海外戦略にQRコードは必要?歴史・仕組み・活用事例を紹介

QRコードはスマホやキャッシュレス決済の普及により、様々なシーンで利用されています。

それは国内に限らず海外でも同じです。そのため海外戦略を考えるうえで、QRコードの知識は必要不可欠といえるでしょう。

本記事ではQRコードの歴史と仕組み、活用事例について紹介します。

QRコードの歴史と仕組み

海外戦略でどのようにQRコードを活用するかを検討する前に、まずはQRコードの基礎知識について理解を深めましょう。この章では、QRコードの歴史と仕組みについて詳しく解説します。

QRコードは日本発の技術

世界的に広まっているQRコードは、1994年に日本のデンソー(現在のデンソーウェーブ)が開発した技術です。

当時のデンソーでは、製造工場の現場において部品をバーコードで管理していました。しかし、部品管理のために複数のバーコードを読み取る必要があり、作業員はバーコードを10個ほど並べて読み取っていたそうです。

10個ものバーコードを読み取る作業は非効率的で、現場の作業員からも不満が出ていました。そこで、バーコードよりも多くの情報を詰め込める2次元コードの開発が進められ、QRコードが誕生したのです。

そのため、バーコードの情報は数10文字の数字の羅列に対して、QRコードは最大7,000文字の情報を盛り込めるのです。

QRコードは、世界中に広まっていることから開発したデンソーは、特許権で莫大な利益をあげていると思うかもしれません。しかしデンソーはQRコードの普及のために、特許権を行使しないことを宣言し、特許を公開しています。

各社が自由に使えたため、多くの企業が開発を進め、現在のように様々なシーンでQRコードが活用されるようになったのです。

QRコードの仕組み

QRコードの特徴は格納できる情報量の多さと、高速かつ多少の汚れや破損でも読み取れることです。

そのような特徴を持つQRコードは、以下の5つの仕組みから作られています。

  • セル
  • 切り出しシンボル
  • タイミングパターン
  • アライメントパターン
  • フォーマット情報

この章では5つの仕組みについて解説します。

セル

セルはQRコードを構成する最小の単位です。具体的にはQRコード内の黒・白の正方形のことで、セルのパターンにより様々な情報を格納できます。

格納できる情報量はセル数により決定し、最小が21セル×21セル、最大が177セル×177セルです。最大のデータ量は数字で7,089文字、英数字で4,296文字、漢字で1,817文字となります。

切り出しシンボル

切り出しシンボルはファインダーパターンと呼ばれ、QRコードの3つの角に配置されている大きめの四角形のパターンです。

切り出しシンボルがあることで、読み取った際にQRコードの大きさと向きを瞬時に判断できます。なぜなら、切り出しシンボルのない角は右下を表しており、どの向きからQRコードを読み取っても正しい向きがわかるためです。

タイミングパターン

切り出しシンボル間の黒セル・白セルで交互に配置されている部分を、タイミングパターンと呼びます。タイミングパターンは、各セルの座標を検出する役割があります。

アライメントパターン

アライメントパターンは、右下の小さな切り出しシンボルのようなパターンのことです。アライメントパターンは、カメラで撮影した際のズレや歪みを補正する役割があります。

フォーマット情報

フォーマット情報は、切り出しシンボル付近にあるパターンのことで、「誤り訂正機能」と「マスクパターン」の情報で構成されています。

誤り訂正機能

誤り訂正機能は、QRコードの汚れや破損に強い特徴に関わる機能です。約7%・15%・25%・30%の4段階で誤り訂正レベルを指定できます。誤り訂正レベルが高くなるほど、汚れや破損に強くなります。

マスクパターン

マスクパターンは、セルの配置についての情報です。

QRコードは黒・白のセルをバランス良く配置するために、8種類のマスクを使用して、セルの配置パターンを決定しています。この仕組みにより、黒に偏ったり、白に偏ったりするのを防いでいます。

QRコードが利用されている場所

QRコードといえば、QRコード決済やホームページのURL情報を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。しかし、QRコードは様々なシーンで利用されています。使用例の一覧は以下のとおりです。

  • 製造工場
  • 物流管理
  • チラシ
  • ポスター
  • QRコード決済
  • スマホアプリ連携
  • 航空チケット
  • 会員カード
  • ガチャガチャ
  • QRコード注文

この章では、このなかから4つの活用事例について紹介します。

QRコード決済

QRコード決済とは、スマートフォンでQRコードを読み取ったり、店舗側に自分のアプリのQRコードを読み取らせたりして支払うキャッシュレス決済です。国内では以下のQRコード決済サービスがあります。

  • PayPay
  • 楽天ペイ
  • au PAY
  • LINE Pay
  • メルペイ

消費者庁の調べによると、QRコード決済の利用率は年々高まっており、2021年には全体の1.8%にまで上昇しています。

出典:消費者庁「キャッシュレス決済の動向整理

キャッシュレス決済の普及から、QRコード決済を選択肢の1つとして選ぶ方が増えているのです。

海外に目を向けてみると、QRコード決済が普及している国は中国です。中国の消費者の85%がQRコード決済を利用しているというデータもあります。

中国では「Alipay」「WeChat Pay」が主流のサービスで、中国に進出を考えるのであれば、これらの決済サービスの対応が必要不可欠といえるでしょう。

飛行機のQRコードを用いてのチェックイン・搭乗

QRコードは飛行機の搭乗チケットにも利用されています。

例えばJALでは、Webサイトから搭乗チケットを購入すると、搭乗用バーコードとしてQRコードが届きます。そのQRコードを搭乗口にかざすことで、手軽に搭乗が可能です。ペーパーレスで搭乗できるので、利用者にとっても荷物が少なくて済むメリットがあります。

QRコードを用いたガチャガチャ

出典:ピピットガチャ Techガチャ研究所

QRコード決済の新たな活用方法として、注目されているのがQRコードを用いたガチャガチャです。

ガチャガチャは数百円程度を入れて回すことで、おもちゃなどが出てくる人気のツールです。しかし、小銭がないと利用できなかったり、販売できる金額が限られていたりなどのデメリットもあります。

そこで考えられたのは、QRコード決済を利用した「ピピットガチャ」です。ピピットガチャはQRコード決済で回せるため、小銭がなくてもできますし、販売金額も自由に設定できるのが特徴です。

これまでにはなかった販促方法ができるため、「次世代のガチャガチャ」として注目を集めています。

QRコード注文

QRコード注文とは、飲食店の注文において顧客が自分のスマホで各テーブルに用意されたQRコードを読み取って、メニューの閲覧・注文ができるシステムのことです。

QRコード注文を導入するメリットは、店側がタブレットを準備する必要がなく、導入費用を安く抑えられることです。

日本ではまだまだ広がり始めたばかりのサービスですが、アメリカや中国ではすでに、多くの飲食店が導入しています。

まとめ

本記事で紹介したように様々なシーンで登場しているQRコードは、その利便性からますます広がっていくことが予想されます。

飲食業界や小売りであれば、QRコード決済やQRコード注文の導入により、「業務効率の改善」や「人手不足の緩和」につながるでしょう。

海外のビジネス戦略を考えるうえでも、QRコードの利用を検討してみてください。

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