
8月といえば、多くの方が夏休みやお盆を思い浮かべるでしょう。こうした背景から、旅行やレジャー、アウトドア関連の需要が一気に高まる季節でもあります。ただし、これはあくまで日本の場合です。世界各地では文化が異なり、商戦のタイミングや売れ筋商品も様々です。
そこで本記事では、海外マーケティングの基礎知識として、世界各地の8月の商戦やその文化的背景、キャンペーン例・事例をわかりやすく紹介します。
中東:イード・アル=アドハー後の「ギフト」商戦
中東では7月から8月にかけて、ギフト商戦が盛り上がります。イスラム教の2大祝祭の一つ「イード・アル=アドハー(犠牲祭)」があるためです。祝祭の開催期間はイスラム教で定められた祝日で、多くの人が家族や親戚と集まり、贈り物やスイーツを交換します。そのため、商業施設やECサイトでは祝祭に合わせた大規模なセールが行われます。
文化的背景
イード・アル=アドハーは、イスラム暦の12月10日から4日間続く重要な宗教行事です。この祝祭では羊や牛を神への捧げものとして屠り、家族や近隣の人、貧しい人に肉を分け与えることが習慣となっています。
ただし、イスラム暦は日本で一般的な太陽暦と異なるため、毎年祝祭の日付が変わる点に注意が必要です。2025年は6月6日から6月9日にかけて祝祭が行われました。
主な商材
この時期に人気となるのは、宗教や文化に根ざした商品です。代表的なものとして、ハラール認証の食品、スイーツ、香水、化粧品などが挙げられます。
海外企業のキャンペーン例・事例
同商戦における海外企業のキャンペーン例・事例を紹介します。
Flowwow
ECプラットフォーム「Flowwow」のUAE事業では、2024年のイード・アル=アドハー期間中の取引件数が前年比 413% という記録を達成しました。この結果は、同地域で伝統的な祝祭文化においてもECサイトの利用拡大が進んでいることを示しています。
参考:Gulf Business「Eid Al Adha 2025: What’s in the shopping cart for MENA consumers?」
REDTAG
2022年、ファッションブランドのREDTAGは祝祭に合わせて新作コレクションを発表し、家族全員で楽しめるスタイルを提案しました。さらに、贈り物をする祝祭の伝統に合わせ、一定額以上購入した方にギフトをプレゼントするキャンペーンも実施しました。
参考:Eye of Riyadh「REDTAG launches Eid al-Adha 2022 collection, sets the tone for summer festivities」
ASEAN:8月は新学期の季節、教育関連需要が急伸

多くのASEAN諸国では、8月から9月にかけて新学期が始まるため、この時期に教育関連の需要が高まります。日本では新学期が4月に始まるため、違和感を覚える方もいるかもしれませんが、実は世界的には9月が新学期の主流です。
文化的背景
インドネシアでは7月から、ベトナムでは9月から新学期がスタートします。このように時期が異なるのは、気候や歴史的な違いが影響しています。
主な商材
この時期に人気なのは、制服や文具、毎日の昼食に欠かせない弁当関連グッズです。
海外企業のキャンペーン例・事例
同商戦における海外企業のキャンペーン例・事例を紹介します。
IKEA(インドネシア)
インドネシアのIKEAでは、新学期シーズンに合わせて、新学期キャンペーンを展開しています。机やノート、ペンなどの文具セールに加え、学習を快適にサポートする空間づくりを提案しています。
Lazada(ラザダ)
Lazadaは東南アジア有数のECサイトです。インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムの6カ国で事業を展開しています。Lazadaは8月に新学期キャンペーンを実施し、ノートやペンなどの文具をお得な価格で販売しています。
米国:サマーセール後半戦・レイバー・デー前のEC商戦
米国では8月後半から9月初旬にかけて、EC商戦が活発化します。この時期はサマーセールの後半戦と9月にレイバー・デー(労働者の日)があるためです。
文化的背景
米国では8月から9月にかけて新学期が始まるため、サマーセール後半には文具や家電製品の需要が高まります。また、9月の第1月曜日は「レイバー・デー」と呼ばれる祝日で、労働者を称える日であると同時に、夏の終わりを象徴する日です。子どものいる家庭では、この連休を利用して夏休み最後の旅行に出かけることが多く、旅行関連商品の需要が高まります。
主な商材
この時期の商戦では、アウトドア用品やキャンプグッズ、旅行用品が人気です。また、新学期に備えた文具や家具、さらに家電製品もよく売れます。これらの商品をまとめて購入する傾向が強いのも特徴です。
海外企業のキャンペーン例・事例
同商戦における海外企業のキャンペーン例・事例を紹介します。
Walmart(ウォルマート)
Walmartは、米国に本社を置く世界最大のスーパーマーケットチェーンです。同社はEC事業にも力を入れており、レイバー・デーに合わせてセールを実施し、大型家電やテレビなどを大幅に値引きしています。
Walmartについて詳しく知りたい方は、「ウォルマートとは?」の記事を併せてご確認ください。
Amazon
世界最大のECプラットフォームであるAmazonもWalmartと同様に、レイバー・デーに合わせて大型セールを展開しています。2024年は、8月26日から9月3日までセールが開催されました。
欧州:バカンス明けの帰宅後消費、9月学期始まりへの備え

欧州の多くの国では、バカンス明けの8月中旬以降に購買意欲が高まります。また、同時に9月の新学期に向けた文具などの需要も増加します。
文化的背景
フランスやスペインをはじめとする欧州の多くの国では、7月から8月にかけてバカンスシーズンが始まります。これは3〜4週間の長期夏季休暇を取得し、家族旅行などをして過ごすという習慣です。この背景には、EU(欧州連合)がすべての加盟国に対し、労働者に1年間に最低4週間の有給休暇を義務づけていることが挙げられます。また、フランスやベルギー、イタリアなど、欧州では9月から新学期が始まるのが主流です。
主な商材
この時期の商戦では、新学期の準備として文具や教科書、衣料品が人気です。
海外企業のキャンペーン例・事例
同商戦における海外企業のキャンペーン例・事例を紹介します。
El Corte Inglés(エル・コルテ・イングレス)
スペインの大手百貨店El Corte Inglésは、2024年8月に新学期キャンペーンを開催しました。同キャンペーンでは、「¡Quiero ir al cole ya!(早く学校に行きたい)」をテーマに、ミュージカル映画のようなテレビCMを放送し、話題となりました。
参考:El Corte Inglés「El Corte Inglés estrena “¡Quiero ir al cole ya!”, con un musical y escenografía de película」
Carrefour(カルフール)
Carrefourは、フランスでスーパーマーケットチェーンを展開する小売企業です。同社も新学期に合わせて、文具やスクールバッグなどの大規模セールを実施しています。
日本企業が越境ECや現地提携を行うチャンス
8月は世界各地で独自の文化や季節に根ざした商戦が活発になる時期です。こうした商戦はビジネスを活発化させるため、日本企業にとっても越境ECや現地提携を進める絶好のチャンスと言えます。海外進出を検討されている企業様は、この機会を活かして新たな海外事業に挑戦してみてはいかがでしょうか。