
インドのディワリは、光の祭典とも呼ばれるインド最大のお祭りです。しかし、日本では聞き慣れないお祭りのため、由来や祝い方、日程などはあまり知られていません。そこで今回は、海外のお祭り・行事に焦点を当て、インドのディワリについて徹底解説します。
インドのディワリとは
ディワリとは、「無知に対する知識の勝利」「悪に対する善の勝利」「闇に対する光の勝利」のお祝いに加えて、インドの新年を祝うお祭りです。しかし、新年と言っても1月1日ではなく、毎年10月下旬から11月上旬にかけて行われます。「光の祭典」とも呼ばれ、ディヤ(オイルランプ)やイルミネーションで街中が覆われるのが特徴です。この章ではインドのディワリの由来やお祝い方法、日程などを紹介します。
ディワリの由来
ディワリで、「無知に対する知識の勝利」「悪に対する善の勝利」「闇に対する光の勝利」をお祝いするのは由来からです。
最も有名な由来は、インド北部のヒンドゥー教に伝わるラーマ王子が魔王ラーヴァナを倒した話です。
約7,000年前、ヒンドゥー教の神様である「ラーマ王子」が謀略により、妻のシータとともに森に追放されます。そしてある時、シータがあまりにも美しかったため、魔王のラーヴァナに誘拐されてしまいました。そこでラーマ王子は、猿の神様である「ハヌマーン」の協力を得て、魔王ラーヴァナを倒します。その後、ラーマ王子は国に帰還しました。このことを祝うのがディワリです。
そのため、ディワリには「悪に対する善の勝利」「闇に対する光の勝利」「無知に対する知識の勝利」の意味があります。
また、ディワリの由来は地域や宗教により異なるため、それらの違いも押さえておく必要があります。
地域・宗教による違い
ディワリをお祝いするのはヒンドゥー教だけではありません。また、先に紹介したディワリの由来はインド北部のもので、インド南部とは異なります。そのため、地域・宗教によるディワリの由来の違いは、簡単に紹介すると以下のとおりです。
インド北部:ラーマ王子が魔王ラーヴァナを倒したことのお祝い
インド南部:クリシュナ神が悪魔ナラカを倒したことのお祝い
シク教:12年間幽閉されていた第6代教祖が解放されたお祝い
ジャイナ教:教祖のマハヴィーラが解脱したことのお祝い
仏教:古代インド・マウリヤ朝のアショーカ王が仏教に改宗したお祝い
このように、地域・宗教によって由来は異なりますが、「悪に対する善の勝利」という根幹は同じと言えます。このような違いから、インド人であっても人によって、ディワリの解釈が異なるので注意が必要です。
ディワリのお祝い方法
インドのディワリは、家族や親族と一緒に過ごしてお祝いするのが一般的です。そのため、ディワリの期間中は長期休暇となり、都市部から大勢の方が帰省します。さらに、人々はディワリに向けて家中を大掃除するとのことです。
このようなことから、日本の正月の過ごし方と似ていると言えるでしょう。
さらに、ディワリでは女神ラクシュミーに祈りを捧げるため、ランゴリやディヤで玄関を美しく装飾するとのことです。
- ランゴリ
ランゴリとは、カラフルな砂で描いた幾何学的な模様のこと。

- ディヤ
ディヤとは、素焼きの器にオイルを入れたオイルランプのこと。

ディワリの日程
ディワリは、毎年10月下旬から11月上旬の5日間にわたって行われます。毎年、日にちが変わるのは、ヒンドゥー歴では月が地球を1周する期間を1カ月としているためです。そして、ヒンドゥー歴でディワリが始まるのは、7番目の月と8番目の月の間にある新月の直前です。なお、2024年は10月31日から11月3日に行われます。
また、ディワリの5日間はそれぞれの日でやることが決まっています。
- 1日目:ダンテラス
ディワリの2日前は、準備として家の大掃除をして、買い物をします。
- 2日目:チョッティ・ディワリ
ディワリの前日は、ランゴリやディヤを用意します。
- 3日目:ディワリ
ディワリ当日は、ディヤに火を灯し、家族や友人とごちそうを食べたり、花火を楽しんだりする日です。
- 4日目:ゴヴァルダーン・プージャ
ディワリの翌日は、新年の始まりです。新年のあいさつをして、贈り物を交換します。男性が妻にプレゼントを買うことが多い日でもあります。
- 5日目:バイ・ドゥージ
ディワリの翌々日は、兄弟姉妹の絆を強める日です。姉妹は兄弟の健康を祈り、兄弟は姉妹に贈り物をします。
ディワリでの食べ物
インドでは、お祝いの日に甘いお菓子を食べるのが風習です。そのため、ディワリでもミタイやジャレビと呼ばれる伝統的なお菓子を食べます。ミタイは牛乳と砂糖で作った半生ミルク菓子のことで、ジャレビは小麦と砂糖を混ぜたものを油で揚げ、それをシロップに漬けたものです。
盛り上がりを見せるディワリ商戦
ディワリは、新しいスタートを意味するとのことで、ディワリシーズンに買い物をすると縁起が良いとされています。そのため、この時期は1年で1番モノが売れるとされており、至る所でディワリセールが開催されています。売れ筋の商品は、自動車や家電製品といった高価格商品、ディワリ用のプレゼント、イルミネーションといった装飾グッズなどです。
インドの三大祭典

インドには三大祭典と呼ばれる3つのお祭りがあります。ディワリはその三大祭典の1つです。ここでは、インドの文化やイベントのスケジュールについて把握するために、三大祭典の開催時期や内容を分かりやすく紹介します。
- ホーリー
ホーリーは春に行われるお祭りで、カラフルな粉や水をかけあいながら「ハッピーホーリー」と言ってお祝いします。また、ヒンドゥー教では普段禁止されているお酒も、ホーリーのときは解禁されるのが特徴です。
- ダシュラ
ダシュラは、ラーマ王子が魔王ラーヴァナに勝利した日を記念したお祭りです。ディワリの21日前に10日間行われ、クライマックスでは魔王ラーヴァナを模した像を燃やすなどして勝利したことを祝います。10日間行われる理由は、ラーマ王子が勝利するのに10日間かかったためとされています。
- ディワリ
ダシュラの21日後に開催されるお祭りです。ラーマ王子が魔王ラーヴァナに勝利し、国に帰還したことをお祝いします。
ディワリは日本でも体験できる
インドのディワリは、家族や親族で祝うお祭りのため、旅行客が現地で体験するのは難しいとされています。しかし、インドのことを知るために、ディワリを体験してみたいという方もいるでしょう。そこで、日本で開催されているディワリを紹介します。
- ディワリフェスタ西葛西
ディワリフェスタ西葛西は、江戸川区西葛西で毎年開催されているイベントです。「ディワリを日本でもやろう」と始まった同イベントは、今年で25年目を迎え、インドの文化や食を体験できるだけでなく、インド関連の情報発信も行っています。
ディワリはビジネスチャンスの多いお祭り
インドのディワリは、インド最大のお祭りに加えて、新年のお祝いでもあります。この時期に買い物をすると縁起が良いとされているため、1年で1番モノが売れる時期として知られており、ビジネスチャンスが多いのも特徴です。そのため、インド向けのセールやキャンペーンを展開するなら、ディワリの活用を検討してみてはいかがでしょうか。