
Vinamilk(ビナミルク)は、ベトナムに本社を置く、同国最大の乳製品メーカーです。2023年時点で国内外に15の農場、17の工場を有しています。本記事では、Vinamilkの会社概要や経営状況についてわかりやすく解説します。
Vinamilkとはどんな会社?

出典:Vinamilk
Vinamilkは約13万頭の乳牛を飼育し、牛乳やヨーグルト、粉ミルク、コンデンスミルク(練乳)などを生産しています。海外展開にも積極的で、63カ国に製品を輸出しています。フォーチュン誌の2025年「フォーチュン・東南アジア500」に選出されたように、東南アジアを代表する企業の一つです。ここでは、同社の会社概要や歴史、企業理念についてご紹介します。
会社概要
Vinamilkの会社概要を紹介します。
| 会社名 | Vietnam Dairy Products Joint Stock Company |
| 本社 | ベトナム |
| 設立 | 1976年 |
| 進出地域 | 63カ国 |
| 拠点 | 農場:15カ所 工場:17カ所 |
| 子会社 | 13社 |
| 従業員数 | 9,960人(2024年12月31日時点) |
| 売上高 | 61兆8,240億ドン(2024年度) |
歴史
Vinamilkは1976年、3つの乳製品工場の国有化に伴い設立されました。そして、2006年にホーチミン証券取引所に上場。2010年にニュージーランドの企業へ1,000万ドルを出資し、海外進出を本格的に始めました。
2013年には米国のドリフトウッド・デイリー・ホールディングス社の株式を70%取得。2014年にはカンボジアのアンコール・ミルク社の設立に51%を出資しました。その後も海外への出資を推進し、2023年に企業価値30億ドルを達成しました。
このように、Vinamilkの成長戦略の特徴は、積極的な海外投資を通じて事業を拡大してきた点です。
企業理念
Vinamilkは企業理念として、「Vinamilk’s Promise(ビナミルクの約束)」を掲げています。
これは、次の3つの考え方を重視しています。
- とにかく行動する
言葉ではなく行動で透明性を示し、安全で高品質な原料調達と最新技術の採用に努める。
- 妥協しない
顧客とのコミュニケーションを誠実かつ明確に行うために、製品にはラベルに記載されたもの以外の成分を一切使用しない。
- 品質水準を上げる
すべての製品が厳しい品質基準を満たすだけでなく、常により高い基準を目指して継続的な改善に取り組む。
Vinamilkの経営状況
Vinamilkの経営状況として、直近6年間の売上高と営業利益の推移を紹介します。

参考:Vinamilk「Annual Reports」
2024年度の売上高は61兆8,000億ドン(3,461億円)で、2023年度の60兆5,000億ドン(3,388億円)と比較して、1兆3,000億ドン(73億円)増加しました。また、2024年度の営業利益は11兆6,000億ドン(650億円)で、2023年度の10兆9,000億ドン(610億円)と比較して、7,000億ドン(39億円)増加しました。※1ドン=0.0056円換算
売上高が増加した要因は、海外事業の好調が挙げられます。また、営業利益が増加した要因は、海外事業の好調に加えて、販売費の抑制が挙げられます。
同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:Vinamilk「Annual Reports」
Vinamilkは積極的に海外展開を進めています。その結果、2024年度の海外売上高は11兆ドン(616億円)となり、前年度比12.6%増を達成しました。同社の海外事業は、全体の売上高に占める割合は17.8%ですが、同社の成長を支えています。
Vinamilkの主要事業
Vinamilkの主要事業は、約13万頭の乳牛を飼育し、牛乳や乳製品を生産・販売することです。全国74カ所の集乳施設を管理し、地域の酪農家に乳牛飼料の提供や酪農技術のコンサルティングを行うなど、地域の発展に貢献しています。
また、2,100ヘクタールを超える農地でトウモロコシや米、オーツ麦などを栽培することで、安定した原料の供給源を確保。生産拠点は最新鋭の設備により、高度に自動化され、ベトナム乳製品工場は国内最大級の規模を誇ります。同工場では、年間8億リットルの牛乳を生産し、同社の液体ミルク総生産量の半数以上を占めています。
こうした体制を背景に、同社は2025年上半期に70種類以上の新商品や改良商品を開発しました。これにより、若年層から高齢者までの多様なニーズに応えています。
Vinamilkの主要製品

出典:Vinamilk
Vinamilkの主力製品は以下のとおりです。
- 牛乳
- ヨーグルト
- 粉ミルク
- コンデンスミルク
- ココナッツウォーター
ベトナムはコンデンスミルクの消費大国として知られ、その中でも同社の製品は人気があります。これらの製品は、カナダや日本、台湾、韓国をはじめ、世界63カ国に輸出されています。
Vinamilkの成長戦略
Vinamilkは成長戦略として、「2022~2026年5カ年戦略」を策定し、以下の4つの項目を重点に置いています。
- 高品質な製品と顧客体験
新技術を導入し、品質と顧客体験の両面で価値を高めることを目標としています。2024年にはスウェーデン製の超濾過技術を採用し、世界基準の乳製品をベトナム市場に提供。また、同年には125種類の新製品や改良製品を投入し、幅広いニーズに応えています。
- デジタル変革
生産・流通・販売の業務を円滑に行うためのデジタルエコシステムの構築を目標としています。すでに、営業支援システムの導入や配送追跡アプリケーション、BtoB(企業間取引)プラットフォームの構築などを進めています。
- 新規事業開拓
Vinamilkは新規事業の開拓を目標に掲げています。代表的な取り組みが、次章で紹介する日本の双日株式会社との食肉加工工場の運営です。
- 人材強化
優秀な人材の確保と定着を図るため、魅力的な職場環境づくりを推進しています。
日本企業との提携事例:双日株式会社
Vinamilkは新規事業開拓の一環として、日本の総合商社である双日株式会社と提携し、食肉加工工場の運営に取り組んでいます。双日株式会社は世界各国で事業を展開し、幅広い製品の製造や販売、輸出入を手がける総合商社です。
両社は2021年、ベトナムにおける牛肉加工事業で総額5億ドルの投資計画を締結しました。2024年12月、ベトナム最大規模となる食肉加工工場の稼働を開始。年間1万トンの牛肉製品の出荷を目指しています。
製品は、双日グループがベトナムで運営する物流センターから配送されます。さらに、2025年には工場に隣接する農場で約1万頭の牛を飼育できる体制が整う予定です。
Vinamilkの動向に注目しよう
Vinamilkはベトナム最大の乳製品メーカーとして、国内外で大きな影響力を持つ企業です。積極的に海外展開を進めており、日本市場にも製品を輸出しています。また、日本企業と提携し、新規事業にも取り組んでいます。このような背景から、ベトナム市場への進出を検討している企業様は、同社の動向に注目しましょう。
▶ベトナム市場について詳しく知りたい方は、「ベトナムの市場調査・進出支援」をご覧ください。