2023年9月8日に開幕したラグビーワールドカップ2023は、フランスで各国の代表による熱い戦いが繰り広げられます。しかし「ラグビーってどういうスポーツ?」という方もいるでしょう。そこでラグビーの魅力や基礎知識、経済効果について紹介します。
ラグビーワールドカップ2023が9月8日に開幕しました。第10回に加えて、ラグビー生誕200年という記念すべき今大会は、競合国のフランスで51日間の熱戦が繰り広げられます。
なぜ51日という長期にわたって開催するのかといえば、各国の試合間隔を最低でも5日以上空けるようにしたためです。
これまでは試合間隔が短い国がでてしまうなど、疲労回復の時間が足りないと指摘されていました。選手のけが防止・健康維持のために、5日以上の休息日を設定したことで前回大会よりも1週間長くなっています。
ファンにとっては、より長くワールドカップを楽しめる大会ともいえるでしょう。しかし「ラグビーってどういうスポーツ?」という方もいるかもしれません。
そこで本記事ではラグビーの魅力や基礎知識、経済効果について紹介します。
ラグビーワールドカップは世界三大スポーツイベントの1つ
ラグビーワールドカップは、オリンピック・FIFAサッカーワールドカップとともに世界三大スポーツイベントと呼ばれています。テレビ視聴者数は、200カ国で40億人超にも上るといわれるほど人気です。
なぜこれほど人気があるのか理解を深めるために、歴史やラグビーの魅力について解説します。
ラグビーは生誕200年
ラグビーは1823年にイギリスのラグビー校で、ウィリアム・ウェブ・エリス少年がフットボール中に、ボールを抱えて走りだしたことが発祥とされています。
ラグビーワールドカップの優勝トロフィーは、この少年の名前から「ウェブ・エリス・カップ」と呼ばれているのは有名な話です。
イギリスで発祥したラグビーがどのように世界に広まったかというと、イギリスが19世紀後半から20世紀初頭にかけておこなった植民地化政策と深く関係しています。ラグビーは体・頭を使うスポーツであることから、イギリスの植民地で学校教育に取り入れられたためです。
このような背景からラグビー強豪国のなかには、もとはといえばイギリスの植民地の国が多くあります。例えば、南アフリカ、ニュージーランド、フィジーなどです。
そのような国々がイギリスから独立した後もラグビーは人気スポーツとして親しまれ、ラグビー文化が世界に浸透したのです。
ラグビーの魅力
ラグビーが多くの人から愛されているのは、そもそもスポーツとして面白いからといえます。具体的な魅力は以下の4つです。
- 多様性のあるスポーツ
- 観客も楽しめるスポーツ
- 紳士のスポーツ
- 楕円形のボール
多様性のあるスポーツ
ラグビーは1チーム15人でおこなうスポーツです。それぞれのポジションで役割が異なるため、背の低い人・高い人、パワフルな人、足が速い人といった多様な人が活躍できます。
観客も楽しめるスポーツ
ラグビーはプレイヤーだけではなく、観客も楽しめるスポーツです。激しいぶつかり合いや、グラウンドを駆け抜けるスピード、戦略的なゲーム展開など、さまざまな要素がラグビーに含まれているためです。
紳士のスポーツ
ラグビーは「紳士の国」であるイギリスで生まれただけあって、紳士のスポーツとして知られています。試合中は激しいタックルやぶつかり合いがある一方で、試合が終了すればお互いを称えあう文化があるためです。
楕円形のボール
ラグビーをよりスリリングなスポーツにしているのは、楕円形のボールです。どこに転ぶかわからず、安易にキックによる前進ができなかったり、転がり方次第で一気にチャンスにもピンチにもなったりします。
日本代表の選手に外国人選手がいる理由
日本代表の試合を応援していると、「日本は外国人選手が多い」と感じる方もいるでしょう。
日本代表に外国人選手が多い理由は、ラグビーは国籍よりもどのラグビー協会に所属しているかを重視するためです。
具体的にラグビーで国の代表選手になるには、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。
- その国で本人が生まれている
- 両親・祖父母のひとりがその国で生まれている
- 本人が60ヵ月継続して、その国に住んでいる
- 本人が累積で10年、その国に住んでいる
上記の条件を満たせば外国籍でも代表として出場できます。例えば高校生の時点から日本でプレーして、代表選手に選出されるといった具合です。
ただし、別の国へ代表として移籍するのは1度しか認められていません。その際も以下の条件を満たす必要があります。
- 代表チームで国際試合に出場してから36ヵ月以上経っている
- 本人がその国で生まれている、または親・祖父母のひとりがその国で生まれている
- ワールドラグビーのレギュレーションコミッティーの承認がある
※ワールドラグビーとは、ラグビーの国際統括組織のことです。
つまり一度代表として出場すると、別の国で出場するのは容易ではありません。そのため外国人選手は母国代表として出場するよりも、日本代表として出場することを選択したといえるのです。
また外国人選手が多いのは日本に限った話ではなく、他の国も同様に多くの外国人選手が出場しています。
今大会の日本のスポンサー企業
今大会の日本のスポンサー企業は以下のとおりです。
ワールドワイド・パートナー
- アサヒビール
大会サプライヤー
- キヤノン
- 大正製薬(リポビタンD)
- 三菱電機
アサヒビールはアジア企業として初めて「ワールドワイド・パートナー」になりました。「ワールドワイド・パートナー」は、ラグビーワールドカップにおける最高位のスポンサーの呼び名です。
これまではドイツの「ハイネケン」でしたが、今大会からアサヒビールに代わります。
このように今大会では、日本のスポンサー企業の動向も注目を集めています。
また日本企業がスポンサーになる理由は、大きな経済効果が期待できるためです。次章では、ラグビーワールドカップがどの程度の経済効果をもたらすのかについて、前回大会を例に紹介します。
2019年日本で開催のラグビーワールドカップの経済効果
2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップは、五郎丸選手などの活躍により初のベスト8で日本中が沸きました。日本の盛り上がりを示すかのように、チケット完売率は99%で、約172万枚のチケットが売れました。
そのような2019年のラグビーワールドカップにおける経済効果は6,464億円で、内訳は以下のとおりです。
出典:「ラグビーリパブリック」を参考に作成
2019年の日本大会は、これまでのラグビーワールドカップのなかで、最大の経済効果を国内にもたらしました。
2019年のラグビーワールドカップが成功した要因の1つに、訪日客の多さが挙げられます。チケット販売総数の28%は訪日客によるもので、訪日客の移動費や宿泊費、飲食費が経済効果を大きく押し上げたためです。
インバウンドの効果
さらに国内では訪日客に対して、日本流の「おもてなし」が提供されました。その結果、訪日客のなかで再訪したいと強い意志を示したのは75%にもなりました。このように国際的スポーツイベントでは、大きな経済効果がもたらされるのです。
国際的なスポーツ大会における経済効果
大きな経済効果があるのは、なにもラグビーワールドカップだけではありません。そこで、経済効果の大きな国際的スポーツ大会の例を紹介します。
年 | 大会名 | 経済効果 |
2018年 | 2018FIFAワールドカップ ロシア | 約3兆円 |
2012年 | ロンドンオリンピック | 約2兆2,000万円 |
2003年 | 阪神タイガース優勝 | 1,481億円 |
2017年 | 東京マラソン | 165億円 |
まとめ
多様性のスポーツ・紳士のスポーツと呼ばれるラグビーは、見るほうも楽しめるスポーツです。チーム力や戦略で試合の展開が大きく変わるためです。ラグビーワールドカップ2023を機にぜひはまってみませんか。