インド財閥のマヒンドラグループとは?概要や主要事業を解説

マヒンドラグループは、インドのムンバイに本社を置く多国籍コングロマリットです。インド財閥の一つとして、同国の経済に大きな影響力を持っています。本記事では、インドの経済や海外進出に関心のある方に向けて、マヒンドラグループの概要と主要事業についてわかりやすく解説します。

マヒンドラグループとは

出典:マヒンドラグループ

マヒンドラグループは、世界100カ国以上で事業を展開する多国籍企業です。自動車、農業機械、テクノロジーサービスなど、多岐にわたる分野で事業を展開しています。概要は以下のとおりです。

財閥名Mahindra Group
設立1945年
進出地域世界100カ国以上
従業員数26万人以上
グループ売上高230億ドル以上

ここではさらに、マヒンドラグループの歴史や理念を紹介します。

歴史

マヒンドラグループの歴史の始まりは1945年です。ジャグディッシュ・チャンドラ・マヒンドラ氏とカイラシュ・チャンドラ・マヒンドラ氏の兄弟、そしてマリク・グラーム・ムハンマド氏の3人が鉄鋼貿易会社「マヒンドラ&モハメッド」を設立しました。

1961年に米国企業と提携し、トラクターの製造を開始。1983年には、同社のトラクターがインド国内で最も売れるブランドとなり、農業機械分野での地位を確立しました。2002年には、自社開発したSUV(スポーツ用多目的車)「マヒンドラ・スコーピオ」を発売し、国内外で高い評価を獲得しました。

さらに、2011年には企業ブランド「マヒンドラ・ライズ」を立ち上げ、ブランド戦略を強化。現在では、多様な分野で事業を展開する多国籍コングロマリットに成長しています。

理念

マヒンドラグループは、企業活動の理念として「パーパス(目的)」「ブランドの柱」「コアバリュー(中核的価値観)」を掲げています。

■パーパス

私たちのコミュニティの暮らしに前向きな変化をもたらそう。他者が成長することで、私たちも成長できる。

■ブランドの柱

企業ブランドである「Rise(ライズ)=立ち上がる」に基づき、次の3つをブランドの柱に掲げています。

  • より平等な世界のために立ち上がろう
  • 未来に向けて立ち上がろう
  • 価値創造に向けて立ち上がろう

これらはマヒンドラグループが社会的責任を果たしながら、持続的な成長とイノベーションを追求する姿勢を表しています。

■コアバリュー

パーパスの実現に向けて、マヒンドラグループは次の5つの価値観を重視しています。

  • 専門職主義
  • 良き企業市民
  • 顧客第一主義
  • 品質重視
  • 個人の尊厳

マヒンドラグループの主要事業

出典:マヒンドラグループ「Our Brands

マヒンドラグループは数多くの分野で事業を展開しているインド財閥です。ここでは、8つの主要事業を紹介します。

自動車

マヒンドラグループは、インドを代表するSUVメーカーで、国内市場において22.5%のトップシェアを誇ります。他にも電気自動車(EV)、ピックアップトラック、商用車、二輪車など幅広い車種を展開し、アジア太平洋地域、アフリカ、中東、南米、中米などにも進出しています。

農業機械

マヒンドラグループは世界8カ国に製造拠点を持つ、世界最大級のトラクターメーカーです。インド国内では、43.3%の圧倒的なシェアを誇ります。主力のトラクターに加え、コンバイン、噴霧器、田植え機など、多彩な農業機械を展開。幅広い製品ラインナップにより、世界中の農業現場を支えています。

テクノロジーサービス

マヒンドラグループのテクノロジーサービス部門の「テックマヒンドラ」は、15万人以上の専門家を擁し、90カ国以上で事業を展開しています。コンサルティングからクラウド、5G、AI、IoT、ブロックチェーンなどの幅広いサービスを提供しています。

金融サービス

金融サービス事業は、インド国内で自動車ローンや中小企業向け融資、定期預金、保険、投資信託などを提供している事業です。インド以外では、米国でトラクターローンやスリランカで自動車ローンを展開しています。

再生可能エネルギー

グループ傘下の「マヒンドラサステン」は、インドの再生可能エネルギー分野のリーディングカンパニーです。1.55GWp超のIPPプロジェクト(独立系発電事業)といった大規模な太陽光発電所の開発に加え、住宅・商業施設向けソリューションや、テクノロジーを活用した再生可能エネルギー資産の管理といったサービスを提供しています。

物流サービス

グループ傘下の「マヒンドラ・ロジスティクス・リミテッド」は、インドを代表する総合物流企業です。契約物流、ラストマイル配送、BtoB物流、越境物流に加え、ライドシェアサービスも手がけ、幅広いニーズに対応する物流ソリューションを提供しています。

ホスピタリティ

マヒンドラグループは、世界各地に140以上のリゾートを所有し、400以上のホテルやリゾートと提携しています。これらのリゾートを活用して、家族向けのレジャー体験やバケーションパッケージを提供しています。

不動産

マヒンドラグループの不動産事業を担っているのは、グループ傘下の「マヒンドラライフスペース」です。同社はインド国内の9都市で53の住宅プロジェクトを手がけ、手軽な価格の住宅から高級住宅までを幅広く提供しています。

マヒンドラグループと日本企業の協業事例

マヒンドラグループは、世界100カ国以上で事業を展開しており、多くの日本企業と協力関係を築いています。ここでは、その代表例としてセイノーホールディングス株式会社と三菱重工グループとの事例を紹介します。

セイノーホールディングス株式会社

セイノーホールディングス株式会社は、マヒンドラグループ傘下の「マヒンドラ・ロジスティクス・リミテッド」と合弁会社「Seino MLL Logistics Private Limited」を設立し、インド国内で物流事業を展開しています。

この協業の主な目的は、中国に続く「世界の工場」として注目されるインド市場への進出です。両社はそれぞれの強み、顧客基盤、経営資源を融合することで、高い競争力の確保を目指しています。

参考:セイノーホールディングス株式会社「マヒンドラグループと合弁会社を設立 インド国内で物流サービスを開始 2024年05月31日

三菱重工グループ

三菱重工グループの三菱農機株式会社は、2015年にインドのマヒンドラグループと資本提携を行い、社名を「三菱マヒンドラ農機株式会社」へと変更しました。三菱農機株式会社は、もともと日本国内を中心にトラクターやコンバイン、田植え機などの農業機械を製造・販売していました。

しかし、日本の農業市場は年々縮小しており、それに伴って売上高も減少。このような状況を打開するため、同社はマヒンドラグループの強力な世界販売網を活用し、海外市場への展開を本格化しました。こうした海外戦略の成果として、2024年度時点で海外売上比率は約25%から約30%にまで拡大しています。

参考:三菱重工グループ「三菱マヒンドラ農機株式会社が発足

マヒンドラグループの動向に注目しよう

マヒンドラグループは、インド国内外で多様な事業を展開する多国籍コングロマリットです。その強力な世界販売網は、日本企業にとって大きな魅力となっており、インド市場への進出を目指す企業との提携が進んでいます。

これからインド市場に参入しようとする企業様は、マヒンドラグループの動向に注目しましょう。

また、インドにはマヒンドラグループ以上の影響力を持つ「インド三大財閥」と呼ばれるコングロマリットも存在します。インド市場をより広い視点で理解するために、「インド三大財閥とは?」の記事もぜひご覧ください。

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