出典:Petrolimex
Petrolimexは、ベトナムに5,500カ所以上のガソリンスタンドを展開し、市場シェアの約50%を獲得しています。また、国内石油埋蔵量の70%以上を保有し、ベトナムのエネルギー供給の中核を担う存在です。ここでは、同社の会社概要や歴史、企業理念を紹介します。
会社概要
Petrolimexの会社概要は次のとおりです。
| 会社名 | Vietnam National Petroleum Group |
| 本社 | ベトナム |
| 設立 | 1956年 |
| 従業員数 | 19,225人(石油事業の従業員のみ) ※2024年12月31日時点 |
| 売上高 | 284兆ドン(2024年度) |
歴史
Petrolimexの前身は1956年、商務大臣の法令により、ベトナム石油国営企業として設立されました。2011年に、IPO(新規公開株式)により株式の一部を売却しましたが、依然として大半は国が保有しています。2016年以降、日本のENEOS株式会社と戦略的提携を進め、2017年にはホーチミン証券取引所に上場を果たしました。
2018年には、Vietnam Electric(ベトナム電力公社)とのクリーンエネルギー分野の開発で提携。2022年に、Vinfast(ビンファスト)と電気自動車充電ステーション事業で提携しました。
このように多くの企業と提携し、事業を拡大しているのが同社の成長戦略の特徴です。
企業理念
Petrolimexの企業理念として、同社のミッション(使命)・ビジョン(将来像)・バリュー(価値観)を紹介します。
■ミッション
国家のエネルギー安全保障の確保に貢献し、顧客、Petrolimex、国家の利益を調和させながら、Petrolimexの価値を継続的に高める。
■ビジョン
ベトナムで最も先進的なエネルギー企業として、グリーンでクリーンな高品質で環境配慮型のエネルギー製品を提供する。
■バリュー
ミッションとビジョンを達成するために、同社が重視している価値観は次の4つです。
- 伝統:国家の誇り
- 多様性:違いと多様性を尊重する
- 発展:継続的に努力し、完璧を目指す
- 人間性:人間中心の取り組み
Petrolimexの経営状況
Petrolimexの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。

参考:Petrolimex「Reports」
2024年度の売上高は284兆ドン(1兆5,904億円)で、2023年度の274兆ドン(1兆5,344億円)と比較して、10兆ドン(560億円)増加しました。一方、2024年度の営業利益は3兆8,000億ドン(213億円)で、2023年度と同水準でした。売上高が増加した要因は、石油の販売量の増加が挙げられます。 ※1ドン=0.0056円換算
また、同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:Petrolimex「Reports」
Petrolimexの売上高のうち、25.1%は海外事業が占めています。海外事業の中核を担うのは、シンガポールとラオスの子会社です。特に、シンガポールの子会社が拠点として重要な役割を果たしています。具体的には、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、カンボジアなどに製品を展開しています。
Petrolimexの事業別売上高の推移
Petrolimexの事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:Petrolimex「Reports」
Petrolimexの売上高のうち、92.9%を石油関連事業と非石油関連事業が占めています。ここでは、売上比率の高い4つの事業について詳しく紹介します。
石油関連
石油関連事業は原油やガソリン、石油の生産、販売をしている事業です。同事業の売上高と営業利益の推移は次のとおりです。

参考:Petrolimex「Reports」
2024年度の売上高は196兆ドン(1兆976億円)で、2023年度の198兆ドン(1兆1,088億円)と比較して、2兆ドン(112億円)減少しました。一方、2024年度の営業利益は2兆ドン(112億円)で、2023年度の1兆ドン(56億円)と比較して、1兆ドン(56億円)増加しました。営業利益が増加した要因は、原油価格の安定が挙げられます。
非石油関連
非石油関連事業は、保険や金融、建設などのエネルギー関連以外の事業です。売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:Petrolimex「Reports」
2024年度の売上高は130兆ドン(7,280億円)で、2023年度の126兆ドン(7,056億円)と比較して、4兆ドン(224億円)増加しました。一方、2024年度の営業利益は2,000億ドン(11億円)で、2023年度の5,000億ドン(28億円)と比較して、3,000億ドン(17億円)減少しました。営業利益が減少した要因は、保険事業の競争激化が挙げられます。
運輸サービス
運輸サービス事業は、主に石油の海上輸送サービスを提供している事業です。売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:Petrolimex「Reports」
2024年度の売上高は10兆4,000億ドン(582億円)で、2023年度の10兆6,000億ドン(594億円)と比較して、2,000億ドン(11億円)減少しました。一方、2024年度の営業利益は3,000億ドン(17億円)で、2023年度の2,000億ドン(11億円)と比較して、1,000億ドン(6億円)増加しました。営業利益が増加した要因は、コスト削減による利益率の向上が挙げられます。
石油化学製品
石油化学製品事業は、潤滑油を中心とした石油化学製品の販売を行っている事業です。売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:Petrolimex「Reports」
2024年度の売上高は6兆9,000億ドン(386億円)で、2023年度の8兆ドン(448億円)と比較して、1兆1,000億ドン(62億円)減少しました。また、2024年度の営業利益は1,000億ドン(6億円)で、2023年度の2,000億ドン(11億円)と比較して、1,000億ドン(6億円)減少しました。売上高と営業利益が減少している要因は、製品需要の減少とロシア・ウクライナ戦争の長期化の影響が挙げられます。
日本企業との提携事例:ENEOS株式会社
ENEOS株式会社は、ベトナムにおける事業を拡大するため、2016年にPetrolimexへの出資を開始しました。2019年に、LNGターミナルとガス発電所を共同で建設・運営することで合意。これにより、天然ガスの調達から発電までを一貫して行う体制を構築し、ベトナムの電力の安定化に貢献しています。さらに2021年には、新規共同施設の拡大・推進について締結しました。このように、ENEOS株式会社は複数の事業においてPetrolimexと連携し、ベトナムの事業を拡大しています。
参考:ENEOS株式会社「当社ベトナム事業の強化について」
Petrolimexの動向に注目しよう
Petrolimexは、ベトナムの石油市場を支える国営企業で、同国の石油製品の供給とエネルギーの安定化に貢献しています。ベトナム市場に大きな影響力を持つため、ベトナムへの進出を検討している企業様は、同社の今後の動向にも注目しましょう。
▶ベトナム市場の詳細については、「ベトナムの市場調査・進出支援」をご覧ください。