海外協力会社の買収検討に向けた現地ITインフラ業界調査
業界 : インフラ業界
対象国・地域 :タイ
日系インフラ企業であるクライアントが更なる事業拡大に向けて、タイの現地協力会社の買収を検討されていました。買収可否を検証するにあたってのビジネスデューデリジェンス(BDD)を実施する必要がありましたが、クライアントに海外における買収に知見が無いため、M&Aに関する知見があり、過去に市場調査を実施した点を評価いただき、プルーヴにご依頼いただきました。買収やその後の連結子会社化を見据えたビジネスDDを実施した点や協力会社とのコミュニケーション支援を行いました。
課題
クライアントは更なる事業拡大に向けて、タイの現地協力会社の買収をご検討されていました。買収にあたって、現地協力会社の事業が今後も成長するのか、買収による事業シナジーがあるのかを検討する必要がありました。
しかしながら、現地協力会社の事業成長に繋がりうるタイのITインフラ市場の成長可能性や、買収シナジーに繋がりうる日系・現地企業の意思決定構造やニーズが不明でした。協力会社のシェアを奪いうる競合企業がどのような企業なのかも不明でした。同時に、海外における買収に知見がなく、協力会社とのコミュニケーションに課題がありました。
そのため、下記の理由から、外部への委託を検討します。
- 協力会社買収に関する知見がなく、支援が必要
- 買収検討にあたってタイにおける多様な業界とのコネクションが必要
下記の点を評価いただき、PROVEにご依頼いただきました。
- M&Aに関する知見があり、最終的な買収実施までサポートが可能
- 過去に実施したASEANにおけるインフラ市場調査
支援内容
具体的な支援策は以下の通りです。
- タイにおけるITインフラ市場のデスクリサーチ(インフラ投資額、市場規模、日系企業進出状況など)を実施
- 現地協力会社との打ち合わせを通じた、事業状況、製品・サービスの特徴、顧客層、強みを把握
- 2をもとに、顧客になりうる業界のITインフラ担当者へのインタビューを実施し、ニーズや意思決定構造、競合企業を把握
- 上記をもとに分析を実施し、協力会社の成長可能性および日系企業の買収による事業シナジーについて結論付け
今回の支援のポイントは、過去の事業DDの経験を踏まえ、最終的なゴールである買収検討に繋がるように検証を進めた点です。
多様な業界におけるコネクションが必要な案件でしたが、過去のパートナー網を活用し、各種業界へのインタビューを実現いたしました。
買収検討を進めていく中で海外協力会社とのコミュニケーションが課題となりましたが、過去の買収に関する経験や、これまでのキャリアにおける海外事業経験をもとに、解決する事ができました。
また買収検討を進めていく中で、今までは想定していなかった情報や協力会社の内部事情が明らかになる事があります。都度、ゴールを見据えながら、取得すべき情報を調整していく必要があります。
今回はPROVEの強みである以下の2点が行かせた事例といえます。
- 事業DDに関する知見
- インフラ業界に関する調査実績があり、海外のIT担当者とのコネクション
結果
タイではセキュリティ関連市場の成長が期待でき、かつ顧客側でもセキュリティ強化ニーズがある事が判明しました。また、業界としては製造業が最もGDP占有率が高く、日系進出が多い事から、日系企業を得意とするクライアント企業と協力会社とのシナジーにより更なる顧客層拡大が見込めるとの結論に至りました。一方、建設業は課題であり、現地社員の体制・能力の強化が必須であることが分かりました。
なお、買収自体はクライアント内での方針変更があり、実施には至りませんでした。
買収やその後の連結子会社化を見据えたビジネスDDを実施した点や協力会社とのコミュニケーション支援をご評価いただきました。
最終的な目標が協力会社の買収検討である場合、協力会社とのコミュニケーションを通じ協力会社が注力する事業や得意とする領域、顧客を詳細に把握する事が肝要であると実感しました。