フィリピンの市場調査・進出支援

フィリピンは、東南アジアで最も成長が期待される経済圏の一つとして注目されています。2025年の経済成長率は6.0~8.0%が政府目標であり、政府の大規模インフラ整備計画「Build Better More」が経済を力強く牽引しています。BPO産業の発展やデジタルサービスへの投資増加が、この成長を後押しする主要な要因となっています。
文化的には、英語とフィリピノ語が公用語として使用され、約80%がカトリック教徒という宗教的背景を持っています。若年層が多く、生産年齢人口比率が高いことも、経済的な潜在力を示す重要な特徴です。英語が堪能な労働力は、グローバルビジネスにおいて大きな強みとなっています。
ビジネス環境においては、経済特区の活用や外資規制の緩和が進む一方で、インフレリスクや為替変動、自然災害リスクなどにも注意が必要です。最低賃金の上昇や労働法規の厳格化といった課題もありますが、豊富で質の高い労働力と成長著しい国内市場は、多くの外国企業にとって魅力的な投資先となっています。

主要データ

国名フィリピン
首都マニラ
総人口118,277,063人(2024年推定)
生産年齢人口比率64.3%(2024年推定)
年齢中央値25.7歳(2024年推定)
出生率
(出生数/1000人あたり)
22.1(2024年推定)
実質GDP1兆1,380億USドル(2023年推定)
言語タガログ語 39.9%、ビサヤ語/ビニサヤ語 16%、ヒリガイノン語/イロンゴ語 7.3%、イロカノ語 7.1%、セブアノ語 6.5%、ビコル語 3.9%、ワライ語 2.6%、カパンパンガン語 2.4%、マギンダナオ語 1.4%、パンガシナン語/パンガラト語 1.3%、その他の言語/方言 11.2%、未指定 0.4%(2020年推定)
通貨フィリピン・ペソ
宗教ローマ・カトリック 78.8%、イスラム教 6.4%、イグレシア・ニ・クリスト 2.6%、その他のキリスト教 3.9%、その他 8.2%、無宗教/未指定 0.1%未満(2020年推定)
主要産業半導体・電子機器組立/ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)/食品・飲料製造/建設/電気・ガス・水道供給/化学製品/ラジオ・テレビ・通信機器・装置/石油・燃料/繊維・衣料/非金属鉱物/基礎金属産業/輸送機器

フィリピンの財閥・有力企業

フィリピン経済において財閥企業は重要な役割を果たしており、国内GDPの約3割を占めています。主要な財閥には、SMグループ、アヤラ・グループ、GTキャピタル・グループ、サン・ミゲル(SMC)グループなどがあります。

SMグループは小売、不動産、銀行業を中心に展開し、SMプライムホールディングスやBDOユニバンクを傘下に持っています。アヤラ・グループは不動産開発や銀行業で強みを持ち、BPIを運営しています。GTキャピタルはトヨタのパートナーとして知られ、金融分野でも幅広く事業展開しています。

サン・ミゲルグループはビール事業で国内シェア9割超を誇り、食品、インフラ、エネルギーなど多角的に事業を展開しています。

これらの財閥企業は、フィリピン経済の発展に大きく寄与しています。


フィリピンにおける日系企業の事例

フィリピンにおける日系企業の事例を紹介します。

ユニクロ(ファーストリテイリング)

フィリピンにおける日系企業の成功事例として、ユニクロ(ファーストリテイリング)の進出が挙げられます。ユニクロは2012年6月、フィリピンの首都マニラにある「モール・オブ・アジア」に1号店をオープンし、フィリピン市場に進出しました。約470坪の大型店舗で、メンズ、ウィメンズ、キッズ商品を取り揃え、フィリピンの消費者に日本発のファストファッションを提供しました。
この進出は、シンガポール、マレーシア、タイに続くもので、ユニクロが東南アジア市場での基盤を強固にし、さらなる飛躍と拡大を目指す一環でした。

フィリピン進出から約5年後の2017年には、ユニクロはフィリピン全土で40店舗にまで店舗網を拡大しました。この急速な拡大は、フィリピンの消費者からの高い支持を示しています。特に、海外旅行経験が豊富で、ユニクロをグローバルなアパレルブランドとして認識する富裕層や、ユニクロを憧れのブランドとして捉える中間層上位がターゲットです。

ユニクロは基本的に標準化戦略を採用していますが、フィリピン市場の特性に合わせて一部適応化も行っています。例えば、グローバルブランドイメージを維持しつつ、現地セレブリティの起用や現地文化への配慮を行っています。2019年には、フィリピン出店5周年キャンペーンでミス・ユニバースのフィリピン代表をイメージキャラクターとして起用し、現地消費者との親和性を高めました。また、高齢者を労わる文化に合わせ、店内に待合用の椅子を提供するなどのサービスも実施しています。

2019年11月には、フィリピンの避暑地として有名なバギオ市にも進出し、オープニングセールには多くの消費者が詰めかけました。これは、ユニクロがフィリピン全土での店舗展開を積極的に進めていることを示しています。ユニクロのフィリピンでの成功は、高品質な商品、適切な価格戦略、そして現地消費者のニーズを理解した効果的なマーケティング戦略の結果と言えます。2025年現在、ユニクロはフィリピン市場で確固たる地位を築き、アパレル業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。

※画像はイメージです

フィリピン出張レポート

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