IKEA(イケア)の経営状況を解説!会社概要や成功した秘訣など 

IKEA(イケア)は世界最大手の家具チェーン企業で、2023年の売上高は約7.1兆円(476億ユーロ)でした。 

しかし、「IKEAは何がすごいの?」や「IKEAの成長した理由を知りたい」といったビジネスパーソンもいるでしょう。 

そこで本記事ではIKEAの会社概要や経営状況、成功した秘訣を紹介します。 

IKEA(イケア)とはどんな会社 

出典:IKEA 

IKEA(イケア)は、オランダに本社を置く家具・インテリアの企業です。ここでは、会社概要や経営理念、事業内容について紹介します。 

会社概要 

IKEAの会社概要は以下のとおりです。 

会社名 Inter IKEA Systems B.V.(非公開企業) 
設立 1943年 
本社 オランダ 
従業員数 219,000人 
進出地域 63地域 
売上高 476億ユーロ(2023年) 

IKEAは創業者のイングヴァル・カンプラード氏により1943年にスウェーデンで設立され、当初はペンや財布などの販売を行っていました。 

その後、1948年に家具の販売を開始して家具メーカーとして歩み始めます。 

1953年、当時はまだ一般的ではなかったフラットパックを採用し、通信販売における家具の輸送費を下げることに成功しました。 

フラットパックとは、家具を部品の状態で箱に隙間なく詰めて配送する手法です。 

フラットパックの採用などにより、1950年代にIKEAはスウェーデンで事業を拡大します。そして、1970年代にはオーストラリアやオーストリア、カナダなどに進出を果たしたのです。 

現在では世界の63の地域に進出し、売上高が476億ユーロ(約7.1兆円)に達しています。 

経営理念 

IKEAは、創業当初から「より快適な毎日を、より多くの方々に」をイケアビジョンとして掲げています。 

さらにイケアの経営理念は、「優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファニッシング製品を幅広く取りそろえ、より多くの方々に購入いただけるよう、できる限り手ごろな価格で提供すること」です。 

※ホームファニッシングとは、家具・寝具・インテリア用品・生活用品などのことです。 

そして、以下の8つの項目をイケアバリューと位置付け、IKEAが「永遠に守るべきもの」として重要視しています。 

  • 連帯感 
  • 環境と社会への配慮 
  • コスト意識 
  • 簡潔さ 
  • 刷新して改善する 
  • 意味のある違うやり方 
  • 責任を与える、引き受ける 
  • 手本となる行動でリードする 

引用:IKEA「イケアのビジョン、バリュー、ビジネス理念」 

事業内容 

IKEAは世界各国に実店舗やECサイトを展開し、家具やインテリアを販売しています。 

その大きな特徴は、「イケアストア」と呼ばれる大型店舗です。大型店舗には、寝具・家具・雑貨・キッチンアイテムなどさまざまなホームファニッシング製品がそろっています。 

さらに、レストランやカフェも併設しているため、店内でゆっくりと買い物や食事を楽しめるのが魅力です。まるで、家具のテーマパークのような楽しみ方ができるとして、世界各国で人気を集めています。 

Ingka Group(インカグループ)の経営状況 

IKEAは非公開企業で、経営状況の詳細を公開していません。そこで、IKEAの経営状況を考察するために、ここではIngka Group(インカグループ)の経営状況について紹介します。 

Ingka Groupは、IKEAとフランチャイズ契約を結び、IKEA製品の販売を担っている12の企業グループの1つです。31カ国でイケアストア(大型店舗)を373店舗、シティショップ(都心型店舗)を26店舗、加えて138のどちらにも当てはまらない店舗を運営しています。 

IKEAの売上高の90%以上をIngka Groupの売上が占めているため、IKEAの経営状況をそれとなく知ることができます。 

Ingka Groupの売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。 

参考:Ingka Group「Reports」 

Ingka Groupの売上高は順調に拡大しており、2023年は443億ユーロ(約6.6兆円)でした。つまり、2023年のIKEAの売上高の93%をIngka Groupが占めていることになります。 

また、Ingka Groupの地域別売上高の構成割合は以下のとおりです。 

参考:Ingka Group「Reports」 

売上の大半はヨーロッパによるもので、その内訳として売上高の多い5カ国を紹介します。 

順位 国 売上高の割合 
1位 ドイツ 15.4% 
2位 アメリカ 14.5% 
3位 フランス 9.1% 
4位 イギリス 6.8% 
5位 イタリア 5.3% 

Ingka Group(インカグループ)の4つの取り組み 

2020年、Ingka Groupの売上高は減少したものの、2021年以降は3年連続で売上増を達成しました。ここでは、Ingka Groupが成長を続ける背景として、同社の4つの取り組みを紹介します。 

Better homes 

Ingka GroupではBetter homes(より良い家)のために、手ごろな価格で、かつ感動をもたらすような家具の提供を目指しています。 

その取り組みの一環は、返品された商品、交換品、展示品などを安価で購入できるサーキュラーマーケットです。サーキュラーマーケットは、顧客が安く購入できるだけではなく、廃棄物の削減により持続可能な社会に向けた取り組みにもなります。 

Better lives 

Better lives(より良い生活)は、人々の生活を改善するために、平等で公平な社会に向けた取り組みのことです。 

具体的な取り組みは、男女の雇用機会の均等化や男女賃金格差の解消、管理職の男女比を半々にするなどです。また、24カ国で2,935人の難民に対して雇用プログラムを実施するなど、人道支援にも積極的に取り組んでいます。 

Better planet 

Better planet(より良い地球)は、温室効果ガスの排出量や資源の使用量の削減、生物多様性の保全などの取り組みです。具体的な目標の数値として、IKEA製品が気候に与える影響を2030年までに半減させる予定です。 

Better company 

Better company(より良い会社)では、再生可能エネルギーの投資を加速させることや、反対に化石燃料や原子力事業への投資をしないなどの取り組みを行っています。 

IKEA(イケア)が成功した秘訣 

IKEAがこれほどまでに売上を拡大できた秘訣は、その価格戦略にあります。 

IKEAは経営理念でも掲げているように、「できる限り手ごろな価格で提供すること」をモットーとしています。価格が安いことで、まるでファッションを楽しむように手軽に家具を購入できることから、世界中の消費者から支持されているのです。 

また、発送費用を下げるために取り入れたフラットパックは、「イケア効果」と呼ばれる効果を生み出しました。「イケア効果」とは、自分で作ったものに本来以上の価値を見いだすことです。 

簡単にいえば、イケアの家具を自分で組み立てることで、その家具に対して愛着がわく効果を指します。このイケア効果により顧客の満足度を高めることは、ファンやリピーターの獲得につながっているとされています。 

イケア効果をマーケティングに活用しよう 

IKEAが家具・インテリアで世界1位の企業になれた大きな要因は、気軽に購入しやすい価格戦略とイケア効果です。 

イケア効果は家具だけではなく、さまざまな産業で取り入れられています。例えば食品であれば、完成品ではなくあえて手を加える必要性を残すなどです。 

この機会に、イケア効果を自社の事業のマーケティングに取り入れてみてはいかがでしょうか。 

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