越境ECのサポートを行っている株式会社ジェイグラブは、2020年時点のグローバルの越境EC市場規模と、2027年の予測値を発表しました。
2020年の市場規模は9,123億USドルに、2027年には4兆8,561億USドルにまで伸び、年の平均成長率は約27%とと予測されています。
https://www.j-grab.co.jp/trend/cross-boder-trade-japan-worldwide/
新型コロナウイルスは、日本のみならず世界の越境セラーに大きな影響を与えており、日本ではオンラインセミナー、サポート企業の増加などによってECや越境ビジネスが推進されるようになってきました。
これまでグローバル展開してきた企業もこのコロナ禍を経験して従来の手法が通用しなくなるといった考えを持ち始め、販売網を構築し、オンラインを強化したいなど変化を求めている様子が伺えます。
政府や東京都、各業界団体などでコロナ禍においても海外ビジネスを推進できるための補助金・助成金が出されております。
このコラムでは2021年3月時点の補助金・助成金情報をご紹介します。
※詳細の補助金・助成金については補助金元の各団体に問合せをお願いします。
新型コロナウイルスとEC
経済産業省の報告によると、2019年におけるアメリカのEC市場規模は、前年比14.9%増となり6,016.5億USドル(日本円にして約63兆5,030億円)で、EC化率は11%となっています。
この数値は、日本のEC市場の約3倍で、EC成長率でも日本の7.65%を上回っています。
2020年は、世界中でコロナウイルスが拡大し、小売店舗閉鎖や外出禁止によって急速なECへのシフトが起こったことで、前年比18.0%増の7,097.8億USドルに、EC化率は14.5%以上に達すると、2020年の段階で予測されていたようです。
フランスやイタリアなどは世界的に見ても特に感染が深刻でしたが、ECが回復し、2020年は、スペイン、フランス、イタリアにおいてセラーの数がそれぞれ30%、13%、85%も増加し、ECの人気が著しく高まりました。
各国ではすでにアフターコロナを見据えた販売者の動きが活発になっており、むしろこの予期せぬでき事を、EC化と越境ECの加速につながっているとも言えるでしょう。
特に中国のEC 市場規模の拡大は目覚ましく、下記図2の『国別BtoC EC市場規模2017/2018年』では、アメリカを差し置いて圧倒的な首位となっています。中国はコロナ渦を世界各国の中で真っ先に脱出し、経済もいち早く回復を遂げていることから、現在さらに独走している可能性が高いでしょう。
https://www.globalmarketingchannel.com/column/20190626
海外販路拡大、越境ECに活用できる補助金・助成金
※現時点では公募が終了しているものもありますが、来年の公募にお役立てください。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 ※ものづくり補助金
ものづくり補助金は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のことで、生産性向上を目的とした画期的な事業に対して、補助金が交付されます。補助金上限額は最大で1億円で、一般型の場合は最大1,000万円です。
中小企業・小規模事業者等が今後、複数年にわたって相次いで直面すると予想されている働き方改革や賃上げなどに対応するための補助金です。
https://imamura-net.com/blogpost/11133/#32021
この補助金の中に、「グローバル展開型」という、海外事業の拡大や強化を目的とした支援があり、特徴は大きく3つあります。
①補助金の1,000万~3,000万円
②事業実施期間が12か月以内 ※一般型は10ケ月
③型が4つあり、下記から1つ選択する
・海外直接投資型
グローバルな製品やサービスの提供体制を構築する海外支店への外注費、機械装置・システム構築費
・海外市場開拓型
海外顧客に対して市場を開拓するためのもので、国内に補助事業実施場所があり、製品の販売先の2/1以上が海外顧客が条件となる
・インバウンド市場開拓型
訪日外国人観光客に対しての市場を開拓するためのもの。国内に補助事業実施場所を有しており、サービスの販売先の2/1以上が「訪日外国人」であることが条件となる
・海外事業者との共同事業型
外国法人と共同事業開発に伴う設備投資を行うもので、国内に補助事業実施場所を有しており、外国法人と行う共同事業開発の際に発生する設備投資に帰属することが条件となる
※これまで「ものづくり補助金」では対象とならなかった、海外での設備投資や、外国法人との共同研究が可能となりました
■ものづくり補助金 URL:https://portal.monodukuri-hojo.jp/
2021年 IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者等が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入し、事業者の業務効率化や売上アップをサポートしてもらえる補助金です。国内だけでなく、越境ECサイト構築にも適用できます。
しかし、ECサイトのリニューアル、または制作済みのもの、EC機能がついていないコーポレートサイトは対象外となっているので注意しましょう。
※補助金を申請できる事業者は、「IT導入支援事業者」として認定されていることが条件です。
■IT補助金URL:https://www.it-hojo.jp/
小規模事業者持続化補助金
日本商工会議所の小規模事業者持続化補助金は、サイトを立ち上げたい・商品を宣伝したい小規模事業者が、顧客を増やすための取り組みを支援する補助金です。下記が対象となる支援内容で、海外販路に関するものは、③展示会等出展費・通訳料・翻訳料の支援があります。
https://www.minnano-joseikin.com/articles/36579
■日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金 URL:https://r1.jizokukahojokin.info/
市場開拓助成事業
東京都中小企業振興公社は、海外展示会のための助成金を設けています。都内の中小企業者で、東京都から一定の評価や支援を受けて開発し製品化した製品・サービスが対象です。
女性対象経費は、出展小間料、輸送費、資材費、印刷物制作費、PR映像制作費、広告費、通訳費となっています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000034524.html
■東京都中小企業振興公社 市場開拓助成事業 URL:
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shijo.html
コンテンツグローバル需要創出促進・基盤整備事業費補助金
特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)が運営管理するJ-LOD(Japan content LOcalization and Distribution)の補助金です。
日本発のコンテンツなどの海外展開を促進し、日本ブームの創出を通じた関連産業の海外展開の拡大、訪日外国人等の促進につなげるための補助金で、内容の概要は下記の通りです。
・コンテンツなどの海外展開を行う際のローカライズ・プロモーションを行う事業の支援
・海外向けコンテンツ制作に役立てる資金調達や人材育成を行う事業の支援
・先進性の高いコンテンツの開発や制作・発信を行う事業の支援
■コンテンツグローバル需要創出促進・基盤整備事業費補助金 URL:https://j-lodlive.jp/
独立行政法人中小企業基盤整備機構による支援
https://www.smrj.go.jp/sme/overseas/index.html
中小企業基盤整備機構の支援を2つご紹介します。
外国語ホームページ作成(※平成30年度版のため終了。令和2年度の存在は未確認)
Webサイトを活用した海外販路開拓をしたい中小企業・小規模事業者向けの支援です。外国語ホームページ作成の経費やそれに関連する海外市場調査等に係る調査経費の3分の2を中小機構が負担します。※上限金額あり
https://www.smrj.go.jp/doc/sme/fs_yushutsu.pdf
戦略的知財活用海外展開補助金
海外ビジネスの専門家が、海外展開のビジネスプラン策定や、海外現地調査の準備をアドバイス・サポートする補助金で、最大420万円まで補助します。※専門家費用は機構が負担
応募要件高い技術力を持ち、知財を活用した海外展開に積極的に行い、その成果が期待できる事業であることが条件です。
■戦略的知財活用海外展開補助金 URL:https://www.smrj.go.jp/org/info/solicitation/2019/akn4gh0000003taq.html
東京都内の企業が対象の海外販路補助金
東京の特色ある優れた商品を国内外に向けて販売・周知等を行うことを目的とした補助金です。東京都内の中小企業者、一般財団法人、特定非営利活動法人、東京都産品の販売に役立つ取り組みを行う法人が対象です。
「新たな取組」に対して、発生する販売促進費 ( ウェブサイト・パンフレット・ポスター・その他の広告媒体など)が対象です。補助金額や補助率は毎年変動しますが、直近の実績では、補助金額は600~1,000万円、補助率は2/3以内、1/2以内となっています。
■Buy TOKYO推進活動支援事業URL:https://by-tokyo.jp/
補助金・助成金を選ぶ際のポイント
海外販路開拓や越境ECを始める際の補助金・助成金を紹介しましたが、何か活用できそうなものはありましたか?
ここでは、海外販路拡大や、越境EC事業の立ち上げの際、補助金を選ぶポイントをご紹介します。
募集期間
上記に紹介した補助金などは、今期はすでに募集が終了しているものもあったと思います。しかし、ほとんどの補助金は毎年募集されることが多いため、今回残念ながら間に合わなかったのであれば、次回の募集に向けてしっかりと準備していきましょう。
補助内容
補助金額なども確認する必要はありますが、特に、「補助対象経費」と「補助率」が重要です。補助金は、補助対象以外の目的でお金を使ってしまうと認められません。(どのような目的で使用されたかについて書類提出が必要で、チェックされます)
採択率
応募件数に対して、どれだけ採択があったのか示す指数が採択率で、補助金の種類や年度によって採択率は変動します。そのため、去年は採択率が高かったらといって今年も高いわけではありませが、一つの目安としてチェックしましょう。採択率は助成金のサイトに記載されていることがほとんどです。
補助率
補助率としては2/3と1/2がよく見られ、この場合2/3の方が有利な補助率です。補助金額も大事ですが、高いものほど競争率も高く、難易度が上がります。
申請書類の制作難易度
事業が補助対象になることを確認して申請しようとしても、書類を用意する段階でつまづいてしまう方も多いです。申請前に、必要な書類の内容を確認してください。
補助金額が最大1,000万円の高額なものづくり補助金は、図表を入れてA4で10ページ程度の文章記述が必要であることからも難易度はかなり高いとされています。
最後に
海外への販路拡大や越境EC事業に活用できる補助金や助成金を知っていただけましたでしょうか。
知っているのと知っていないのとでは、節約できる費用が大きく変わります。
これらをうまく使うことで、本来ではできなかった挑戦もできるようになるでしょう。是非適切なものに応募して、売上向上につなげてみてください。
<参考>
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shijo.html
https://hojyokin-portal.jp/subsidies/1947
https://www.atpress.ne.jp/news/225036
https://ecnomikata.com/ecnews/26223/
https://www.ebay.co.jp/info/cbt-blog/cbt-p6/