LMEとは何か?概要や取引金属、注目される理由を解説

LME価格は世界的な指標の一つです。金属の取引価格に広く使われているため、この指標の変動はビジネス環境にも大きな影響を与えます。そのため、ビジネスパーソンにとって、押さえておきたい重要な指標の一つと言えるでしょう。 
本記事では「今さら人には聞けない」と感じている方に向けて、LMEとは何か、基礎知識や取引される金属の種類についてわかりやすく紹介します。 

※非鉄金属とは、鉄及び鉄が主成分である鋼以外の全ての金属です。代表例には、銅、アルミニウム、亜鉛、鉛、スズなどがあります。 

LME(ロンドン金属取引所)とは? 

出典:LME 

LMEとは、London Metal Exchangeの略で、ロンドン金属取引所のことです。具体的には、イギリスのロンドンにある世界最大級の非鉄金属の先物取引所を指します。LMEの非鉄金属の取引価格は、LME価格と呼ばれ、世界的な指標として活用されています。 
なお、LMEは世界的な役割から非鉄金属専用の取引所と思われがちです。しかし、鉄金属の取引も行われています。ここでは、LMEの歴史や役割、取引形態について紹介します。 

歴史 

LMEの歴史は、1571年の王立取引所の開設が始まりです。当初は現在と異なり、金属の現物取引が中心でした。 

19世紀初頭になると、拠点はロンドンの「エルサレム・コーヒーハウス」へ移動。ここでは、LMEの象徴である「リング取引」が始まりました。当時のリング取引とは、床に円を描き、商人の一人が「チェンジ!」と叫ぶと、取引を希望するトレーダーがその円の周囲に集まり売買をする方法です。 

19世紀中頃には、スエズ運河の開通によって金属を約3カ月で輸送できるようになりました。これをきっかけに、「取引から3カ月後に商品を受け渡す」という仕組みが誕生しました。この仕組みは現在もLMEの取引で一般的な方法として採用されています。 

1877年には、LMEが正式に設立されました。以来、LMEは世界最大級の金属先物取引所としてその地位を確立し、発展を続けています。1963年には、初の欧州指定倉庫をロッテルダムに開設。現在では、世界38カ国以上に700を超える指定倉庫のネットワークを築いています。 
 ※指定倉庫とは、LMEが認定した金属の現物を保管・受渡すための倉庫のことです。 

役割 

LMEの役割は、世界最大級の非鉄金属の先物取引所として、円滑な金属の取引を実現することです。そのために、以下の仕組みが構築されています。 

  • 現物の保管と受渡し 

LMEは世界各地に「指定倉庫」を設置し、ここで金属の現物を保管するとともに、契約で定められた期間に現物の受渡しを行っています。これにより、LMEでの取引は単なる数字のやり取りではなく、実際の金属の流通と密接に結びついています。 

  • 在庫情報の公開 

LMEは指定倉庫の在庫量を毎営業日公開しています。その在庫情報はLME在庫と呼ばれ、世界中のトレーダーやメーカーが金属の需給を判断する際の指標です。 

これらの仕組みによって、金融取引と金属の現物の動きが連動し、高い信頼性を持つ市場運営を実現しています。 

取引方法 

LMEの取引は次の3つの方法のいずれかで行われます。 

  • リング取引 

LMEの立会場(リング)で、午前と午後に2回ずつ行われる場内取引のことです。 

  • カーブ取引 

カーブ取引とは、主に電話を用いて行われる場外取引のことです。また、日本の取引時間帯に行われるカーブ取引は「東京カーブ」と呼びます。 

  • 電子取引 

LMEは、2001年にLMEセレクトと呼ばれる電子取引を導入しています。 

LMEで取引される金属 

LMEで取引される金属のカテゴリは、非鉄金属、鉄金属、EV用金属、貴金属です。カテゴリごとに、取引される具体的な金属について紹介します。 

非鉄金属 

LMEで取引される非鉄金属は、アルミニウム、銅、スズ、ニッケル、亜鉛、鉛、アルミニウム合金です。これらの金属は、電気・電子機器、建設、自動車など多くの産業で使われており、LMEでの取引価格は世界的な指標となっています。 

鉄金属 

LMEで取引される鉄金属は、鉄筋、鉄スクラップ、熱間圧延コイルです。これらは、建設や製造業において重要な素材です。 

EV用金属 

LMEで取引されるEV用金属は、リチウム、コバルト、モリブデンです。これらの金属はレアメタルとも呼ばれ、電気自動車(EV)のバッテリーやモーターなどに広く使用されています。 

貴金属 

LMEで取引される貴金属は、パラジウム、プラチナです。これらの貴金属は、自動車の排ガス浄化装置やジュエリー、電子部品などに使用されています。 

なぜLMEがビジネスにおいて注目されるのか? 

LMEは、製造業をはじめとする様々な業界にとって重要な存在です。ここでは、LMEがビジネスの現場で注目される4つの理由をわかりやすく解説します。 

金属の現物売買の指標 

LME価格は、世界中で金属の現物取引の基準価格として広く活用されています。つまり、LME価格の変動は、製造業などにとって原材料の調達コストの増減に直結する要素です。 

また、現物取引ではLME価格と実際の取引価格に差が出ることも珍しくありません。この「乖離」は、需給バランスの崩れや特定地域の在庫変動などの要因で引き起こされることがあります。そのため、こうした価格差は、市場環境や仕入れのタイミングを判断する上で、企業にとって重要な指標です。 

個別の現物取引ではCIF価格 

個別の現物取引では、一般的にLME価格に様々な費用を加えた「CIF価格(運賃保険料込み価格)」が用いられます。このCIF価格には、港までの輸送費、保険料、手数料などが含まれ、これらの追加コストは「プレミアム」と呼ばれています。 

プレミアムの動向も企業にとって重要な関心事項です。例えば、需要が集中すればプレミアムは上昇し、それに伴ってCIF価格も上昇します。また、LME価格は金属スクラップの評価基準としても広く用いられ、リサイクル資源の買取価格を左右する指標にもなっています。 

世界経済の指標 

LMEが毎営業日に公開している在庫情報は、世界の金属需給を反映する重要なデータです。例えば、在庫が急減すれば需要が高まっている可能性があり、逆に在庫が積み上がれば需要の低下を示唆しています。 

また、LME在庫の増減は、世界経済の景況感を把握するための手がかりにもなります。経済活動が活発になれば金属の需要は増えやすく、不況時には減少する傾向があるためです。そのため、LME在庫は世界経済の動向を分析するための指標の一つとなっており、多くの専門家から注目されています。 

実体経済への波及 

LME価格が変動すると、企業の原材料コスト、製品価格、利益率、さらにはインフレ率の変動にもつながります。こうした影響は経済全体に波及するため、LMEの動向は企業や市場関係者から注目を集めています。 

LMEの特性を理解して事業戦略に役立てよう 

LMEは、金属市場において価格形成の中心的な役割を果たしています。そして、LME価格やLME在庫は、世界経済の動向を読み解く上で重要な指標です。これらの特性を理解し動向に注目することで、変動リスクへの備えや資材調達の最適化など、より的確な事業戦略の立案につながります。このような背景から、LMEの情報を戦略的に活用することが、これからの企業経営において重要になるでしょう。 

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