ハベルズ・インディアは、インドに本社を置く大手電気機器メーカーです。インド国内で700店舗以上を運営しており、家庭用電化製品や商業用・工業用の照明、ケーブルなど幅広い製品を展開しています。本記事ではハベルズ・インディアの会社概要や経営状況、成長戦略について紹介します。
ハベルズ・インディアとはどんな会社
出典:ハベルズ・インディア
ハベルズ・インディアは、インドを代表する大手企業です。Havells(ハベルズ)、Lloyd(ロイド)、Crabtree(クラブツリー)、Standard(スタンダード)などのブランドを展開し、世界50カ国以上に進出しています。この章では同社の会社概要や歴史、経営理念を解説します。
会社概要
ハベルズ・インディアの会社概要は以下のとおりです。
会社名 | Havells India Ltd. |
本社 | インド |
設立 | 1983年 |
進出地域 | 50カ国以上 |
従業員数 | 6,712人(2024年度) |
売上高 | 1,855億ルピー(2024年度) |
歴史
ハベルズ・インディアの歴史の始まりは、1983年にインドのデリーに設立されたことです。設立当初は、ヒューズなどのスイッチギア製品を製造していました。1997年から2007年にかけて、ヨーロッパの照明会社のシルバニアなど、多数の企業を買収しました。このように多くの企業を買収して事業を拡大してきたのが同社の特徴で、現在では6つのブランドを50カ国以上で展開しています。
経営理念
同社の経営理念であるビジョン・ミッション・6つの価値の柱を紹介します。
●ビジョン
卓越性、ガバナンス、顧客満足度、社会や環境を含む各ステークホルダーに対する公平さにおいて、世界的に認められる企業になること。
●ミッション
企業倫理、グローバルな事業展開、技術的専門知識、全ての関係者との長期的な関係の構築を通じて、当社のビジョンを実現します。
●価値の柱
- 顧客中心主義
顧客の期待を超えること。
- 起業家精神
最高クラスの製品とサービスを提供するために、絶え間ない成長に向けて取り組むこと。
- 共感
全てのステークホルダーに対して配慮と尊重をすること。
- 謙虚さとシンプルさ
誠実な対応を心掛けること。
- 平等
エゴや境界のないやり方で仕事をすること。
- 倫理とガバナンス
相互の信頼と専門家としての誠実さに基づいて、ビジネスにおける最高水準を設定すること。
ハベルズ・インディアの経営状況
ハベルズ・インディアの経営状況として、直近6年間の売上高とEBITDAの推移を紹介します。※EBITDAとは、営業利益に減価償却費を加えた指標です。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
※ハベルズ・インディアの2024年度の会計年度は、2023年4月1日から2024年3月31日の期間を指します。
2024年度の売上高は1,855億ルピー(3,153億円)で、2023年度の1,686億ルピー(2,866億円)から169億ルピー(287億円)増加しました。2024年度のEBITDAは209億ルピー(355億円)で、2023年度の178億ルピー(302億円)から31億ルピー(52億円)増加しました。売上高とEBITDAは増加傾向にあることから、同社が順調に事業を拡大していることが分かります。※1ルピー=1.7円換算
また、地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
インド国内での売上高の構成割合は96.7%です。同社は50カ国以上に進出していますが、売上のほとんどをインド市場に頼っています。
ハベルズ・インディアの事業別売上高の推移
ハベルズ・インディアの経営状況を深掘りするために、この章では事業別売上高に焦点を当てて解説します。まず、事業別売上高の構成割合は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
さらに、各事業の事業内容と売上高の推移を紹介します。
ケーブル
ケーブル事業は、家庭用ケーブル・産業用地下ケーブルなどを販売している事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
2024年度の売上高は631億ルピー(1,072億円)で、2023年度の553億ルピー(940億円)から78億ルピー(132億円)増加しました。増加した要因として、電力ケーブルの需要の拡大が挙げられます。
ロイド・コンシューマー
ロイド・コンシューマー事業は、ロイドブランドの製品を販売している事業で、主にエアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機を展開しています。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
2024年度の売上高は381億ルピー(647億円)で、2023年度の336億ルピー(571億円)から45億ルピー(76億円)増加しました。増加した要因として、インド国内でエアコンの生産能力を拡大したことが挙げられます。
家電製品
家電製品事業は、主に扇風機・給湯器・クーラー・家庭用電化製品を販売している事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
2024年度の売上高は348億ルピー(591億円)で、2023年度の329億ルピー(559億円)から19億ルピー(32億円)増加しました。2024年度の売上高は増加したものの、夏の季節外れの雨の影響を受けたことで小幅な伸びとなりました。
スイッチギア
スイッチギア事業は、家庭用及び産業用スイッチギア・電気配線の付属品・コンデンサーなどを販売している事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
2024年度の売上高は224億ルピー(380億円)で、2023年度の212億ルピー(360億円)から12億ルピー(20億円)の増加でした。増加した要因として、新規不動産の開発の増加が需要増につながったことが挙げられます。
照明&備品
照明&備品事業は、主にLED器具・照明器具を販売している事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
2024年度の売上高は163億ルピー(277億円)で、2023年度の161億ルピー(273億円)から2億ルピー(3億円)増加しました。2024年度は照明の販売数量が増加したものの、販売価格の下落が響き、微増にとどまりました。
その他
その他事業は、産業用モーター・ポンプ・浄水器・太陽光発電などを販売している事業です。売上高の推移は以下のとおりです。
参考:ハベルズ・インディア「Financials」
2024年度の売上高は109億ルピー(185億円)で、2023年度の95億ルピー(161億円)から14億ルピー(23億円)増加しました。
バベルズ・インディアの成長戦略
ハベルズ・インディアは成長戦略に、以下の5つの柱を掲げています。
- ブランド
ステークホルダーとのつながりを深めるために、ブランドへ継続的に投資すること。
- チャネル
マルチブランドの販売店、小売店、ECなどの拡大により、消費者との接点を増やすこと。
- イノベーション
イノベーションと製品開発に重点を置いた研究開発への投資を継続すること。
- デジタル化
新たなデジタルテクノロジーを全ての部門に導入すること。
- タレント
社内からリーダーを育成すること。
まとめ
ハベルズ・インディアは、インドを中心に事業を展開している大手電気機器メーカーです。近年、急速に事業規模を拡大させており、インド国内の事業展開に成功した企業と言えます。インドへの進出を検討している経営者様は、同社の事業展開を参考にしてみてはいかがでしょうか。