
インド経済は高い成長率を維持しており、進出先として注目を集めています。しかし、日本とインドでは文化や価値観が大きく異なるため、インド進出を成功させるには現地の文化や価値観の理解が欠かせません。
その一例が、インド三大祭典の一つ「ダシェラ祭」です。本記事では、ダシェラ祭の由来やお祝い方法に加え、経済活動や消費行動に与える影響をわかりやすく解説します。
ダシェラ祭とは
ダシェラ祭はインド三大祭典の一つで、「ヴィジャヤダシャミー(勝利の10日目)」とも呼ばれます。ヒンドゥー暦のアシュヴィン月の1日から10日間にわたって行われ、10日目の最終日がダシェラ祭の本番です。なお、グレゴリオ暦での2025年の開催日は10月2日です。
ダシェラ祭の由来
ダシェラ祭の主な由来は次の2つです。
- ラーマ王の勝利
一つ目の由来は叙事詩「ラーマーヤナ」です。「ラーマーヤナ」は古代インドの大長編叙事詩で、「マハーバーラタ」と並びインド二大叙事詩の一つとされています。物語の内容は、ラーマ王が魔王ラーヴァナに勝利し、誘拐された妻シータを取り戻すというものです。ダシェラ祭は、このラーヴァナに打ち勝った日を祝う祭りです。
- ドゥルガー女神の勝利
もう一つの由来は、ドゥルガー女神が水牛の姿をした悪魔マヒシャースラを倒した神話です。マヒシャースラは「男性には殺されない」という加護があり、神を打ち負かすほどの力がありました。そこで神々が力を合わせて生み出したのがドゥルガー女神です。女神は10本の腕に神々から授かった武器を持ち、10日間にわたる戦いの末、マヒシャースラを打ち破りました。この勝利を祝う日としてダシェラ祭が行われます。
どちらの由来も悪に善が勝利したことを祝うことから、ダシェラ祭は吉兆の日とされています。
ダシェラ祭とナヴラートリの関係性
ダシェラ祭は10日間にわたって行われますが、厳密には9夜10日間続くのがナヴラートリで、その最終日がダシェラ祭です。つまり、2つの祭事が組み合わさっているのです。
これは、ダシェラ祭の由来が2つあることと関係しています。ナヴラートリはドゥルガー女神への崇拝と感謝を示す期間であり、ダシェラ祭はラーマ王がラーヴァナに勝利したこと、そしてドゥルガー女神がマヒシャースラを打ち破ったことを祝う日です。
ナヴラートリのお祝い方法

ナヴラートリの期間中、家庭や寺院では祭壇を設けて礼拝が行われます。地域によっては、2本のダンディヤと呼ばれるスティックを使って踊る「ダンディヤ・ラース」を楽しむこともあります。食事には制限が設けられることが一般的です。具体的には米や小麦粉、肉類、玉ねぎ、ニンニク、卵などを控えます。さらに、ナヴラートリの9日間は、3日ごとに異なる女神へ祈りを捧げる習慣があります。
1~3日目:ドゥルガー女神への祈り
ナヴラートリの最初の3日間は、ドゥルガー女神(またはカーリー女神)への祈りが捧げられます。ドゥルガー女神やカーリー女神は、自らの不浄や悪を打ち砕く存在として信奉されています。
※カーリー女神は、ドゥルガー女神が怒りの頂点に達した際、額から生まれた女神です。黒や青の肌に舌を突き出した荒々しい姿で描かれ、血と破壊の化身として恐れられる一方、人々からは「黒い母」として敬われています。
4~6日目:ラクシュミー女神への祈り
4~6日目は、ラクシュミー女神を礼拝します。ラクシュミーは美や豊穣、幸福を司る女神です。信奉者には無尽蔵の富と幸運をもたらすとされています。日本では吉祥天として知られています。
7~9日目:サラスヴァティー女神への祈り
最後の3日間は、知識や芸術、学問を司るサラスヴァティー女神に祈りが捧げられます。日本には七福神の一柱である弁財天として伝来し、古くから信仰されています。
ダシェラ祭のお祝い方法
北インドでは、ナヴラートリの期間中に「ラーム・リーラー」と呼ばれる野外劇が上演されます。これは叙事詩「ラーマーヤナ」を題材に、ラーマ王の戦いや冒険を再現する劇です。劇のクライマックスとして、最終日のダシェラ祭で魔王ラーヴァナ、息子メーガナーダ、弟クンバカルナの巨大な人形を燃やします。
ただし、地域ごとにお祝いの仕方は異なります。例えば、西インドでは、ガルバダンスが有名です。
インド三大祭典
インドには、長い歴史と文化を背景にした三大祭典があり、それぞれに独自の特色と意味合いがあります。
ホーリー:春に行われる祭りで、人々がカラフルな粉や水を掛け合いながら楽しむ。
ダシェラ:ラーマ王が魔王ラーヴァナを倒した勝利の日を祝う。
ディワリ:ラーマ王が王国へ帰還したことを祝う光の祭典で、新年を迎える意味も持つ。
ディワリは、ダシェラ祭からおよそ20日後に開催されます。そのため、ダシェラ祭が終わるとディワリの準備が始まり、街路や家々が装飾やライトアップで彩られ、祝賀ムードが一気に盛り上がります。
ディワリの詳細を知りたい方は、「ディワリとは何か?海外進出のためにインド最大のお祭りを押さえよう」の記事をご参照ください。
ダシェラ祭の時期はフェスティバルシーズン

ダシェラ祭からディワリにかけての期間はフェスティバルシーズンです。
多くの企業が従業員にボーナスを支給し、農家も収穫を終えて収入を得ており、消費者の購買力が高まるためです。消費者の購買意欲が高く、街やオンラインでは大型セールやプロモーションが盛んに行われます。インドで事業を展開する企業にとっては、認知度向上や売上拡大につながるなど、ビジネスチャンスの多い時期です。
こうした背景を踏まえ、戦略的に準備を進めることで、インド市場への進出をよりスムーズに進めることができるでしょう。
ディワリに向けて需要が高まる商材
ディワリに向けて需要が高まる商材は以下のとおりです。
- 自動車
- 家電製品
- 電飾用品
ディワリは「買い物をすると縁起が良い」とされ、1年で最も物が売れる時期です。インドで事業を展開する企業にとっては、このシーズンをどのように活用するかが成功のカギとなります。
インドへ進出する際の注意点
フェスティバルシーズンは大きなビジネスチャンスとなる一方で、地域ごとに祝祭の盛り上がり方や慣習が異なる点には注意が必要です。例えば、北インドではラーム・リーラーやラーヴァナ人形の焼却が盛大に行われますが、他の地域ではガルバダンスのように、異なる形で祝われます。ナヴラートリも、祈りを捧げる女神が地域によって異なる場合があります。
こうした宗教的・文化的な背景を理解せずにプロモーションを行うと、かえってブランドイメージに悪影響を与えるリスクがあるため注意が必要です。リスクを抑え、効果的に事業を展開するためには、現地の文化や習慣に関する正確な情報収集が不可欠です。
インド進出の前に歴史や文化を把握しよう
インドの三大祭典は、単なる祝祭にとどまらず、人々の消費行動やビジネスチャンスにも大きな影響を与えます。そのため、インド市場に進出する際は、歴史や文化の理解が欠かせません。しかし、海外の正確な情報を入手するのは容易ではないでしょう。
プルーヴでは、こうした課題の解決をサポートするため、海外市場調査や現地パートナーの選定など、幅広い支援をご提供しています。インド市場への進出をご検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▶インド市場について詳しく知りたい方は、「インドの市場調査・進出支援」をご覧ください。