
タイの市場調査・進出支援
タイは立憲君主制を採用し、国王は象徴的な存在として憲法に定められています。この点で日本の天皇制と類似しています。また議院内閣制を採用し、国会は「元老院」と「人民代表院」の二院制となっています。しかし、軍部の影響力が強く、過去には度重なる軍事クーデターが発生しており現在も政権は安定しておらず、若者による反政府デモが続いています。プラユット政権下では形式上民主主義政府となっていますが、軍の影響力が色濃く残ります。
タイ王国の主要産業は、製造業、農業、観光業であり、製造業はGDPの約30%を占め、自動車や電子機器の生産が盛んです。また「タイランド4.0」政策により、高技術産業への移行を進めています。農業は米やキャッサバなどの作物が中心で、GDPの約10%を占めています。
実質GDP成長率は1.89% (2023年推定)・2.46% (2022年推定)・1.57% (2021年推定)となっており現在、18カ国と14のFTAを締結しています。2027年までにFTAカバー率(タイの貿易総額に占めるFTA締結相手国・地域との貿易額のシェア)を80%まで引き上げることを目標としています。
経済面では1980年代以降、日本企業の進出が活発化し、多くの雇用を創出しています。現在では約1500社以上の日本企業が活動しており、タイ経済成長に寄与しています。外交面でも戦後の平和条約締結を機に関係が修復され、2022年には両国関係が戦略的パートナーシップへと格上げされています。

主要データ
国名 | タイ王国 |
首都 | バンコク |
総人口 | 69,920,998人 (2024年推計) |
生産年齢人口比率 | 69%(2024年推定) |
年齢中央値 | 41.5歳 (2024年推定) |
出生率 (出生数/1000人あたり) | 9.9人(2024年推定) |
実質GDP | 1 兆 5,160 億USドル (2023 年推定) |
言語 | タイ語(90.7%)他(マレー語、ビルマ語他) |
通貨 | バーツ |
宗教 | 仏教徒92.5%、イスラム教5.4%、キリスト教1.2%、その他0.9%(アニミズム、儒教、ヒンズー教、ユダヤ教、シク教、道教を含む)(2021年推定) |
主要産業 | 観光、農産物加工、宝石や電気製品などの軽工業、自動車および自動車部品、農業機械、砂糖、米、漁業等 |
タイの財閥・有力企業
タイには、経済を支える大手財閥が複数存在し、さまざまな分野で事業を展開しています。特に影響力のある財閥は下記の通りです。
1. チャロン・ポカパン・グループ(Charoen Pokphand Group, CP Group)
概要: タイ最大の民間財閥で、食品、農業、小売、通信など多岐にわたる事業を展開しています。
特徴:
世界最大級の飼料・養殖エビ生産者であり、家禽や豚肉生産でも上位です。
セブンイレブンのフランチャイズ運営(タイ国内で12,000店舗以上)しています。
中国市場への進出が早く、中国で最初の外資企業として登録しました。
テスコロータス(現在はLotus’s)を買収し、小売事業をさらに拡大しています。
関連企業: CPF(食品)、True Group(通信)、CP Axtra(小売)。
2. セントラルグループ(Central Group)
概要: 小売・百貨店業界でトップ。ショッピングモールやホテルチェーンを運営しています。
特徴:
タイ国内外でショッピングモールや百貨店を展開しています。
ベトナムやヨーロッパ市場への積極的な進出しています。
高級品から日用品まで幅広い商品ラインアップを提供しています。
3. TCCグループ(Thai Charoen Corporation Group)
概要: 酒造、不動産、消費財など多岐にわたる事業を展開するコングロマリットです。
特徴:
ChangビールやOISHIブランドが有名です。
不動産開発やホテル事業も手掛けています。
ビッグCハイパーマーケットを運営しています。
4. キングパワーグループ(King Power Group)
概要: タイ最大の免税店チェーンを運営し、観光業との関連が強いです。
特徴:
空港内免税店を独占運営しています。
観光客向けビジネスに特化しています。
5. TCPグループ(T.C. Pharmaceutical Group)
概要: 世界的なエナジードリンク「レッドブル」の創業者一族が率いる企業です。
特徴:
飲料製品だけでなく、多角的な事業展開を行っています。
6. サイアムセメントグループ(Siam Cement Group, SCG)
概要: 王室系財閥で、建設資材や石油化学分野でタイ国内最大級です。
特徴:
タイ王室財産管理局が設立しました。
化学事業や包装資材事業への投資が進んでいます。
タイにおける日系企業の事例
タイにおける日系企業の事例を紹介します。
CoCo壱番屋
タイ市場への進出を成功させた日系企業として、CoCo壱番屋があげられます。タイでは「おしゃれな日本式高級カレー」というブランドイメージを確立しており、タイの大手外食チェーンと提携し、フランチャイズ展開を成功しました。2008年8月の初進出から、2025年現在では20店舗以上にまで拡大しています。
当社の成功要因としては、下記の4点があげられます。
1. ブランドイメージの転換
日本ではリーズナブルな価格帯で親しまれている一方、タイでは「おしゃれな日本式高級カレー」というブランドイメージを構築しています。
高級感を打ち出すことで、現地のローカルフードとの競合を避けています。
2. 味と品質へのこだわり
現地のカレーとの差別化を図るため、輸送コストがかかってもお米やカレーのルーは日本から輸入し品質を維持した。辛さだけはタイ人の嗜好に合わせ、日本よりも辛い設定に調整しています。
3. 戦略的な価格設定
日本と同じ価格設定(約600円)を採用し、現地では「高級レストラン」として位置づけました。
タイの物価水準からすると高価だが、これが高級感の演出につながり、若者や富裕層から支持を得ました。
4. 現地企業との提携
多くの日系企業が自力で展開する中、CoCo壱番屋は現地の大手外食チェーン(フジグループ)と提携し、フランチャイズ方式で進出し、現地企業のノウハウを活用することで、効率的な店舗運営を実現しています。

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JETRO・IMFなどの公的機関の二次情報を中心に、PROVE独自の調査により作成