台湾の市場調査・進出支援

台湾は高度な技術力と強固な製造基盤を誇り、特に半導体、電子機器、情報技術（IT）業界で世界的に影響力を持っています。経済成長率は安定しており、最近では3～4%程度を維持しています。成長要因としては、ハイテク産業の強化、特に台湾積体電路製造（TSMC）による半導体製造が重要な役割を果たしています。また、自由貿易港であることが輸出の促進に貢献し、世界中の企業と積極的に経済関係を築いています。

文化的には、中華文化を背景に持ちながらも近代化と西洋的な価値観、そして隣国である日本の影響を受けた独自の文化が形成されており、街中や店頭を見渡せば日本語が目につきます。一方で、礼儀や家族重視の価値観が根強く、ビジネスにおいても信頼関係の構築が重要とされています。対話や協力を重んじる文化が、ビジネスにおいても大きなポイントです。

規制面では、台湾は比較的自由な経済環境を提供していますが、輸出規制については、特に高技術製品や軍事技術の取り扱いに関して厳格です。

日系企業の視点としては、消費財・サービス業をはじめとした多くの日系製品・ブランドが現地に根付いていることもあり、非常に親和性のある市場といえます。

主要データ

国名	台湾
首都	台北
総人口	23,595,274人（2024年）
生産年齢人口比率	69.0%（2024年）
年齢中央値	44.6歳（2024年）
出生率	0.73（2024年）
実質GDP	11,430 億USドル（2019年）
言語	台湾華語(Mandarin)、台湾語(Min nan)、客家語(Hakka)、約16の先住民族言語
通貨	台湾ドル（TWD)
宗教	仏教35.3%、道教33.2%、キリスト教3.9%、民間信仰約10%、無宗教およびその他18.2%（2005年推定）
主要産業	電機および情報通信機器/石油精製/化学/繊維/鉄鋼/機械/セメント/食品加工/車両/日用品/薬品

最大の特徴は半導体・電子産業における極めて強い影響力と技術力をもつ企業群です。

熊本への進出でも話題となった、台湾積体電路製造（TSMC）をはじめとした半導体製造各社は台湾経済の中核をなす存在です。加えて世界最大の電子機器受託製造業者である鴻海精密工業(Foxconn)や、日本でもよく見かけるようになったPCメーカーの宏碁（Acer）や華碩（ASUS）といった電子機器メーカーがGDPを牽引する存在となっています。

またこうした企業群のサプライチェーンを支える企業でも、グローバル物流事業者である長榮海運（Evergreen Marine）は海運業で輸送量世界6位の地位を占めています。

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台湾における日系企業の事例を紹介します。

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス（ドン・キホーテ）

地理的に近い隣国であることと社会・文化の日本との親和性から、多くの日系企業がビジネスを展開しています。

小売業のドン・キホーテを運営するPPIHグループは2019年に「DON DON DONKI」ブランドで台湾市場に参入し、日本製品への高い需要を捉えました。台湾では折しも、元来人気の渡航先であった日本への移動がコロナ禍によって制限され、消費者にいわゆる「日本ロス」が発生した時期でした。ドン・キホーテは特に都市圏の若者をターゲットとし、「日本産」や「日本直送」を強調した地方特産品の品揃え、日本らしい店内装飾や商品陳列による訴求でこの需要を獲得しました。また、店内に電子レンジ付きの飲食スペースを設置し、購入した日式惣菜をその場で食べられるようにするといった、ただの小売店にとどまらないテーマパーク的な体験も人気を博しました。また、背景にはSNS利用率が8割とアジア平均の6割よりも高く、口コミが爆発的に広まりやすいという市場特性もあり、多くのインフルエンサーによる宣伝も奏功したといわれています。

現在は台湾の大都市圏に5店舗を展開しています。業績も拡大途上であるほか、円安を追い風にした日本国内事業にもシナジーが生じており、台湾からの顧客による購買は前年比153.2％(2025年6月期)、国内免税事業の20％以上を占めています。