日系コンビニの海外展開。ローカルで愛される戦略の工夫とは

我々の生活の中でなくてはならないお店といえばコンビニエンスストアでしょう。コンビニエンス=便利という意味でいうと、以前はさまざまな生活用品や食品が遅い時間でもいつでも購入可能、という意味での便利なお店でした昨今では、サービスが多様化し、オンラインプリント、お金の引き落としや振り込み、チケットの購入、荷物の配送、オンラインで購入した荷物の預かり、受け取りなども可能で、商品購入以外の分野でも便利に活用可能なお店になってきています。 

本記事では、日系企業のコンビニの海外展開についてご紹介します。

 

日本のコンビニ市場

日本国内にあるコンビニ店舗の合計は2020年1月に56,986店舗、2021年1月に56,948店舗でほぼ横ばい状態。以前までは拡大路線で店舗を増加させてきましたが、出店の増加は止まっている状態です。 

日本のコンビニ売上は2020年、約11兆6400億円規模。2018年まではゆるやかに売上高が上昇していましたが、新型コロナウイルスなどの影響により、若干低下しています。 

日本のコンビニ売上高推移

*Total単位 百万円

 

順位 コンビニ名 店舗数
1 セブンイレブン 21,109
2 ファミリーマート 16,641
3 ローソン 14,672
4 ミニストップ 1,970
5 デイリーヤマザキ 1,393
6 セイコーマート 1,172
7 NewDays 661

表1 コンビニチェーンの2020年国内の店舗数のシェア

 

コンビニの経営形態​

まず海外展開の話を進める前に重要なコンビニの経営方式の説明をします。

日本でも本社が直接経営をする直販店、ライセンスを使用して別の経営者が経営を行うフランチャイズ店が存在します。そして海外での経営で重要な役割を示すのが、エリアライセンシー。エリアライセンシーとは、ブランド名のみを使用し経営できる方式のことです。商品展開や、経営方針などは独自のものを使用可能なので、その地域にあった商品を選択することが可能です。さらに商品その流通販路など持ち合わせ経営することさえ可能であれば、店舗を運営することができ、店舗の拡大には大変有利です。

このエリアライセンシーは、いうなれば看板を貸し出すのみになるので、そのライセンスを使用したい商店や企業が存在すればすぐに店舗を展開することができます。そのため、店舗が広がるたびに知名度も上がり、集客も増加し、さらに店舗を増やしていけるという訳です。

セブンイレブンではこの方式を海外で多く採用し、店舗数を増加させることに成功しています。ただし、商品は自由なものを販売可能なため、統一した商品の販売や、会社のブランド力の維持などに関しては構築することは通常の経営形態と比較して、難しくなります。どちらにせよ、会社の名前を現地の人々に周知してもらうことは可能といえます。 

 

日本のコンビニ企業の海外展開

日本資本のコンビニは世界でも有数の店舗数を誇ります。日本国内の店舗数が多いとはいえ、日本を含めた世界の店舗数を見ても、日本資本のコンビニは、セブンイレブンが1位、次にファミリーマート、4位にローソンと続き、多くの日本企業のコンビニ店舗が存在していることがわかります。 

それでは具体的に日本のコンビニ各社はどのような海外展開を行なっているのでしょうか。

 

セブンイレブンの海外展開

アメリカのセブンイレブン

セブンイレブンはもともとアメリカのテキサス州で生まれた氷販売店が基礎となっています。それを通常よりも長時間営業し、さらに日用品も取り扱い、現在のコンビニエンスストアの形態になりました。日本へは1974年、江東区豊洲に第1号点を開店したのが始まりです。1991年に米国の株式を取得しました。 

世界では7万店舗以上が展開されており、日本の約21,000店舗、アジア地域の約36,000店舗、北米で約12,000店舗、オーストラリアで約700店舗、ヨーロッパで約400店舗、中東で12店舗など世界中に店舗を有しています。セブンイレブンは海外、特にアメリカでは以前から存在していたため、地元の人々もよく知るコンビニとして定着しています。アジア地域では、エリアライセンシーを活用して店舗の急激な拡大を進めています。 

商品の内容は、店舗独自の商品を取り扱い、初めてコンビニが導入される地域の人々の買い物習慣も考慮して決めています。そのため、より現地の人々から親しまれている要因にもなりさらなる店舗の拡大の後押しもしています。 

ローソンの海外展開

ローソンももともとはアメリカのオハイオ州で生まれ、ミルクを販売していたお店です。ローソンの看板にある牛乳の瓶のようなマークは、それが起源になっているのですね。日本には1975年に上陸し、それ以降日本で拡大していきました。  

海外展開に関しては、中国の進出最も早く、1996年には中国初の日系コンビニエンスストアを上海にオープンしました。現在では4,000店舗ほど中国国内に店舗を有し、着々とその店舗数を増加させています。 

その他の地域では、2012年ハワイのホノルル、2013年タイ、2014年フィリピンに上陸しています。海外店舗の約90%が中国で展開されており、経済発展めざましく、コンビニを利用する人口も多い中国へ注力していることが窺えます。 

中国国内の店舗数では、上位は中国資本の店舗が多いものの、ローソンは10位以内におり、日本企業としてのブランド力や、高品質さなどにより今後も広く展開されることが予想されています。 

 

ファミリーマートの海外展開

ファミリマート店舗

ファミリーマートは埼玉県狭山市に1973年に第1号店がオープンしました。その後am/pmやサークルK・サンクスとの統合を経て、現在に至ります。海外での展開は世界で約8,300の店舗を出店されています。

まずは1998年の台湾の出店この台湾がファミリーマートの海外店舗の中でも、最も店舗数が多く約3,400店、二番目に中国の約2,500店そしてタイの約970店と続きます。店舗数の内訳では、やはり最初に進出した台湾での店舗数が全海外店舗の約半数を占め、台湾での店舗拡大に重点が置かれていることがわかります。台湾でファミリーマートは「全家便利商店」と呼ばれています。名前の「全家」は、「家族全員」という意味、「便利商店」は台湾で「コンビニ」という意味なのでコンビニのファミリーマートとなり、日本人にもわかりやすく、現地の人々にも親しみやすい名前ですよね。 

そしてファミリーマートの店舗は日本のデザインや色使いと同じグリーンホワイトブルーのラインに「Family Mart」中華圏ではその前に「全家」と書かれており、こちらもコンビニとしてのブランドが確立しており、日本人が訪れても大変わかりやすいデザインです。日本企業としてのブランドや、漢字を含めたロゴ使用するなど、より地元に浸透しやすい戦略と、商品内容を選択し、多くの現地の人々から親しまれるような展開を行なっています。 

ミニストップの海外展開

ミニストップは、小売大手、現在のイオン出資のもと、設立されたコンビニです大手3社に比べ設立は遅く、1980年に第1号の店舗が横浜市大倉山に初出店しました。 

初の海外出店は1990年に韓国、2000年にフィリピン、2009年に中国、そして2011年にベトナムに出店しています。現在は海外の店舗数が、国内の店舗数を超えて3,000店舗以上が展開しています。中国には現在78店舗、韓国が2,556店舗、フィリピンに503店舗、ベトナムは116店舗展開しています。特に韓国に注力し、世界展開は主にアジア、東南アジア内での展開となります。 

やはり日本の企業や文化がより親しまれており、経済発展が望める国々への出店が多く、日本の文化とともに現地の方々に受け入られている結果と言えるでしょう。 

 

 海外の有名コンビニ

アメリカのコンビニ店内

アメリカは車社会です。多くの地域では自動車がないと移動が難しくなります。そこで、ガソリンを入れるついでに寄ることの可能なガソリンスタンド併設型のコンビニが多く存在し、ガソリン販売会社と提携、またはガソリン販売会社が経営するコンビニが、多く見受けられます。セブンイレブンもガソリンスタンド併設型と、単独の店舗があります。 

日本にかつて存在したサークルKも、北米では健在で、世界各国に14,000店舗存在します。東南アジアでは現地資本のローカル店舗が多く存在し、日本ほどの規模コンビニチェーンは存在していません。 

その中で日本のコンビニチェーンは、記述したエリアライセンシーを使用したり、現地に合わせた商品も取り扱うなど、日本のコンビニであるという知名度や、ブランドで集客をするとともに、より地域の人々から利用しやすくすることで、店舗数を拡大しています。 

 

コンビニの新しい展開

多種多様なサービスを取り扱い、利用者の利便性を増してきたコンビニ業界ですがさらに新しいフェーズへと突入しています。それは、デジタル、IT、AI、IoTなどの最新の技術を使用し、無人のコンビニ、というのが今後展開され、普及していくと見られています。在庫注文集中管理システムや、最近ではセルフレジの導入など、少しずつ人の手がかからないような体制になりつつあります。 

そのような状況の中、ファミリーマートではすでに2021年3月末、レジを無人で行う店舗を設置しています。天井のカメラとセンサーで、入店者が手に取った商品を把握するシステムを使用し運営をしています。そして今後ファミリーマートでは2024年末までに無人の店舗を1,000店まで増やす計画を発表しています。 

日本だけではなく、デジタルやIT技術に強い中国でも無人店舗は存在しており、スマートフォンで会員登録をしロックが解除できる完全無人店舗やレジのみ無人で行う店舗など種類もさまざまです。特に「便利蜂」(Bian Li Fen)は、無人レジを採用し、店舗を次々と拡大させています。初出店は2017年ですが、2020年には1,500店舗、2022年までに1万店舗を出店する計画です。 

このような無人店舗は昨今の働き手の不足や、人権の高騰により人材確保が難しくなっている面などに対してのメリットがあります。日本、海外店舗問わず就労人員の確保も少なく、商品やサービスの限られた小規模店舗、小型無人機として運営することも可能です。この小型無人店舗であれば今までに展開されていなかった人口の少ない地域でも運営することができ、より多くの利用者が活用することが可能になります 

利用者にとっても、レジの台数が多ければレジに並ぶことも少なくなり、レジの人との煩わしいコミュニケーションも減少するのでより利用しやすくなりますよね。この形態であれば、一層海外への浸透も容易になり、より多くの人々が日本のコンビニを親しむことが可能です。 

 

まとめ

海外でも成長を続けるコンビニ。日本の企業が多く進出し、エリアライセンシーなどを活用して、地域にあった方法で続々と店舗が増加し現地の人々へ浸透してきています。コンビニは近くにあればあるほど便利で、認知度やブランド力も増加します。その中で最新の技術を使用し、無人で小型の店舗をさらに普及させることで、より多くの人々が利用でき、今までにコンビニを利用していなかった人々のいる地域でも、日本のコンビニが普及し、まさに「便利」なコンビニが多くある未来になるといいですよね。

 

​^表1

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html

^コンビニ統計

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html

^セブンイレブンの世界展開

https://www.google.co.jp/amp/s/www.ryutsuu.biz/abroad/m012245.html/amp

^ローソンの歴史

https://www.lawson.co.jp/company/corporate/data/history/detail/

^ローソン海外

https://www.lawson.co.jp/company/news/category/local/8/index.html

https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1440045_2504.html

^ファミリーマート海外展開

https://www.family.co.jp/company/news_releases/2012/20120312_01.html

^ミニストップ海外展開

https://www.ministop.co.jp/corporate/about/tips/outline.html

^ファミリーマート無人店舗

https://www.jiji.com/sp/article?k=2021033001031&g=eco

^便利蜂

https://news.yahoo.co.jp/byline/takizawayoriko/20200629-00185458

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