世界に広がる日本のカレー!海外進出に成功した企業4選を紹介

日本においてカレーは、家庭料理やキャンプなどの定番メニューで、子どもから大人まで人気のある国民食です。

その日本のカレーは、世界でも人気が広がっています。和食ブームで流行した「寿司」や「ラーメン」に続き、カレーに熱い視線が注がれているのです。

本記事では日本のカレーの概要や、海外進出事例4選を紹介します。

世界で人気の「日本のカレー 」

2022年に日本のカレーは、「tasteatlas」の「世界の伝統料理ランキング」で1位に輝きました。tasteatlas(テイストアトラス)とは、世界中の伝統料理のレシピや料理評論家によるレビューなどを紹介するグルメサイトです。

tasteatlasでは、日本のカレーの特徴を「辛さが少ない」「甘い」「色が濃い」「味が濃厚」と評しています。

また農林水産省でも海外向けに「Japanese Food Information」というポータルサイトを開設し、寿司やてんぷらなどの日本食と一緒に日本のカレーについて発信しています。

このような情報発信により、日本独自の伝統料理として「日本のカレー」が世界で人気を集めているのです。

参照:tasteatlas「Karē

参照:Japanese Food Information「Japanese Curry

日本のカレーのルーツ

日本のカレーが独自に進化したのは、そのルーツにあります。

カレーの起源はインドですが、日本はインドから直接カレーの文化が入ってきたわけではありません。18世紀にインドを植民地化していたイギリスを経由して、日本に伝わったのです。

インドではナンと一緒にカレーを食べますが、イギリスではベンガル地方の主食のお米を組み合わせたライスカレーとして食べていました。そのライスカレーが日本に伝わり、明治末期にはジャガイモ・玉ねぎ・人参がカレーの具材の定番となり、日本独自のカレーライスとなっていきます。

日本とインドのカレーの違い

インドのカレーではなく、日本のカレーが世界で人気なのはその違いにあります。ここでは日本のカレーの特徴を確認するために、双方のカレーの特徴について解説します。

  • インドのカレーの特徴

インドのカレーは一般的にルーを使用せず、多くのスパイスを調合して作るのが特徴です。スパイスの香りや風味を楽しむのがインドのカレーといえるでしょう。

またインドのカレーは、とろみがついておらずサラサラしており、小麦で作ったパンのようなナンやチャパティと一緒に食べられています。

  • 日本のカレーの特徴

日本のカレーは一般的に小麦粉が入ったルーを使用し、とろみがついています。またスパイスを家庭で調合することはあまりないため、味わいがマイルドなのも特徴です。

日本のカレーの海外進出事例

世界での人気をうけて、多くの企業がカレーで世界進出に挑戦しています。今回はそのなかでも代表的な4社の事例について紹介します。

CoCo壱番屋

出典:CoCo壱番屋

CoCo壱番屋は、1978年に愛知県名古屋市に1店舗目をオープンしたカレー専門店チェーンです。現在では国内に1,247店舗を構え、国内売上高は787億円で国内有数のカレー関連企業に成長しています。2013年には世界最大のカレー専門店チェーンに認定されたほどです。

海外進出については1994年のハワイへの出店を皮切りに、2004年に中国、2020年にインドと地域・規模を拡大しています。2023年3月末時点で進出した国・地域は12で、海外店舗数は208店舗です。海外売上高は135億円で、海外売上比率は14.6%となります。

CoCo壱番屋の海外進出の特徴は、アジアへの進出を積極的に展開していることです。海外進出1号店はハワイですが、中国などのアジアに出店が集中しています。CoCo壱番屋の出店数の多い国・地域は以下のとおりです。

順位国・地域店舗数
1位タイ51
2位中国50
3位韓国31
4位台湾28
5位フィリピン11

参照:株式会社壱番屋「店舗に関する情報

CoCo壱番屋は海外進出においても、日本式のサービス・テイストを貫くことで徐々に認知度を高めるのに成功しました。CoCo壱番屋の挑戦はさらに続いており、2020年にはインドの首都ニューデリーに1号店をオープンしています。

ゴーゴーカレー

出典:ゴーゴーカレー

ゴーゴーカレーは2003年に設立したカレーの専門商社です。2004年、新宿に1号店をオープンし、金沢カレーの人気に火をつけました。現在では、国内外に約100店舗を運営しています。

ゴーゴーカレーの特徴は、ドロッとした濃厚なカレーです。また豚カツとソースの独特な風味が人気の秘密です。

海外進出については、2007年にアメリカのニューヨークに出店し、成功を収めています。アメリカでの戦略は日本のクオリティを追求することで、肉や米、食材などの調達や選定に工夫があったようです。

またニューヨークの飲食ビジネスは難しいといわれるなか成功したのは、濃厚な味わいがアメリカ人の好みとマッチしたためといえるでしょう。

現在ではアメリカでの市場を拡大させ、ブラジルにも進出しています。

大塚食品

出典:大塚食品

大塚食品のカレーは、1964年に関西でカレー粉などの製造・販売をしていた会社を引き継いだのが始まりです。当時のカレーはカレー粉や缶詰で買うのが一般的でした。

そこで「他社と違うものを作りたい」と考えたのは、お湯で温めて食べるカレーです。つまり、世界初の市販用レトルトカレーの「ボンカレー」を作ったのが大塚食品です。現在でもボンカレーは主力商品で、「最長寿のレトルトカレーブランド」としてギネス記録にも認定されています。

ボンカレーはシリーズ累計で30億食以上を売り上げており、近年では海外進出にも積極的に取り組んでいます。

例えば2003年に中国、2018年にはインドに進出し、レトルトカレーの販売を開始しました。2021年には中国で「ボンカレー梦咖喱」を新発売し、売上拡大を図っています。

ハウス食品

出典:ハウス食品

ハウス食品は1913年に創業した企業で、1926年に粉末カレーの製造を開始したのがカレー事業の始まりです。1928年に「ハウスカレー」が誕生し、1963年には「バーモントカレー」を発売します。バーモントカレーは「子どもと一緒に美味しく食べられるカレー」がコンセプトで、これが大ヒットとなりました。

現在では売上高2,751億円の企業に成長し、ルーカレーの国内シェアは61.6%を誇ります。またレトルトカレーにおいてもシェア率が26.8%でトップシェアです。さらに、ハウス食品は先に紹介したCoCo壱番屋を2015年に買収し、外食事業にも取り組んでいます。

このようなハウス食品のカレー事業の海外進出は1997年に上海、2000年に台湾、2007年に韓国など、アジアを中心に進めてきました。ハウス食品の海外戦略の特徴は、アメリカでは豆腐、中国ではカレー、タイでは機能性飲料といったように、展開する国に合わせて商材を選択していることです。この戦略により、2023年の海外の売上比率は、22.4%にまで拡大しています。

和食ブームに続く「日本のカレー」のムーブメントに注目

世界で和食の人気が広まるなか、日本のカレーも認知度を高めています。新たな和食ブームのムーブメントといえるかもしれません。海外進出を検討している企業においては、カレー分野に挑戦するのも1つの案です。今後、日本のカレーの海外市場がさらに拡大するかに注目しましょう。

関連する事例

海外進出および展開はどのように取り組めば良い?
とお悩みの担当者様へ

海外進出および展開を検討する際に、
①どんな情報からまず集めればよいか分からない。
②どんな観点で進出検討国の現場を見ればよいか分からない。
③海外進出後の決定を分ける、「細かな要素」は何かを知りたい。

このような悩みをお持ちの方々に、プロジェクト時には必ず現地視察を行う、弊社PROVE社員が現地訪問した際に、どんな観点で海外現地を視察しているのかをお伝えさせていただきます。