
YADEA(ヤディア)は、中国に本社を置く世界最大の電動二輪モビリティメーカーです。電動自転車・電動バイク・電動キックボードの開発・販売を行っており、2025年には電動二輪モビリティの累計販売台数が1億台を突破しました。本記事では、YADEAの会社概要や経営状況を解説します。
YADEAとはどんな会社

出典:YADEA
YADEAは、電動二輪モビリティを100カ国以上に展開するグローバル企業です。4,000以上の販売代理店、40,000店舗を超える小売ネットワークを展開しています。本記事では、同社の会社概要や歴史、経営理念について紹介します。
会社概要
YADEAの会社概要は以下のとおりです。
会社名 | Yadea Group Holdings Ltd. |
本社 | 中国 |
設立 | 2001年 |
進出地域 | 世界100カ国 |
拠点 | 製造工場:8拠点 研究開発センター:2拠点 |
販売代理店 | 4,000以上 |
小売店 | 40,000店舗以上 |
従業員 | 12,338人(2023年12月31日時点) |
売上高 | 348億人民元(2023年度) |
歴史
YADEAは、2001年に設立された中国の電動二輪モビリティ企業です。2007年に国際市場への進出を開始し、2015年にはアメリカ・ドイツ・イギリス・フランス・日本・韓国など、66カ国への輸出を開始しました。
2017年には世界累計販売台数が400万台を突破。2019年にはベトナムに生産拠点を設立し、生産能力を拡大しました。2020年に販売台数が1,000万台を超え、2021年には中国の重慶に新たな生産拠点を開設。2022年には年間販売台数が1,400万台を突破し、2025年には世界累計販売台数が1億台を超えました。このようにYADEAは、積極的な生産能力の拡大により、世界最大の電動二輪モビリティメーカーに成長しています。
経営理念
YADEAは「ELECTRIFY YOUR LIFE(あなたの暮らしを電化する)」をスローガンに、開発・生産・海外展開に力を入れています。この実現のために、次の3つの項目を重視しています。
- Our wish(願い)
環境に優しい移動手段を担う新世代を育成することで、業界のリーダーシップを強化する。
- Our mission(使命)
電動モビリティの革新と中核技術の習得に加え、国際的な安全・品質基準を順守し、世界に優れた電動モビリティソリューションを提供する。
- Our promise(約束)
ユーザーに便利で安全、自由で快適な体験を提供する。
YADEAの経営状況
YADEAの経営状況として、直近6年間の売上高と粗利益の推移を紹介します。

参考:YADEA「INVESTORS RELATIONS」
2023年度の売上高は348億人民元(6,960億円)で、2022年度の311億人民元(6,220億円)と比較して、37億人民元(740億円)増加しました。また、2023年度の粗利益は59億人民元(1,180億円)で、2022年度の56億人民元(1,120億円)と比較して、3億人民元(60億円)増加しました。※1人民元=20円換算
売上高と粗利益が増加した要因は、電動自転車の需要拡大による販売台数の増加が挙げられます。実際に、2022年度の電動自転車の販売台数は897.6万台でしたが、2023年は1,156.1万台で28.8%増加しました。一方、電動バイクについては、2023年度の販売台数が496万台で、2022年の503.4万台と比較して1.5%減少しました。
また、同社の製品別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:YADEA「INVESTORS RELATIONS」
グラフから、同社の主力製品は電動自転車・バッテリー・充電器・電動バイクであることがわかります。加えて、地域別の売上高の紹介は公表されていませんが、同社の売上高や粗利益の90%以上は中国での販売によるものです。
YADEAの事業別売上高の推移
YADEAの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。同社の事業別売上高の推移は以下のとおりです。

参考:YADEA「INVESTORS RELATIONS」
グラフより同社の中核事業は、「電動二輪車及び関連アクセサリー事業」と言えます。この章ではさらに、各事業の内容に加えて、売上高と粗利益の推移を紹介します。
電動二輪車及び関連アクセサリー事業
電動二輪車及び関連アクセサリー事業は、電動自転車や電動バイクなどの電動二輪モビリティとアクセサリーの製造・販売を担う事業です。同事業の売上高と粗利益の推移は以下のとおりです。

参考:YADEA「INVESTORS RELATIONS」
※事業再編のため、2021年度以前のデータは公表されていません。
2023年度の売上高は345億人民元(6,900億円)で、2022年度の304億人民元(6,080億円)と比較して、41億人民元(820億円)増加しました。一方、2023年度の粗利益は52億6,000万人民元(1,052億円)で、2022年度の53億1,000万人民元(1,062億円)と比較して、5,000万人民元(10億円)減少しました。
売上高が増加した要因は、電動自転車の販売数量の増加が挙げられます。一方、粗利益が減少した要因は研究開発費や管理費用などのコスト増加が挙げられます。
バッテリー事業
バッテリー事業は、バッテリーの製造・販売を担う事業です。同事業の売上高と粗利益の推移は以下のとおりです。

参考:YADEA「INVESTORS RELATIONS」
※事業再編のため、2021年度以前のデータは公表されていません。
2023年度の売上高は46億人民元(920億円)で、2022年度の39億人民元(780億円)と比較して、7億人民元(140億円)増加しました。また、2023年度の粗利益は6億3,000万人民元(126億円)で、2022年度の3億3,000万人民元(66億円)と比較して、3億人民元(60億円)増加しました。売上高と粗利益が増加した要因は、バッテリーと充電器の販売台数の増加が挙げられます。
この結果から、バッテリー事業はYADEAの売上高や粗利益に占める割合は大きくないものの、2023年度の成長を牽引した事業と言えます。
YADEAの日本進出の状況
2023年、YADEAは長谷川工業株式会社と共同開発した日本向け電動キックボードを発売し、本格的に日本市場へ参入しました。現在では、北海道から沖縄まで販売網を構築し、日本全国に製品を展開しています。
その日本では、2023年7月の道路交通法改正により、一定の基準を満たす電動キックボードであれば、16歳以上は運転免許なしで利用できるようになりました。これにより、電動キックボードは手軽な移動手段として注目を集めています。
また、同社の電動スクーター「Modern」にも注目が集まっています。その証拠に、「日経トレンディ 2025年ヒット予測」で9位にランクインしました。このように、YADEAは電動キックボードや電動スクーターの日本市場でシェア拡大を目指しています。
参考:YADEA「「日経トレンディ 2025年ヒット予測」9位受賞」
YADEAは中国を中心に100カ国に展開
YADEAは、電動二輪モビリティの世界最大メーカーです。同社は中国国内での売上高が全体の90%以上を占めています。また、積極的に海外市場へ進出しており、すでに100カ国で事業を展開しています。今後は、日本をはじめとする海外進出の取り組みや海外売上比率の高まりに注目しましょう。