海外販路開拓の基本と手順|成長のチャンスを掴むための第一歩とは?

日本国内では人口減少が進み、多くの分野で市場の成熟が進んでいます。そのため、既存市場で事業をさらに拡大するのは容易ではありません。一方で、企業が成長を続けるには売上の拡大が必要です。そこで注目されているのが海外販路開拓です。海外には成長余地のある市場も多く、ビジネスチャンスが豊富にあります。本記事では、海外販路開拓の重要性や具体的な手順、成功企業に共通するポイントをわかりやすく解説します。

海外販路開拓とは

海外販路開拓とは、海外市場において自社の商品やサービスの販売ルートを新たに構築し、ビジネスチャンスを広げていく取り組みです。具体的には、海外の販売代理店と提携して現地で商品を展開したり、越境ECを活用して海外の消費者へ直接販売したりする方法があります。

海外販路開拓と海外販路拡大の違いとは

海外販路開拓と似た言葉に海外販路拡大があります。混同しやすい言葉ですが、明確な違いがあります。

海外販路開拓は、海外市場への販売ルートや販売チャネルを新たに構築し、0から1を生み出す取り組みです。一方、海外販路拡大は、すでに構築された販売ルートを活用しながら売上やシェアを伸ばしていく取り組みです。1から10へ事業を成長させるフェーズにあたります。

つまり、海外市場で成果を上げるためには、まず海外販路開拓で道を切り開き、その後に海外販路拡大で事業を大きく育てていくことが重要です。このように、両者は似ているようで役割が異なります。

なぜ海外販路開拓が必要なのか 

日本企業が持続的に成長していくためには、海外販路開拓の重要性がますます高まっています。その理由は次のとおりです。

  • 国内市場の成熟・成長余地の限界

日本では人口減少や少子高齢化の影響により、多くの市場が成熟しています。その結果、既存市場だけでは売上拡大に限界があり、事業成長のためには新たな市場を開拓する必要があります。

2025年の日本のGDPは4兆2,800億米ドルであるのに対し、世界全体のGDPは117兆2,000億米ドルに達しています。つまり、日本の経済規模は世界全体のわずか3.7%に過ぎません。言い換えれば、世界には日本の27倍以上の市場が広がっています。このように視点を広げると、海外にはまだ多くの成長機会が存在していることがわかります。

参考:Statista「Countries with the largest gross domestic product (GDP) in 2025

  • 海外市場の成長性と多様なニーズ

海外、とりわけASEANやインドなどでは経済成長が続いており、市場の拡大とともに多様なニーズが生まれています。日本では一般的な商品やサービスでも、海外では新しい価値として受け入れられる可能性があります。

  • リスク分散

特定の国や地域のみで事業を展開すると、景気悪化や為替変動、市場縮小、競争激化といった外部環境の影響を受けやすくなります。複数の国や地域で事業を展開することで、こうしたリスクを分散し、経営の安定性を高めることができます。

これらの理由から、海外販路開拓はこれからの日本企業にとって、持続的な成長を実現するために欠かせない取り組みと言えるでしょう。

海外販路開拓の具体的な手順

海外販路開拓を成功させるためには、計画的に取り組むことが重要です。ここでは、基本的な進め方を解説します。

海外進出の目的を設定

まずは、海外販路開拓の目的を明確にします。例えば、売上拡大やブランド認知の向上、リスク分散、海外展開に関するノウハウの獲得などです。このような目的に応じて、進出すべき市場や重視すべき指標は異なります。そのため、最初に目的を明確にし、チームで共有することが大切です。

海外進出先の候補を選出

次に、政府の統計や民間企業のレポートといった情報をもとに、以下の複数の視点から進出国や地域を選出します。

  • 市場規模・成長性
  • 顧客のニーズ
  • 法規制・制度
  • 文化・商習慣

この段階では、成功確率の高い市場をリストアップすることがポイントです。

海外市場調査を実施

進出先の候補をリストアップしたら、次は海外市場調査によって絞り込みます。具体的には、現地のビジネスパートナーや業界関係者とのネットワークを活用したり、直接現地に足を運んで市場や消費者を調査したりして、デスクリサーチだけでは把握できない実態や潜在ニーズを明らかにします。進出先は海外販路開拓の成否を左右する重要なポイントです。複数の視点から慎重に検討し、決定しましょう。

海外進出モデルを決定

海外販路開拓には、複数の海外進出モデルがあります。自社のリソースや目的、現地のニーズなどを考慮して決定します。代表的な海外進出モデルは以下のとおりです。

  • 現地法人の設立

自社の子会社を現地に設立して事業を展開する方法です。ブランドの管理や販売戦略を自社で直接コントロールできる反面、初期投資や運営コストが高く、リスクも大きくなります。

  • 販売代理店を活用

現地の代理店に販売を委託する方法です。初期投資や運営負担を抑えながら、迅速に市場に参入できるメリットがあります。

  • 海外展示会への参加

自社商品やサービスを現地で直接紹介することで、市場の反応を確認しつつ販路開拓を進める方法です。比較的低コストで実施できますが、販売チャネルの構築には別の取り組みが必要です。

  • 現地パートナーとの協業

現地企業と資本やノウハウを共有して合弁会社を設立する方法です。現地の知見やネットワークを生かせる一方、経営方針の調整や利益配分、パートナー選びなどが課題になりやすいです。

  • M&Aによる海外進出

現地企業を買収して事業を引き継ぐ方法です。既存顧客やネットワークといった基盤を活用できるため、迅速に事業拡大が可能ですが、買収コストに伴いリスクも大きくなります。

これらの海外進出モデルの中から、最適な方法を選ぶことが海外販路開拓の成功につながります。

海外進出計画の策定・実施

最後に海外進出計画を策定し、実行に移します。販売戦略やマーケティング施策、予算、KPI(重要業績評価指標)などを明確にし、段階的に進めましょう。進出後も市場の変化や結果に応じて改善を重ねることで、成果を挙げやすくなります。

成功企業の共通点

海外販路開拓に成功している日本企業には、いくつかの共通点があります。中でも特に重要なのは、現地市場への深い理解と、信頼できる現地パートナーとの連携です。

例えば、重工産業株式会社は外食チェーン「味千ラーメン」の海外展開で大きな成果を挙げています。海外一号店は1994年にオープンし、現在では世界14カ国に664店舗を展開しています。同社の成功を支えているのが、現地パートナーの存在です。実際に、ベネズエラへの出店は現地企業からのオファーを受け、現地視察を経て実現しました。

この事例は、海外販路開拓における海外市場調査と現地パートナーとの協力の重要性を示す好例です。

海外販路開拓で成功するには目的から

日本国内の多くの市場が成熟する中、海外販路開拓は事業拡大の有効な選択肢の一つです。特にASEANやインドなど、経済成長が著しい地域には多くのビジネスチャンスが広がっており、この機会を生かすことが企業の成長につながります。まずは、海外販路開拓の目的の設定から始めてみてはいかがでしょうか。

PROVEでは、海外市場調査や現地パートナー選定など、海外販路開拓における課題解決を包括的に支援しています。「何から始めればいいかわからない」「リソースが足りない」とお悩みのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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