日本主導のCPTPPとは?今こそ押さえたい加盟国とメリットを解説

CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)は、日本を含む12カ国が加盟する自由貿易協定です。米国が相互関税政策を進め、自由貿易が後退する中、その動向に注目が集まっています。本記事ではCPTPPの概要やこれまでの経緯、日本企業のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。 

CPTPPとは? 

CPTPPは、2018年に日本を含む11カ国で発効した多国間の自由貿易協定です。物品の関税撤廃だけでなく、サービスや投資の自由化を進め、知的財産や金融、電子商取引などの幅広い分野で共通したルールを整備しています。直近では、2024年に英国が加盟し、CPTPPの経済圏がさらに拡大しました。 

協定の概要 

CPTPPは、加盟国間の貿易や投資を円滑にするため、高水準のルールを設定した多国間協定です。関税の削減や撤廃に加え、サービス貿易や投資の自由化を進め、知的財産権の保護や電子商取引の基準、国有企業の運営規律などを含んでいます。 

加盟国 

CPTPPの加盟国は2025年6月時点で以下の12カ国です。 

・日本 
・カナダ 
・オーストラリア 
・メキシコ 
・シンガポール 
・ベトナム 
・ニュージーランド 
・ペルー 
・マレーシア 
・チリ 
・ブルネイ 
・英国 

協定内の経済規模は以下のとおりです。 

人口合計 約5.8億人(全世界の約7.3%) 
GDP(国内総生産)合計 約15.5兆ドル(全世界の約14.6%) 
貿易総額 約8.3兆ドル(全世界の約17.5%) 

参考:内閣官房「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」 

CPTPPの加盟を巡る動向 

CPTPPが現在の12カ国の体制に至るまでには、様々な経緯がありました。
ここでは、その歴史や動向を簡単に振り返ります。 

CPTPPの起源と発展 

CPTPPの起源は、2002年にニュージーランド、シンガポール、チリが交渉を開始したP3SEP(太平洋3カ国戦略的経済連携協定)です。この協定が拡大し、さらに米国が加わったことにより、2010年からTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉が本格化しました。

2013年には日本もTPP交渉に加わり、2016年には12カ国が協定に署名。しかし、2017年に、米国が離脱したことで発効が困難となりました。そこで、日本が主導して残る11カ国で交渉を続けた結果、2018年に発効したのがCPTPPです。 

米国が離脱した背景 

米国の離脱は、2017年1月に発足したトランプ政権1期目の方針によるものです。トランプ大統領は、TPPが米国の貿易赤字を拡大させると主張し、就任直後にTPPから永久に離脱する大統領令に署名しました。 

英国が加盟した背景 

英国がCPTPPへの参加を決めた背景は、主に以下の2つです。 

  • コモンウェルス諸国の存在 

CPTPPには、旧イギリス帝国に由来するコモンウェルス諸国が11カ国中6カ国も参加しています。コモンウェルスは56カ国で構成され、現在もつながりを維持しています。 

  • EU離脱後の貿易戦略 

EU離脱後、英国は新たな自由貿易圏の拡大を模索していました。 

このような背景から、CPTPPへの参加は英国にとって自然な流れと言えます。 

CPTPPによる日本企業のメリット 

日本がCPTPPを主導的な立場で推進したのは、日本企業にとって次のメリットがあるためです。 

輸出のチャンスが拡大する 

CPTPPの最大の特徴は、加盟国間で関税が削減・撤廃される点です。これにより、自動車や機械、化学製品、食品といった幅広い分野で輸出コストが下がります。
参入が難しかった市場にも進出しやすくなることから、日本企業の販路拡大や競争力の強化につながると期待されています。 

海外進出がしやすくなる 

CPTPPのメリットは、サービスや投資に関する規制が緩和され、日本企業にとって海外進出のハードルが下がる点です。さらに、協定によってルールの透明性が確保されたことで、企業は安心して事業を展開できる環境が整いました。
このような背景により、従来よりも海外市場への挑戦がしやすくなったと言えます。 

加盟国間のヒト・モノ・カネの移動が活発になる 

CPTPPは、加盟国間での人材や資金の移動を活発化させる効果も期待されています。例えば、技術者や専門人材の移動が容易になることで、企業は現地のニーズに合わせた柔軟な人材配置ができるでしょう。
このように規制が緩和されることで、日本企業はさらにグローバルな活動がしやすくなると期待されています。 

CPTPPによる日本企業のデメリット 

CPTPPは日本企業にとってメリットばかりではありません。
デメリットも指摘されています。ここでは、押さえておきたい2つのデメリットを紹介します。 

事業内容によっては恩恵が少ない可能性がある 

CPTPPは、関税の引き下げや規制緩和を通じて、加盟国間の貿易や交流を活性化させることを目的としています。しかし、その効果は全ての産業にあるとは限りません。 

例えば、もともと関税が低い分野や国内市場を中心に事業を展開している企業への効果は限定的です。さらに、日本は発効前から8カ国とすでに経済連携協定(EPA)を結んでいたため、「効果はそれほど大きくない」とする見方もあります。 

このように、CPTPPの恩恵は業種や企業の事業形態によって差が生じる可能性があります。 

国内市場が縮小する可能性がある 

加盟国から安価な製品やサービスが日本市場に流入しやすくなるのがデメリットです。
これにより、企業は国内シェアを奪われるリスクがあります。自由貿易の拡大は消費者にとって選択肢を広げる一方で、国内市場の縮小や雇用への悪影響など、企業や地域社会にとってリスクもあります。 

CPTPPの今後の展望 

CPTPPは現在複数の国が加盟申請を行っており、今後、経済圏が拡大するのかに注目が集まっています。2021年以降に新規加入を申請した国の一覧は以下のとおりです。 

  • 2021年:中国・台湾・エクアドル 
  • 2022年:コスタリカ・ウルグアイ 
  • 2023年:ウクライナ 
  • 2024年:インドネシア 

そして、2025年6月時点で加盟手続きが進んでいるのはコスタリカのみです。 

中国と台湾は、2024年に加盟した英国とほぼ同時期に申請しましたが、いまだ加盟には至っていません。その理由は、CPTPPへの加盟には「オークランド三原則」と呼ばれる条件を満たす必要があるためです。その条件は以下のとおりです。 

 ①加盟を希望する国がCPTPPの高い基準を満たす用意があること 
 ②貿易に関する国際的な約束を遵守してきていること 
 ③全ての加盟国からの同意を得ること 

つまり、加盟申請をしても既存の加盟国からの同意を得られなければ、次のステップである「作業部会」の設置は行われません。現状、中国は基準を満たしていないとされ、台湾も全ての加盟国の同意を得られていません。 

このような背景がある一方で、CPTPPの存在感を強めるために、参加国の拡大が期待されています。 

相互関税が発動した今こそCPTPPに注目しよう 

米国が相互関税政策を進める中、CPTPPは自由貿易を維持・拡大できる経済圏として改めて脚光を浴びています。2024年には英国が加盟し、現在はコスタリカの加盟手続きが進行中です。
加盟国がさらに増える可能性もあることから、今後の動向に注目しましょう。 

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