皆さんは海外を訪れる際、どのような手段で通信環境を確保しているでしょうか?
今回はインドでの経験を基に、インドのIT事情や海外出張時における通信環境の準備についてお伝えします。
海外でのアクティベーション問題を解決する「AIRSIM」
海外出張時、プルーヴでは基本的に現地のSIMカードを事前に準備して通信環境を確保しています。しかし、先日のインド出張時にあるトラブルが起きました。
コンサルタントがアジア各国で使える周遊SIMカードを日本でアクティベートしたところ、なぜかインドでは利用できなくなってしまったのです。
元々インドやグローバルのいくつかの国では現地到着から数時間以上経たないとアクティベートできないという規制があるため48時間待ってみましたが、それでもやはりSIMカードは利用できず、出張中はずっと別のコンサルタントのSIMカードを頼ることになってしまいました。
この時に助けられたのが、別のコンサルタントが用意していた「AIRSIM(エアシム)」というSIMカードです。
香港のMVNOキャリアが発行している「AIRSIM」は世界100カ国以上で使えるSIMカードで、利用したい国や日数ごとにプランを購入するシステムとなっています。
インドであれば一日約2ドル(一週間で約15ドル)で無料通話オプションも付いており、現地でSIMカードを買うよりも安く利用することができます。
価格面だけでなく、現地に着いた瞬間から利用できるという点も魅力的です。これまでは48時間経ってからでないとアクティベートできなかったのが、当日に購入してもその場ですぐに利用でき(利用開始日を指定することも可能)、非常に重宝しました。
海外出張時、代表者がレンタルしたWi-Fiを複数人で利用しているという企業は多いと思いますが、何かあるたびに代表者がWi-Fiの通信状態をチェックしなければならず、不便な点も多々あると思います。
これから海外進出を検討している企業など、海外出張が多くなる場合は安価な海外携帯を用意し、今回ご紹介したAIRSIMなどのSIMカードを上手に利用するのもおすすめです。
IT化が進むインドの交通事情
トラブルや準備不足によって海外で通信環境が使えなくなってしまった場合、仕事面で困るのはもちろん、インドでは移動手段を手配するのも一苦労です。
近年インドの交通インフラはIT化が進んでおり、現地で古くから親しまれている三輪タクシーのリキシャ(オートリクシャー)も、アナログな見た目に反して現在はほぼ全てUberやOlaといった配車サービスと連携しています。
そのため多くのリキシャにはメーターが付いておらず、UberやOlaを通じて運賃の計算をしているのですが、これらのサービスが利用できない場合は乗車のたびに運転手と価格交渉をしなければなりません。
インドは交通渋滞が多く、同じ距離でも渋滞状況によって金額が変わるため、その都度交渉をするのは非常に手間がかかります。
さらに、最近では空港からの移動手段としても配車サービスを利用することが当たり前になっているようです。
空港を出た瞬間から「App Based Taxi Pick-up」としてUberやOlaの乗り場への案内看板が並んでおり、Uber専用ゾーンの中にはUberGo、Premier、XLなど種類ごとに並ぶ場所が設けられていました。
このような移動手段の多様化はインドだけに限りません。例えばGoogle Mapで経路検索をした時、日本では電車・バス・タクシー・徒歩などが出てきますが、インドではUberやOlaを使った経路、ヨーロッパではシェアサイクルを使った経路がサジェストされるなど、国ごとに得意な移動手段が候補として出てきます。
アプリを使った配車サービスが主流となっている現在の海外では、通信環境が利用できないと移動すらままなりません。
「想定していた移動手段が使えずビジネスの予定が狂ってしまった…」といったトラブルを防ぐためにも、到着してからすぐに通信を利用できる環境を準備しておくことが大切です。
通信環境を支える充電サービスも
ちょっとした移動にも通信環境が必須となる状況下では、デバイスの充電もこまめに気にしなければなりません。そんなインドのIT事情が反映されているのか、ショッピングモールを訪れた際に面白い充電サービスを見つけました。
こちらは「Plugo」というサービスで、アプリでQRコードを読み取り、キーを解除して充電器を借りるシステムです。
その大きな特徴は、借りた充電器を持ち歩きできるという点。ショッピングモールであれば充電器を借りたまま買い物ができるので非常に便利です。
日本にも充電サービスは多々ありますが、Plugoのように充電器を持ち歩けるサービスはまだまだ少ないと思います。持ち歩きとなると盗難や紛失のリスクが気になりますが、アプリで個人認証をしているためその心配も少ないようです。
利用料金は、なんと一時間で3ルピー(約5円)。日本の物価と照らし合わせて考えると、一時間100円くらいの感覚でしょうか。
経済発展が著しいインドですが、まだまだ急激な物価のインフラに追い付けない一般庶民も多いと言います。そんな中、Plugoのように簡易的なスタイルでありながらも物価に合わせたサービスがIT環境の中で生きる人々の生活を支えているのではないかと感じました。
インドのようにIT環境が生活に根付いている国を訪れる場合、安定した通信環境の準備は欠かせません。
特に海外事業を検討する上では、ビジネスをより快適に進められるよう、現地の事情をきちんと把握し、そこに合わせた通信環境を整えることが大切です。
参考:
日本でも世界でも1日100円台でスマホが定額利用できるAIRSIMの可能性:山根博士のスマホよもやま話
https://japanese.engadget.com/2017/08/07/1-100-airsim/
インドSIMカード の買い方 。デリーの空港編 2019年度http://bodhgaya.moo.jp/ryosho/?p=1947