マリオット・インターナショナルとは?会社概要や経営状況を解説 

マリオット・インターナショナルはアメリカに本社をおく世界最大手のホテルチェーン企業です。 

「マリオット・ホテル」や「ザ・リッツ・カールトン」などのブランドを展開している企業として知られています。 

「どのような会社なの?」や「ビジネスモデルが知りたい」という方もいるでしょう。 

そこで本記事では、マリオット・インターナショナルの会社概要・経営状況・成長戦略を紹介します。 

マリオット・インターナショナルとはどんな会社? 

出典:マリオット・インターナショナル 

Marriott International(マリオット・インターナショナル)は、30以上のホテルブランドを展開しているアメリカの企業です。この章では、マリオット・インターナショナルの会社概要・企業理念・事業内容について紹介します。 

会社概要 

マリオット・インターナショナルの会社概要は以下のとおりです。 

会社名 Marriott International, Inc. 
設立 1927年 
本社 アメリカ 
従業員数 411,000人(2023年末時点) 
ホテル・リゾート数 約8,800棟 
進出地域 139カ国 
売上高 237億ドル(2023年) 

マリオット・インターナショナルは、創業者のJ. ウィラード・マリオットとアリス・シーツ・マリオットが1927年に、9席のルートビアスタンドを開業したのがはじまりです。※ルートビアは炭酸飲料で、アルコールを含まないジュースです。 

1928年には東海岸で最初のドライブインレストランをオープンし、1937年には機内食のケータリング事業に進出しました。そして、1957年にホテルの1号店をオープンしてホテル事業を開始します。 

現在では30以上のブランドを展開し、世界139カ国に約8,800棟のホテル・リゾートを展開する企業に成長しています。 

基本理念 

マリオット・インターナショナルの基本理念は、「connecting people through the power of travel(旅の力で人と人を繋ぐ)」です。基本理念を体現するために、以下の5つの価値観を重視しています。 

  • put people first(何よりも人を大切に) 

創業者の「従業員を大切に扱えば、従業員もお客様を大切にするようになる。」という哲学のもと、人を大切にする企業文化が根付いています。 

  • pursue excellence(エクセレンスを追求) 

きめ細やかなサービスを提供することです。 

  • embrace change(変化を積極的に取り入れる) 

マリオット・インターナショナルはさまざまな事業に挑戦してきたように、変化を積極的に取り入れた新ブランドを開発しています。 

  • act with integrity(誠実な行動) 

倫理的な取り組みを重視しており、環境保護や人権保護などの取り組みを行っています。 

  • serve our world(世界への貢献) 

持続可能な社会を実現できるように、あらゆる角度から尽力することです。 

事業内容 

マリオット・インターナショナルは、創業当初に事業を多角化しましたが、1989年にレストランやケータリング事業などを売却し、ホテル運営専門の企業となりました。現在では下の図のように、世界中で8,800以上のホテル・リゾートを展開しています。 

出典:マリオット・インターナショナル「Marriott International Development」 

マリオット・インターナショナルの経営状況 

マリオット・インターナショナルの経営状況を売上高・営業利益の推移から考察します。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:マリオット・インターナショナル「Annual」 

マリオット・インターナショナルは、新型コロナウィルスが流行した2020年に売り上げを大きく落としました。しかし、2021年以降は3年連続で2桁成長を達成しており、2023年は2019年の新型コロナウィルスの流行前よりも売り上げが拡大しました。 

また、注目すべき点は2019年と比較して営業利益が大幅に向上している点です。2019年の営業利益が18億ドル(2,520億円)に対して、2023年は38億ドル(5,404億円)で、2.1倍に増加しました。 

つまり、マリオット・インターナショナルの経営状況の特徴は、新型コロナウィルスの流行前よりも利益率が大幅に改善している点です。 

マリオット・インターナショナルのセグメント別売上高の推移 

マリオット・インターナショナルのセグメントは、「US & CANADA」と「International」で、地域により区分しています。そのセグメントの売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:マリオット・インターナショナル「Annual」 

この章では2つのセグメントの売上高・営業利益に加えて、ホテル・リゾート数の推移を紹介します。 

US & CANADA(アメリカ・カナダ) 

US & CANADA(アメリカ・カナダ)のセグメントは、名前のとおりアメリカとカナダにおける事業です。US & CANADAの売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:マリオット・インターナショナル「Annual」 

2023年は2019年よりも、売上高・営業利益ともに上回っており、2020年の新型コロナウィルスによる急激な悪化からV字回復を果たしました。マリオット・インターナショナルの約8割をアメリカ・カナダで売り上げているため、同社の重要なセグメントといえます。 

また、同期間中のUS & CANADAのホテル・リゾート数と居室数の推移は以下のとおりです。 

参考:マリオット・インターナショナル「Annual」 

US & CANADAでは、5年間で641のホテル・リゾート数が増えています。平均すると1年で180棟も増えている計算になります。これほどのスピード感で増加していることが、成長を支えている要因です。 

International(国際) 

International(国際)のセグメントは、カリブ海・ラテンアメリカ・中東・アフリカ・中華圏などの地域における事業です。Internationalの売上高と営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:マリオット・インターナショナル「Annual」 

Internationalの売上高は、2021年に2019年を超え、2023年には2019年の約3.7倍に急拡大しました。営業利益も2019年と比較すると2倍以上に伸びています。 

Internationalの売上高は、マリオット・インターナショナル全体の20%ほどです。しかし、急激に拡大していることから、同社の成長を支えているともいえます。 

また、同期間中のInternationalのホテル・リゾート数と居室数の推移は以下のとおりです。 

参考:マリオット・インターナショナル「Annual」 

5年間でホテル・リゾート数が812棟も増えており、US & CANADAより172棟も多くなっています。このことからマリオット・インターナショナルは、アメリカとカナダ以外の地域への進出を積極的に進めているといえます。 

マリオット・インターナショナルの成長戦略 

マリオット・インターナショナルは2023年に開業数、事業契約数で記録的な成長を達成しました。具体的には、アジア太平洋地域で60棟以上を新規開業しています。 

日本においても、2024年4月にHMIホテルグループと提携しました。HMIホテルグループのホテル7棟を、マリオット・インターナショナルのブランドにリブランディングする予定です。 

このように、マリオット・インターナショナルの成長戦略は、拡大路線といえるでしょう。 

さらに同社の成長を支えているのは、旅行プログラムのMarriott Bonvoyです。Marriott Bonvoyは同社のメンバーシッププログラムで、会員は無料宿泊やお得な会員料金で利用できるのがメリットです。Marriott Bonvoyでは、特別な体験ができるプログラムも用意されているため、顧客満足度を高めるのにも役立っています。 

お客様も従業員も大切にするマリオット・インターナショナル 

マリオット・インターナショナルの創業者の哲学は、「従業員を大切に扱えば、従業員もお客様を大切にするようになる。」です。その哲学は現在も浸透しており、マリオット・インターナショナルは従業員を大切にすることで、世界1位のホテル企業へ成長したともいえます。海外進出で成功したい経営者は、ぜひマリオット・インターナショナルの基本理念や経営戦略を参考にしてみましょう。 

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