ラムウェストン(Lamb Weston)とはどんな会社?  

ラムウェストンは、アメリカに本社を置く冷凍フライドポテトを製造・販売する世界大手メーカーです。レストランや小売店向けに製品を開発しており、世界100カ国以上で販売されています。本記事では、ラムウェストンの会社概要や経営状況を解説します。 

ラムウェストンとはどんな会社 

出典:ラムウェストン 

ラムウェストンは、グローバルに活躍する食品加工メーカーです。その証拠に、deallabの「冷凍食品業界の世界市場シェアの分析(2022年)」において、ラムウェストンは世界5位にランクインしました。ここでは、同社の会社概要と歴史、モットーを紹介します。 

会社概要 

同社の会社概要は以下のとおりです。 

​​会​社名 Lamb Weston Holdings, Inc. 
本社 アメリカ 
設立 1950年 
進出地域 世界100カ国 
従業員 10,700人以上
(2024年7月17日時点) 
売上高 65億ドル(2024年度) 

歴史 

ラムウェストンの歴史は、1950年に創業者のギルバート・ラム氏がオレゴン州の生活協同組合の廃工場を購入し、法人化したことが始まりです。同社は1960年に、水圧でポテトをカットする機器「ウォーターガン・ナイフ」を発明。1983年には、生産ライン上で欠陥製品を排除するシステムを発明しました。 

1988年にはカナダに加工工場を建設し、商品の販売を開始。2007年にはワシントン州の工場を拡大し、2008年にはポテトフライの加工施設を買収しました。さらに、2010年にはルイジアナ州にサツマイモの加工工場を開設しました。 

2016年にはワシントン州に最新鋭のイノベーションセンターを開設。2022年には、アイダホ州の既存施設に新しいフライドポテト加工ラインの建設を発表しました。

2023年には、中国で最もポテト栽培が盛んな地域の一つである内モンゴル自治区ウランチャブ(烏蘭察布)で、年間2億5,000万ポンドの冷凍ポテト製品を生産できる施設を開設しました。 

このように、同社は積極的な設備投資を通じて事業を拡大してきたのが特徴です。 

モットー:プレミアムな約束 

ラムウェストンは、最高の味と利益率の高いポテト製品を生み出すために次の項目を柱とする「プレミアムな約束」をモットーに掲げています。 

  • プレミアムポテト 

ポテトの品質にこだわり、最高のものだけを消費者に提供する。 

  • プレミアム製品 

消費者が喜ぶ製品の開発に全力を尽くす。 

  • プレミアムパートナー 

レストランや小売店からパートナーに選ばれるように、情熱のすべてをフライドポテトとポテト製品に捧げる。 

ラムウェストンの経営状況 

ラムウェストンの経営状況として、直近6年間の売上高・EBITDAの推移を紹介します。※EBITDAは、営業利益に減価償却費を加えた指標を指します。 

参考:ラムウェストン「Investor Relations」 

2024年度の売上高は65億ドル(9,750億円)で、2023年度の54億ドル(8,100億円)と比較して、11億ドル(1,650億円)増加しました。また、2024年度のEBITDAは16億ドル(2,400億円)で、2023年度の14億ドル(2,100億円)と比較して、2億ドル(300億円)増加しました。※1ドル=150円換算 

売上高とEBITDAが増加した主な要因は、欧州の合弁会社「LW EMEA」の残りの株式50%を取得し、完全子会社化したことが挙げられます。LW EMEAの持分増加に伴い、売上高とEBITDAが押し上げられたためです。 

2024年度はインフレを背景に製品価格を見直したものの、販売数量は減少しました。さらに、第4四半期には自主的な製品撤回があり、販売数量にマイナスの影響を与えました。 

ラムウェストンの事業別売上高の推移 

ラムウェストンの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:ラムウェストン「Investor Relations」 

ラムウェストンは地域で2つの事業に区分しており、中核を担っているのは北米事業です。ここでは、さらに各事業の内容に加えて、売上高とEBITDAの推移を紹介します。 

北米事業 

北米事業はアメリカ・カナダ・メキシコのレストランやチェーン店、小売業者向けに冷凍フライドポテトや業務用食材、前菜などを販売する事業です。同事業の売上高とEBITDAの推移は以下のとおりです。 

参考:ラムウェストン「Investor Relations」 

※事業再編のため、2021年以前のデータは公表されていません。 

2024年度の売上高は44億ドル(6,600億円)で、2023年度の42億ドル(6,300億円)と比較して、2億ドル(300億円)増加しました。また、2024年度のEBITDAは12億6,000万ドル(1,890億円)で、2023年度の11億6,000万ドル(1,740億円)と比較して、1億ドル(150億円)増加しました。 

売上高が増加した要因は、インフレを背景とする販売価格の上昇が挙げられます。ただし、北米事業の販売数量は減少しました。また、EBITDAが増加した要因は販売価格の上昇に加えて、輸送コストの低下が挙げられます。 

国際事業 

国際事業は、北米以外の地域のレストランやチェーン店、小売業者向けに冷凍フライドポテトを販売する事業です。同事業の売上高とEBITDAの推移は以下のとおりです。 

参考:ラムウェストン「Investor Relations」 

※事業再編のため、2021年以前のデータは公表されていません。 

2024年度の売上高は21億ドル(3,150億円)で、2023年度の11億ドル(1,650億円)と比較して、10億ドル(1,500億円)増加しました。また、2024年度のEBITDAは3億3,000万ドル(495億円)で、2023年度の2億3,000万ドル(345億円)と比較して、1億ドル(150億円)増加しました。 

売上高とEBITDAが増加した要因は、先に紹介したようにLW EMEAの完全子会社化により、売上高が11億740万ドル(1,661億円)増加したことが挙げられます。ただし、LW EMEAの影響を取り除くと、販売量の減少により2024年度の売上高は2023年度と比較して1,200万ドル(18億円)減少しました。 

ラムウェストンの再構築計画 

2024年度のラムウェストンの業績は、LW EMEAの完全子会社化が大きく貢献し、売上高とEBITDAの拡大につながりました。しかし、北米事業と国際事業のいずれも販売数量が減少しました。 

2025年度に入るとさらに減速し、2025年度第1四半期決算では、2024年度第1四半期の売上高と比較して1%減少、純利益に至っては46%減少しています。これを受け、同社は「再構築計画」を打ち出し、コスト削減を進める方針です。「再構築計画」の具体的な計画は以下のとおりです。 

●再構築計画 
  • 2025年度に5,500万ドルのコストを削減する 
  • 2025年度の設備投資費8億5,000万ドルのうち、1億ドルを削減する 
  • ワシントン州の生産施設の生産ラインを一時的に削減する 
  • 全世界の従業員の約4%を人員削減する 

ラムウェストンは積極的な設備投資で成功 

ラムウェストンは、レストランや小売店向けの冷凍フライドポテトに強みを持つメーカーです。同社の経営戦略は、積極的な設備投資で生産能力を高めてきたことです。この経営戦略は現在も続いており、直近では「2022年にアメリカン・フォールズ工場を拡大」「2023年に中国のウランチャブに生産施設を開設」「2023年にオランダのクライニンゲンの生産能力を拡大」などが挙げられます。事業拡大や海外進出を検討している経営者様は、同社の事業展開の仕方を参考にしてみてはいかがでしょうか。 

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