外資規制とは?海外進出に必要不可欠な基礎知識を主要国ごとにご紹介

「外資規制」とは、外国人や海外の企業による投資の制限のことを指します。海外企業に投資しようと検討している日本企業は、相手国の政府の外資規制の政策についてよく知っておく必要があります。今回は、外資規制が必要な理由や海外との違いなどについて詳しく解説いたします。

外資規制とは?

道路上のSTOP文字と光

外資規制とは、「外国人または外国企業による国内企業への投資に対する規制」を指します。世界中の国々それぞれに資源や資産があり、これらを守るために国は外資系企業に対して一定の規制を設けることがあります。日本においては、国家の安全保障、公の秩序の維持および公衆の安全などを目的として、外為法および個別の業法により、外国人または外国企業による国内企業への投資が制限されています。

外為法上は、外国投資家による一定の国内の株式の取得は対内直接投資に該当し、原則として日本銀行を経由して財務大臣および事業所管大臣に、当該株式取得を行った日の属する月の翌月15日までに事後報告を行う必要があり、その範囲で外資規制を受けることになります。また、個別の業法でも、一定の産業(通信、放送、航空等)においては、外国人または外国企業による国内企業への出資規制が設けられています。

外資規制を行う理由

外資規制を行うのは、自国の資源・資産などの重要な財産を他国に奪われないように守るためです。グローバル化が進んだ現代では、先進国は対外取引を原則自由としていますが、全てを自由にしてしまうと、他国の資源・資産も全てお金で手に入れられる事態が起こり得ます。

ところが、海外からの投資を全て禁止してしまうと、その国は国際競争に勝てないということも出てきてしまいますので、最小限で安全保障や自国経済の保護をできる内容で外資規制がなされるというわけです。外国為替及び外国貿易法でも、対外取引が自由に行われることをベースに、対外取引に最小限の管理医や調整を行うという規定がされています。

日本の外資規制について

さて、日本の外資規制はどのような政策になっているでしょう。日本では、外為法関連と個別行法関連の2本柱の法律で構成されています。なお、個別行法とは、各業界を規制する法律のことです。これから1つずつ解説していきます。

外為法による外資規制

外国為替

「外国為替及び外国貿易管理法」、通称「外為法」は、外国の投資家が日本の株式を取得する場合の事前の届出や事後報告を義務付けています。事前届出が必要なもの・事後報告でよいものがそれぞれあります。

事前届出が必要な投資には、アフリカや中央アジアの一部といった対内直接投資に関する条約がない国からの投資は、財務大臣及び主務大臣への事前届出が必要です。これらの国以外でも、次の産業に対しての投資は、事前届出が必要です。(→航空機、武器、原子力、宇宙開発、エネルギー、上水道、通信、放送、鉄道、路線バス、内航海運、石油、皮革、履物、農業、林業、水産業、警備業など)

上記で説明した事前届出が必要なもの以外の投資は、事後報告が可能です。しかし、株式取得を行なった日の翌月15日までに報告が必要になりますので注意してください。

個別業法による外資規制

個別行法による外資規制では、通信、放送、航空などの産業において外国人や外国企業による国内企業への出資規制が設けられています。ここでは、放送事業における外資規制違反があったことを紹介します。

2021年4月の報道で、フジテレビなどを傘下に置くフジ・メディア・ホールディングスが、2014年9月までの約2年間にわたり放送法の外資規制に違反していたことを認めました。放送法では、外国人の議決権比率を20%未満に制限していますが、この件では、過去に外資の比率が20%以上の違反状態となっていたことが発覚しました。放送事業者としての認定を受ける際には、事業者側が議決権の割合を自己申告するだけで、総務省がそれを確認できる仕組みになっていなかった体制も、問題だと指摘されていますが、規制違反にならないよう手続きの際にはかなり慎重にならないといけません。

海外の外資規制について

さて、ここからは海外における外資規制について解説します。日本企業の進出先として選ばれることが多い中国、アメリカ、インド、タイ、インドネシアの5ヵ国についてそれぞれの外資規制がどのようになっているか説明していきます。

東南アジアにおける外資規制(一例)

中国の外資規制

もともと中国は外資に対して厳しく制限をしていましたが、近年は緩和の報告にあります。従来は事前認可が必要だった外資企業の設立や変更が届出制になったりとハードルは下がっています。最近では「ネガティブリスト」という、外国との貿易や投資で、禁止・制限する対象をリスト化したものでの規制をしています。

中国ビジネスにおいては、このリストに掲載されている以外の業種・投資であれば構わないと捉えることも可能です。そして、2020年1月に施行された「中国外商投資法」も、理解しておく必要があります。これは、中国における外国資本による中国国内の投資に関する基本法で、外国投資活動の促進や投資の保護・管理を定めています。これまで存在しなかった株主総会を作る必要があるなど、組織構成に影響があります。なお、組織形態の変更には猶予期間があり、施行日の2020年1月1日から5年間とされていますので、2025年までに変更しなくてはなりませんので、注意が必要です。

アメリカの外資規制

アメリカでは、外国からの対内直接投資を歓迎する姿勢ではあるものの、国家安全保障上リスクがあると考えられるものについては外国投資委員会「CFIUS」が審査しています。CFIUSの権限を強化する法案「2018年外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」が、2020年2月に施行されました。FIRRMAでは、米国事業が保有している重要な非公開の技術情報へのアクセスや、重要技術、重要インフラなどに該当する非支配的な投資について審査対象となっています。他にも、米国が指定する不動産に関する取引についても審査対象になりました。

なお、「2018年輸出管理改革法(ECRA)」では分野別の投資規制が定められ、バイオテクノロジー、AI・機械学習技術、測位技術などの新興技術に連邦規制が適応されることがあります。 詳細は、JETROのページにて規制が掲載されていますので、ぜひご覧ください。(https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/invest_02.html

インドの外資規制

インドでは、インド準備銀行(RBI)が所管する「外為管理法」(FEMA)に基づき、商工省産業政策促進局(DIPP)が毎年発表する統合版FDIポリシー(Consolidated FDI Policy)により、外資の参入が禁止される分野と規制される分野が規定されています。インドへの投資を検討する上では、対象の業種が規制されていないかどうかを確認し、該当する場合、どのような規制の対象となるかを確認する必要があります。インドにもネガティブリストがあり、このリストに該当しなければ出資上限規制の範囲内で投資が自動的に認可されます。

また、出資規制がある業種も定められているので事前に確認しましょう。民間銀行業やノンバンク、保険業、民間航空業、通信サービス業など、定められた範囲での出資は政府承認ルートにより出資できます。それぞれ規定されていますので、チェックしましょう。

タイの外資規制

タイでは、「外国人事業法(Foreign Business Act)」が2020年3月に施行されました。タイでもネガティブリストがあり、ここに載っているリストは禁止・制限する対象となりますが、注意が必要なケースもあります。ネガティブリストにない業種だと判断したものの、リストにある「その他サービス業」に含まれて規制対象になってしまうことがあります。法律に違反した場合は、3年以下の懲役、もしくは10万〜100万バーツの罰金、または懲役と罰金両方が課せられるので注意が必要です。

禁止業種としては、第一種〜第三種まで分類されています。第一種は外国企業の参入禁止、二種と三種はそれぞれ内閣の承認や外国人事業委員会(BOI)の承認で許可されれば参入可能になります。なお、外資規制事業であっても、最低地本が一定の水準を満たしている第三種規制事業、事業ライセンスを得た事業、BOI投資奨励事業であれば規制対象外として認められます。それぞれ詳しい条件がありますので、検討されている方はJETROのページにて詳細をご覧ください。(https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_02.html

インドネシアの外資規制

インドネシアでは、政府が2021年に国内外の事業活動について、投資優先分野の申請し、特定の要件を持つ事業分野の改訂など規定されました。外資資本が禁止されているものとしては、武器、弾薬、戦争用機材生産などの国防産業や、賭博、遺跡、大麻栽培、酒類製造、珊瑚の採取などへの投資です。また、石油ガス採掘・供給等の一部サービス、1MW以下の発電、デパート、スーパーマーケット、ミニマーケット以外の小売、輸送機・建機・農機などのレンタル、美容室・床屋、など特定の業種は内資100%に限定されています。

規制されている業種は、卸売、小売、物流、サービスなどあり、外国資本による投資が規制されている業種はリスト化されているので、確認しておきましょう。なお、製造業は原則外資100%出資可能ですが、一部医療機器など例外があったり、人材派遣は外資不可とされていますが、職業訓練では外資67%上限となっていたり、それぞれ詳細を確認しておくと良いでしょう。

まとめ

ここでは外資規制とは何かについてと、国内外の外資規制について解説しました。各国で規制対象が異なりますし、細かな条件もよく調べておく必要があります。外資規制については、海外進出の際には検討段階で必ずおさえて置かなくてはならないポイントがいくつもありますが、実際に確認する上では、詳しいコンサルティング企業など専門家への相談をすることをおすすめします。

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