ハネウェル・インターナショナルとはどんな会社? 会社概要と業績 

ハネウェル・インターナショナル(以降は、「ハネウェル」と言います。)は、アメリカに本社を置くコングロマリットです。航空機・宇宙産業向け機器、電子制御システム、自動化機器を開発しています。本記事では、ハネウェルの会社概要や経営状況、成長戦略を解説します。 

ハネウェルとはどんな会社 

出典:ハネウェル 

ハネウェルは、幅広い分野に向けた機器やテクノロジーを開発するコングロマリットです。アメリカを代表する企業で、Reinforz Insightの「2023年最新版:世界の航空機器会社ランキング時価総額TOP66」では、世界2位を獲得しています。ここでは、ハネウェルの会社概要と歴史、経営理念を紹介します。 

会社概要 

ハネウェルの会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Honeywell International Inc. 
本社 アメリカ 
設立 1906年 
進出地域 世界70カ国以上 
従業員数 95,000人(2023年12月31日) 
売上高 175億ドル(2023年度) 

歴史 

ハネウェルの歴史の始まりは、1885年にアルバート・バッツ氏が石炭窯炉用のサーモスタットを開発したことです。この発明により、炉のダンパー(空調用・換気用ダクトの開閉装置)を遠隔操作できるようになりました。同氏は1886年に、ミネアポリス・ヒート・レギュレーターを創業しました。 

一方、創業者のマーク・C・ハネウェル氏は1906年に、ハネウェル・ヒーティング・スペシャルティを設立。1927年に、ハネウェル・ヒーティング・スペシャルティとミネアポリス・ヒート・レギュレーターが合併し、ミネアポリス・ハネウェル・レギュレーターが誕生しました。同社は産業用制御装置や計測器を開発し、急速に成長しましたが、1999年にアライドシグナルに買収されました。ただし、ハネウェルの認知度の高さから社名はそのまま現在も残っています。 

ハネウェルは2005年から2016年にかけて、石油の大手国際サプライヤーや物流向け自動化ソリューションを提供する企業など、複数の企業を買収して事業範囲・規模を拡大。さらに2018年に、住宅事業と輸送システム事業を分離しました。 

企業風土 

ハネウェルの企業風土は、次の6つの行動指針により形作られています。 

  • 革新と顧客価値を創造 

顧客の視点に立ち、革新的なソリューションを通じて、優れた顧客体験を提供する。 

  • 変革を受け入れる 

好奇心を持ち、新しい方法を模索して、最高のアイデアを共有する。 

  • 共に勝利を目指す 

事業・地域の垣根を超え、一緒に地域社会のより良い未来を創造する。 

  • 優れた人材の育成 

優秀な人材の採用・育成に加えて、人々が最高の仕事をできる環境を作る。 

  • 責任文化を推進 

責任を持ち、積極的に問題を解決する。 

  • 勇気を持つ 

自分が正しいと信じることに対して大胆な行動を起こし、不可能に思える目標に取り組み、問題を共有して対処する。 

ハネウェルの経営状況 

ハネウェルの経営状況として、直近6年間の売上高とセグメント利益の推移を紹介します。 

参考:ハネウェル「Annual Reports」 

2023年度の売上高は367億ドル(5兆5,050億円)で、2022年度の355億ドル(5兆3,250億円)と比較して、12億ドル(1,800億円)増加しました。また、2023年度のセグメント利益は83億ドル(1兆2,450億円)で、2022年度の77億ドル(1兆1,550億円)と比較して、6億ドル(900億円)増加しました。
※1ドル=150円換算 

売上高とセグメント利益が増加した要因は、「航空宇宙事業」と「高機能素材」の成長が挙げられます。 

また、売上高とセグメント利益は3年連続で拡大し、セグメント利益は住宅事業と輸送システム事業を分離した2018年度を超えました。このことから、同社の利益率は改善していると言えます。 

なお、同社の地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:ハネウェル「Annual Reports」 

グラフから、ハネウェルの主要地域はアメリカとヨーロッパで、海外売上比率は43%です。 

ハネウェルの事業別売上高の推移 

ハネウェルの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:ハネウェル「Annual Reports」 

ハネウェルは4つの事業で構成され、それぞれの事業で売上高を確保しているのが特徴です。ここでは、4つの事業の内容に加えて、売上高とセグメント利益の推移を紹介します。 

航空宇宙 

航空宇宙事業は、航空機に関する装置や部品、フライトシミュレーションのシステム、運送システムなどの開発を行う事業です。同事業の売上高とセグメント利益は以下のとおりです。 

参考:ハネウェル「Annual Reports」 

2023年度の売上高は136億ドル(2兆400億円)で、2022年度の118億ドル(1兆7,700億円)と比較して、18億ドル(2,700億円)増加しました。また、2023年度のセグメント利益は37億ドル(5,550億円)で、2022年度の32億ドル(4,800億円)と比較して、5億ドル(750億円)増加しました。 

売上高とセグメント利益が増加した要因は、民間航空機の飛行時間の増加による需要拡大に加えて、防衛・宇宙関連の販売数量の増加が挙げられます。 

高機能素材 

高機能素材事業は、薬品を包むフィルムや害虫駆除スプレーの化学製品、冷凍冷蔵庫の触媒などを開発する事業です。同事業の売上高とセグメント利益は以下のとおりです。 

参考:ハネウェル「Annual Reports」 

2023年度の売上高は115億ドル(1兆7,250億円)で、2022年度の107億ドル(1兆6,050億円)と比較して、8億ドル(1,200億円)増加しました。また、2023年度のセグメント利益は25億ドル(3,750億円)で、2022年度の24億ドル(3,600億円)と比較して、1億ドル(150億円)増加しました。 

売上高とセグメント利益が増加した要因は、ライフサイクル・ソリューション・サービスの需要増、精製触媒の販売数量の増加が挙げられます。ライフサイクル・ソリューション・サービスとは、装置や設備が長期間安定した稼働できるようにするソリューションのことです。 

ハネウェル・ビル・テクノロジー 

ハネウェル・ビル・テクノロジー事業は、ビルのメンテナンスやセキュリティに関する製品を提供する事業です。同事業の売上高とセグメント利益は以下のとおりです。 

参考:ハネウェル「Annual Reports」 

2023年度の売上高は60億ドル(9,000億円)で、2022年度と同水準を維持しました。また、2023年度のセグメント利益は15億ドル(2,250億円)で、2022年度の14億ドル(2,100億円)と比較して、1億ドル(150億円)増加しました。 

売上高が横ばいの要因は、製品の価格を上げたものの、不利な為替レートにより販売数量が減少し、それぞれの影響が相殺されたためです。なお、セグメント利益が増加した要因については公表されていません。 

安全・生産性ソリューション 

安全・生産性ソリューション事業は、工場や作業員の安全と生産性を向上するための製品やソリューションを提供する事業です。同事業の売上高とセグメント利益の推移は以下のとおりです。 

参考:ハネウェル「Annual Reports」 

2023年度の売上高は55億ドル(8,250億円)で、2022年度の69億ドル(1兆350億円)と比較して、14億ドル(2,100億円)減少しました。また、2023年度のセグメント利益は9億ドル(1,350億円)で、2022年度の11億ドル(1,650億円)と比較して、2億ドル(300億円)減少しました。売上高とセグメント利益が減少した要因は、需要減少による製品やサービスの販売不振が挙げられます。 

ハネウェルの成長戦略 

ハネウェルは成長戦略として、次の3つのメガトレンドに注力しています。 

  • オートメーション(自動化) 

生産性の向上や労働者不足の対応に、AIを活用した自動化を実現する。 

  • 航空産業の未来 

よりスマートで安全な航空産業を実現するために、継続的なイノベーションを達成する。 

  • エネルギーの移行 

再生可能燃料や炭素の回収、プラスチックの循環など、カーボンニュートラルへの移行をサポートする。※カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引いて実質ゼロにすること。 

同社はメガトレンドに沿った変革をするために、戦略的な資本配分によりポートフォリオを最適化するとしています。さらに、同社は次世代のメガトレンドとして次の分野にも注目しています。 

  • 量子コンピュータ 
  • 持続可能なテクノロジー・ソリューション 
  • 次世代空モビリティ(例:空飛ぶクルマ) 

ハネウェルの事業再編の動きに注目しよう 

ハネウェルは、航空宇宙事業や高機能素材事業など、複数の分野で世界的に活躍しているコングロマリットです。現在4つの事業を展開していますが、2026年までにオートメーション、航空宇宙、先端材料に特化した3社に分割する計画を発表しました。世界的な企業なだけに、今後の事業再編の動向に注目しましょう。 

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