The LEGO Group(レゴグループ)の成長戦略とは?会社概要や経営状況

The LEGO Group(レゴグループ)は、積み重ねて自由自在に好きなものを作れる玩具のレゴブロックを販売している企業です。

レゴブロックは世界中で愛されており、2023年の売上高が1.3兆円を超えています。

本記事ではThe LEGO Groupについて知りたい方に向けて、会社概要・経営状況・成長戦略を紹介します。

The LEGO Group(レゴグループ)とはどんな会社?

出典:The LEGO Group

この章ではThe LEGO Group(レゴグループ)の会社概要・経営理念に加えて、主力商品のレゴブロックの歴史を紹介します。

会社概要

The LEGO Groupの会社概要は以下のとおりです。

会社名The LEGO Group
設立1932年
本社デンマーク
従業員数28,528人(2023年)
製造拠点7カ所
進出地域130カ国以上
売上高659億デンマーク・クローネ(2023年)

LEGOの名前の由来は、デンマーク語で「よく遊ぶ」を意味する「leg godt」です。1932年にオーレ・キアク・クリスチャンセン氏が設立し、当初は木製玩具を制作していました。1949年にプラスチック製の玩具の製造を開始し、1958年に現在のレゴブロックが発売されました。現在では、世界の7拠点で製造したレゴブロックを130カ国以上で販売しています。

またThe LEGO Groupは家族経営の企業で、創業者一族が運営する持ち株会社のKIRKBI A/Sが75%、LEGOファウンデーションが25%の株を所有しています。

企業理念

The LEGO Groupの企業理念は、創業以来「Only the best is good enough(最良のものがあれば十分である)」です。また「Only the best is good enough」の考え方を根底に、以下のブランドフレームワークを構築しているのも特徴です。

出典:The LEGO Group「About Us

フレームワークでは企業理念の上に、4つのPromises(約束)が位置し、社名の由来でもある「Play Well(よく遊ぶ)」が掲げられています。ほかにも6つの価値観やアイデアなどがあり、最上位にBelief(信念)の「Children are our role models(子どもたちは私たちのロールモデルです)」が位置しています。

レゴブロックの歴史 

The LEGO Groupの主力製品はレゴブロックです。ここでは簡単にレゴブロックの歴史を紹介します。

  • 1949年:プラスチック製のブロックを製造開始
  • 1955年:都市計画番号を持つ最初のシステム製品「LEGO System in Play」の完成
  • 1958年:円柱状の突起により結合力を強化した現在のレゴブロックが誕生
  • 1968年:世界初のレゴランドがオープンし、初年で62.5万人が来場
  • 1980年:教育部門を設立し、LEGOを活用した学習体験を提供
  • 2006年:レゴブロックの製造を委託(アウトソーシング)
  • 2008年:レゴブロックの製造が自社の業務に復帰(インソーシング)
  • 2014年:ファンのアイデアを採用したLEGO Ideasの販売を開始

上記の歴史のなかで注目すべき出来事は、2006年のレゴブロック製造のアウトソーシングと、2008年のインソーシングです。レゴブロックの製造には多数のパーツの製造や複雑な形成があり、アウトソーシングではさまざまな問題が発生したためです。現在、レゴブロックの製造は同社の中核的事業とみなされています。

The LEGO Group(レゴグループ)の経営状況

The LEGO Groupの経営状況を売上高・営業利益の推移から考察します。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:The LEGO Group「Reports

The LEGO Groupの2023年の売上高は659億デンマーク・クローネ(1兆3,182億円)で、前年比2%増を達成しました。ただし、営業利益は前年比4.5%減の171億デンマーク・クローネ(3,420億円)です。※1デンマーク・クローネ=20円で換算

2023年は過去最多の780のレゴブロック製品を取り扱っており、その半分が新商品でした。新商品の積極的な投入で、売上高を伸ばしているといえます。

The LEGO Group(レゴグループ)の地域別売上高の推移

The LEGO Groupの経営状況を地域別の売上高の推移から考察します。まずは、2023年の地域別売上高の構成割合です。

参考:The LEGO Group「Reports

The LEGO Groupの主要地域はアメリカ大陸で、売上高全体の約半分を占めています。ここでは各地域の売上高の推移を紹介します。

アメリカ大陸

アメリカ大陸の売上高の推移は以下のとおりです。

参考:The LEGO Group「Reports

アメリカ大陸では2020年から急激に売上が拡大しています。具体的に2020年は前年比14%増、2021年は34%増、2022年は27%増で、3年連続2桁成長を達成しました。

さらに、2023年は前年比9%増の306億デンマーク・クローネ(6,128億円)で、2桁成長とはいかなかったものの高い成長率を維持しています。2019年と比較すると2023年の売上高は2倍以上となり、The LEGO Groupの成長を支えている主要地域といえます。

ヨーロッパ・中東・アフリカ

ヨーロッパ・中東・アフリカの売上高の推移は以下のとおりです。

参考:The LEGO Group「Reports

同地域においても、アメリカ大陸と同様に2020年から急激に売上が拡大しています。2020年は前年比11%増、2021年は20%増、2022年は10%増で3年連続2桁成長を達成しました。ただし、2023年の売上高は256億デンマーク・クローネ(5,122億円)で、前年とほぼ同水準となりました。

アジア

アジアの売上高の推移は以下のとおりです。

参考:The LEGO Group「Reports

アジアでは2022年まで売上が急拡大していましたが、2023年に前年比12%減の91億デンマーク・クローネ(1,300億円)でした。他地域が売上を維持・拡大するなか、マイナス成長となっています。

マイナス成長の大きな要因は中国の需要の縮小です。The LEGO Groupの「Annual Report 2023」によると、中国の経済的課題により市場のパフォーマンスが低迷しているとのことです。

The LEGO Group(レゴグループ)の成長戦略

近年、The LEGO Groupは売上高を急激に拡大させ、世界1位の玩具メーカーに成長しています。そのようなThe LEGO Groupですが、1998年から続いた赤字で自己資本比率が低下し、倒産の危機に陥ったことがあります。赤字の主な要因は、テレビゲームの普及や類似商品の氾濫です。

対策として、アクションフィギュアを多数投入したものの、ほとんどが失敗に終わりました。さらに、アクションフィギュアはレゴブロックと互換性がなかったことから、ファン離れを引き起こして危機的な状況にまで追い込まれたのです。

そこで、レゴブロックの原点の「System in Play」に立ち戻り、互換性のない生産を終了します。さらに、2008年に日本で実験的にLEGO CUUSOサイトを立ち上げました。LEGO CUUSOサイトはファンが製品のアイデアを公開し、一定数以上のファンから票を獲得すると製品化のチャンスを得られる取り組みです。

LEGO CUUSOサイトは大成功を収め、現在ではLEGO Ideasに名前を変えて世界中のファンからアイデアを募集しています。

つまり、The LEGO Groupはファンマーケティングを積極的に取り入れることで、V字回復に成功したのです。

ファンマーケティングで世界最大の玩具メーカーに

The LEGO Groupが世界最大の玩具メーカーに成長した要因の1つは、ファンマーケティングの成功です。ファンからのアイデアを製品化することで、売上拡大につなげているためです。

そのため、「ファンやリピーターを獲得したい」や「ファンマーケティングのやり方に迷っている」という方には、The LEGO Groupの経営戦略は参考となるでしょう。

関連する事例

海外進出および展開はどのように取り組めば良い?
とお悩みの担当者様へ

海外進出および展開を検討する際に、
①どんな情報からまず集めればよいか分からない。
②どんな観点で進出検討国の現場を見ればよいか分からない。
③海外進出後の決定を分ける、「細かな要素」は何かを知りたい。

このような悩みをお持ちの方々に、プロジェクト時には必ず現地視察を行う、弊社PROVE社員が現地訪問した際に、どんな観点で海外現地を視察しているのかをお伝えさせていただきます。