アフリカ大陸へ進出するメリットとは?味の素・ヤマハ・コマツの成功事例を紹介

海外進出を検討している日本企業のなかには、アフリカ大陸を視野に入れている企業も多いでしょう。しかし、アフリカに本当に「ビジネスチャンスがあるのか?」や「どのようにしたら成功できるのか?」など不安があるはずです。

そこで本記事ではアフリカ大陸の国々や進出するメリット、成功事例について紹介します。

アフリカ大陸とは?

アフリカ大陸とは、欧州の南に位置するユーラシア大陸の次に広い面積の大陸です。その広い大陸のなかに、砂漠地帯や熱帯雨林などが広がっています。具体的なアフリカ大陸の情報は以下のとおりです。

  • 面積:約3,037万平方km
  • 国数:54ヵ国
  • 人口(2022年):14億820万人
  • 名目GDP(2015年):2.2兆ドル
  • 1人あたりGDP:1,809ドル

またアフリカには少なくとも1,000以上の言語が使われ、3,000以上の民族が暮らしているとされています。

アフリカ大陸の国の概要

アフリカ大陸への進出を考えた際、アフリカ大陸には54ヵ国があるため、どの国に進出すれば良いのか迷ってしまうでしょう。そこでこの章では、アフリカ大陸の主要10ヵ国と主な産業について解説します。

現在アフリカ大陸にある主要10ヵ国の概要紹介

アフリカ大陸へ進出する際に有力な候補となるのは、以下の主要10ヵ国です。

国名人口
(2017年)
GDP
(2017年)
言語
ナイジェリア1億8,869万人3,763億ドル英語・各民族語
南アフリカ共和国5,652万人3,493億ドル英語・アフリカーンス語・バンツー諸語の11言語
エジプト9,480万人2,371億ドルアラビア語・英語(都市部)
エチオピア9,266万人809億ドルアムハラ語・英語
ケニア4,673万人795億ドルスワヒリ語・英語
タンザニア5,005万人517億ドルスワヒリ語・英語
ガーナ2,828万人470億ドル英語・各民族語
コートジボワール2,496万人404億ドルフランス語・各民族語
ザンビア1,724万人255億ドル英語・ベンバ語・ニャンジァ語・トンガ語
セネガル1,586万人165億ドルフランス語・ウォロフ語など各民族語
参考:農林水産省「アフリカ 統計データ集

このように各主要国では、市場規模や利用している言語などに違いがあります。

アフリカ大陸主要10カ国の主な産業

アフリカは広く、地域により産業が全く異なるため、この章では主要10ヵ国の主な産業について紹介します。

・ナイジェリア

ナイジェリアの主要産業は石油や天然ガスで、これらは輸出量の約9割を占めているほどです。かつてのナイジェリアのコーヒーは主要な輸出品でしたが、現在の輸出規模は大きく減少しています。

・南アフリカ共和国

南アフリカ共和国の主要産業は、自動車・バイク、サトウキビや大豆などです。また、金・プラチナ・クロム・マンガン・ダイヤモンド・バナジウムなど、多様な鉱物資源もあります。

・エジプト

エジプトは繊維産業や食品工場などの製造業が盛んです。また主要な農産物はオレンジになります。

・エチオピア

エチオピアの主要産業は農業で、穀物・豆類・コーヒーなどです。主な輸出品は、コーヒー、果物・野菜、採油用の種となります。

・ケニア

ケニアの主要産業は、コーヒーや紅茶です。コーヒー・食料品・動物が輸出の3分の1を占めています。また、鉱物資源としてソーダ灰やほたる石が採掘できます。

・タンザニア

タンザニアは労働人口の66.9%が農業に従事しており、カシューナッツ・タバコ・コーヒーなどの栽培が盛んです。

・ガーナ

ガーナの主要産業はチョコレートの原料であるカカオ豆です。

・コートジボワール

コートジボワールの主要産業はコーヒー・ココアと石油・天然ガスです。

・ザンビア

ザンビアの主要産業は銅やコバルト等の鉱業で、輸出総額の7割以上を占めています。※2016年時点

・セネガル

セネガルの主要産業は漁業で、マグロやかつお、エビ、たこなどが獲れます。

日本企業がアフリカに進出する際のメリット

海外進出を検討している日本企業に、アフリカ進出をおすすめする理由は以下の3つのメリットがあるためです。

  1. 爆発的な人口増加
  2. 豊富な天然資源
  3. 発達したICTテクノロジー

アフリカ市場の魅力・メリットについて詳しく解説します。

①爆発的な人口増加

日本企業がアフリカに進出するメリットは、爆発的な人口増加が見込まれることです。

世界の人口はすでに80億人を突破し、2050年には97億人に増加すると予想されています。その人口増加の中心地は、アジア・アフリカです。

アフリカでは2022年で14億820万人でしたが、2030年には16億9,000万人、2050年には24億6,312万人に増加すると予想されています。この予測通りに人口増加が進むと、アフリカが世界人口に占める割合は2050年に25%を超えます。

つまり将来においてアフリカ市場は、世界のなかで大きなウェイトを占める市場になる可能性を秘めているのです。

②豊富な天然資源

アフリカは、鉱物資源・石油・天然ガスなどの天然資源が豊富にあります。日本企業がアフリカに進出することで、資源確保を優位に進められるのがメリットです。

例えば、アフリカ各国で採掘できる主な鉱物は以下のとおりです。

参考:経済産業省「アフリカの鉱物資源の重要性と我が国の取組み

このように多種多様な鉱物を採掘できます。また、石油・天然ガスの埋蔵量・生産量の分布図は以下のとおりです。

参考:経済産業省「アフリカの鉱物資源の重要性と我が国の取組み

つまり天然資源を輸入に頼る日本において、アフリカに拠点があることは大きな意味を持ちます。

③発達したICTテクノロジー

アフリカは天然資源や農作物だけではなく、発達したICTテクノロジーも魅力です。

とくにルワンダはICT立国として、注目を集めています。天然資源に恵まれていないこともあり「ICT」が国家戦略に掲げられ、技術者・起業家の育成に力を注いでいるためです。

また日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)は、「250スタートアップ」プロジェクトでルワンダのスタートアップ育成を支援しています。

このように、アフリカならではのICTテクノロジーが生まれる環境が整っています。日本企業がアフリカに進出し、このようなICTテクノロジーを活用することで、これまでにはなかったアイデア・事業を創出できるでしょう。

アフリカに進出した日本企業の成功事例

アフリカに関連するビジネスを行っている日本企業は、少なくとも350社あります。しかし、実際には相当数の企業がビジネスを展開していると推察されます。

日本企業のアフリカにおけるビジネス例は以下のとおりです。

  • 資源開発
  • インフラ整備
  • 中間層市場を捉えたBtoC
  • アフリカで勃興する企業活動をサポートするBtoB
  • アフリカの特産を日本で販売するビジネス
  • アフリカ開発支援に係るビジネス

このように、多くのビジネスで日本企業がアフリカへ進出しています。そこで今回は、成功事例として3つの企業を紹介します。

事例①味の素

出典:味の素

味の素は、ガーナにおける離乳期の子どもの栄養改善に取り組んでおり、そのなかで開発されたのが「KOKO Plus」です。「KoKo」とはガーナの伝統的な離乳食(コーンのおかゆ)のことで、「KoKo」に栄養をプラスした栄養サプリメントが「KOKO Plus」になります。

味の素は、日米・官民連携によるプロジェクトやWFP国連世界食糧計画との連携など、「KOKO Plus」の普及に向けた取り組みを進めています。現在は次のステップとして、ナイジェリアや西アフリカへの横展開が検討されている段階です。

味の素の取り組みは、アフリカにおける社会問題の解決を図りながら、ブランドの認知拡大につなげた成功事例といえます。

事例②ヤマハ発動機

出典:ヤマハ発動機

アフリカのインフラ整備の事業で成功した企業がヤマハ発動機です。

ヤマハ発動機では、緩速ろ過という自然現象を模倣した小型浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム」を開発し、アフリカ・アジアなどの新興国での普及を進めています。2022年時点で世界中に45基を納入しています。

この小型浄水装置の特徴は、大きな電力を必要とせず、住民による自主運営が可能なことです。住民自らが「きれいな水」を確保でき、小さな村でも設置できるインフラとして設置数を伸ばしています。

事例③コマツ

出典:コマツ

アフリカは資源開発に必要な超大型ダンプトラックや油圧ショベルなどの鉱山機械の需要が多く、重機を扱うコマツにとってビジネスチャンスの大きな地域です。

そのコマツとアフリカの関係は古く、1963年にブルドーザーを輸出販売したことが始まりです。さらに、1997年に現地法人を設立し、アフリカ向けのブルドーザーを輸出販売しています。

このように、早くからアフリカへ進出し販売ネットワークを構築することで、大きな利益を得られるまでに成長しています。

まとめ

本記事では、まだまだ開発の余地があるアフリカ大陸の概要、アフリカでの日本企業の成功事例について紹介しました。

今後アフリカを含めた海外進出を検討している企業は、ぜひ海外進出支援のプロであるプルーヴ株式会社にご相談ください。

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