
FPTグループは、ベトナムに本社を置くコングロマリットです。世界30カ国で事業を展開しています。本記事ではFPTグループの会社概要や経営状況、主要事業についてわかりやすく解説します。
FPTグループとはどんな会社?

出典:FPTグループ
FPTグループは、テクノロジー、通信、教育の分野で事業を展開しているコングロマリットです。ベトナム最大のIT企業としても知られています。ここでは、同グループの会社概要や歴史、経営理念を紹介します。
会社概要
FPTグループの会社概要は以下のとおりです。
| 会社名 | FPT Corporation |
| 本社 | ベトナム |
| 設立 | 1988年 |
| 進出地域 | 30カ国 |
| 従業員数 | 54,687人 |
| 売上高 | 62兆8,490億ドン(2024年度) |
歴史
FPTグループは、1988年に「The Food Processing Technology Company(食品加工技術会社)」として設立されました。そして、1990年に社名を「Financing and Promoting Technology」に変更。1994年、アメリカによる対ベトナムの禁輸措置が解除されたことを受け、同グループはIBMと提携し、ベトナム初の正規代理店となりました。その後、HPやCompaqなどとも提携し、国内に1,500以上の代理店ネットワークを構築。現在では30社以上のブランドの正規代理店を務めています。
1999年に、「FPT Software」を設立し、ソフトウェア事業で海外進出を開始。2001年に、ベトナム初のオンライン新聞「VnExpress」を開設しました。現在では、数千万人規模の利用者を抱える国内有数のニュースメディアへと成長しています。
2006年に、IT人材の育成を目的にFPT大学を開設しました。教育と産業界の連携を通じて、高度な人材育成に貢献しています。2023年に、自動車産業向けのソフトウェアやサービスを提供する子会社「FPT Automotive」を設立しました。さらに、4件のM&Aを実施し、事業を拡大しました。2024年に、アメリカのNVIDIAと提携し、ベトナムと日本にAIファクトリーを開設したことで注目を集めています。
経営理念
FPTグループは、経営理念の中核として、次の6つの価値観を重視しています。
- 尊敬
従業員一人ひとりの個性を尊重し、継続的な成長と自己表現を支援する。
- イノベーション
研究開発への積極的な投資を通じて、イノベーションを促進する。
- チームメイト
従業員同士が共通の目標に向かって協力し合い、家族のような一体感を築く。
- 公平性
あらゆる意思決定において、公平に判断する。
- 模範
FPTグループのリーダーは、「尊敬」「イノベーション」「チームメイト」の価値を体現し、模範となる。
- 先見性
FPTグループはリーダーに対して、長期的なビジョンと積極性を求める。
FPTグループの経営状況
FPTグループの経営状況として、直近6年間の売上高と税引前利益の推移を紹介します。

参考:FPTグループ「ANNUAL REPORT」
2024年度の売上高は62兆8,000億ドン(3,517億円)で、2023年度の52兆6,000億ドン(2,946億円)と比較して10兆2,000億ドン(571億円)増加しました。また、2024年度の税引前利益は11兆1,000億ドン(621億円)で、2023年度の9兆2,000億ドン(515億円)と比較して、1兆9,000億ドン(106億円)増加しました。※1ドン=0.0056円換算
売上高と税引前利益が増加した要因は、海外市場向けITサービスの好調が挙げられます。特に日本での成長が著しく、前年度32.2%増と大幅な成長を記録しました。
地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。

参考:FPTグループ「ANNUAL REPORT」
FPTグループの海外売上比率は49.8%です。その中でも日本における売上が最も多く、同グループと日本企業との深い関係が伺えます。
FPTグループの主要事業
FPTグループの経営状況について、事業別売上高に焦点を当てて解説します。

参考:FPTグループ「ANNUAL REPORT」
FPTグループの収益の90.2%はテクノロジー事業と通信事業が占めており、この2つの事業が収益の柱となっています。以下では、それぞれの事業内容について詳しく紹介します。
テクノロジー
テクノロジー事業は、自動車、物流、エネルギー、金融など、様々な業界にITサービスを提供する事業です。FPTグループの中でも最も売上が大きく、同社の主要な収益源となっています。その収益構造は以下のとおりです。

出典:FPTグループ「Business Performance Analysis」
同事業の特徴は、海外市場向けITサービスの占める割合が高いことです。
通信
通信事業は、ベトナム全土にブロードバンドサービスを提供する通信サービスと、デジタルコンテンツを配信するデジタルコンテンツサービスの2つで構成されています。その収益構造は以下のとおりです。

出典:FPTグループ「Business Performance Analysis」
通信事業の中核を担うのは通信サービスで、安定した収益源となっています。一方、デジタルコンテンツサービスでは海外パートナーとの連携強化により、海外からの広告収入が前年度比で30%増加しています。
教育
教育事業は、AIやロボティクスなどのハイテク分野の人材育成を目的に、全国に67校を運営する事業です。全体で15万人以上の学生が在籍しています。
日本企業との提携事例
FPTグループは、日本企業との関係を深めています。今回はその事例として、株式会社デンソーやSBIホールディングス株式会社との取り組みを紹介します。
株式会社デンソー
株式会社デンソーは、愛知県に本社を置く大手自動車部品メーカーです。2024年12月、同社はFPTグループと提携し、グローバルなソフトウェア定義車両(SDV)の開発で連携することを発表しました。
SDVとは、ソフトウェアのアップデートにより、性能の改善や向上、新機能の追加などができる自動車のことです。
今回の提携は、2023年にFPTグループが「FPT Automotive」を設立したことが背景にあります。両社は今後、優秀な人材育成とトレーニングを目的としたオフショア開発センターの設立も計画しています。
参考:FPT Software「FPT and DENSO Sign MOU to Accelerate Software-Defined Vehicle Innovation」
SBIホールディングス株式会社
SBIホールディングス株式会社は、証券、銀行、保険、住宅ローンなど幅広い金融サービスを提供する企業です。同社は2025年4月、AIソリューションサービスの提供に向け、FPTグループとの戦略的提携を発表しました。FPTグループが2024年に、ベトナムと日本にAIファクトリーを開設したことがこの提携につながっています。
SBIホールディングス株式会社はこの提携により、生成AIの活用を加速させ、生産性や顧客体験の向上を目指しています。
参考:SBIホールディングス株式会社「SBIホールディングス、FPT Corporation、住友商事によるAIソリューションサービス提供に向けた戦略的提携に関するお知らせ」
FPTグループはベトナム有数のIT企業
FPTグループは、テクノロジー、通信、教育の分野で事業を展開しているベトナムのコングロマリットです。そのため、FPTグループはベトナムにおいて強い影響力を持っています。さらに、日本企業との連携も深めていることから、ベトナム進出を検討されている企業様は、同社の動向に注目しましょう。
▶ベトナムのビジネス環境について詳しく知りたい方は、「ベトナムの市場調査・進出支援」をご覧ください。