
国家電網公司(State Grid Corporation of China)は、中国の国営の送配電事業者です。中国国内だけではなく、海外の送電網の構築も手掛けています。
本記事では、国家電網公司の会社概要や主要事業についてわかりやすく解説します。
国家電網公司とはどんな会社?

出典:国家電網公司
国家電網公司は、11億人にサービスを提供している中国の配電事業者です。中国で最も価値のあるブランド500社に、10年連続で選出されています。また、フォーチュン誌の「フォーチュン・グローバル500(2025年版)」でも3位にランクインし、世界有数の企業の一つです。
ここでは同社の会社概要や歴史、経営理念を紹介します。
会社概要
国家電網公司の会社概要は以下のとおりです。
| 会社名 | 国家電網公司 (State Grid Corporation of China) |
| 本社 | 中国(北京) |
| 設立 | 2002年 |
| 電力供給人口 | 11億人 |
| 電力供給範囲 | 国土面積の88% |
| 資本金 | 8,295億人民元 |
歴史
国家電網公司は、2002年12月に中国政府の電力制度改革で設立されました。この改革では、従来の国営電力会社を発電部門と送電部門に分割。同社は中国全土の電力網の約80%を管理する送電部門の中核企業となりました。
2000年代初頭、送電網の拡充と近代化に取り組み、2009年には中国初となる1,000kVの送電線を開通。2012年には水力発電所から電力を送る800kVの超高圧送電線を導入するなど、安定した電力供給に大きく貢献します。
現在、国家電網公司は世界最大の送電事業者として、中国国内のエネルギー供給を支えるだけでなく、海外への事業展開も進めています。
理念体系
国家電網公司は、次の4つの柱を理念体系と位置づけています。
- 企業理念:人民による、人民のための電力会社
電力業界のリーダーとして、常に人民を中心に据え、新たな発展に貢献すること。
- 企業の使命:より良い暮らしのためにエネルギーを供給し、美しい中国の実現に貢献する
「国民と国家への奉仕」を目的とし、社会進歩や環境保護に貢献すること。
- 企業の役割:経済成長やエネルギー転換、そしてより良い暮らしの実現に貢献する
カーボンニュートラルの中核的な役割を果たし、世界のエネルギー業界をリードすること。
- 企業精神:卓越した成果を追求する
高い専門性と強い責任感を持ち、世界トップレベルを目指して努力を続け、
卓越性と完璧さを目指し続けること。
国家電網公司の事業内容
国家電網公司は、中国の国土の約88%にあたる広大な地域で、11億人以上に電力を供給する送配電事業を担っています。主な業務は、高圧・超高圧送電網の敷設・運用・管理です。
同社が設立された背景には、中国における送電部門と発電部門の分離があります。2002年の電力改革により、送電を担う2社と、発電を担う5社に再編され、国家電網公司はそのうちの主要な送電事業者として位置づけられました。
また、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを送配電網に統合し、中国のクリーンエネルギー転換を支える役割も担っています。
中国は国土が広く、電力の供給地と需要地の間に大きな地域差があります。特に西部の供給地から、東部・南部の需要地へ電力を長距離で送る必要があるため、超高圧送電技術の発展が不可欠でした。
それが今では、海外にも送電インフラを展開するまでに成長しています。
国家電網公司が配電する主な電力
各地で発電された電力を消費地へ効率的に届けるには、国家電網公司の高度な送電技術が不可欠です。その電力網は、風力発電、太陽光発電、揚水発電、石炭火力発電などの電源と接続しています。
この章では、国家電網公司がそれぞれの電源とどのように関わっているのかを紹介します。
風力発電
中国の風力発電は主に東北3省や北方地域に集中しており、2023年の累計設備容量は約4億4,134万kWでした。これは、中国全体の電力消費量の約15.1%を風力発電が担っていることを示しています。
また、2023年9月に、世界最大規模の洋上風力発電所が国家電網公司の送電網に接続されました。このように中国では、洋上風力発電の拡大が加速しています。
そして、2023年に新たに設置された風力発電容量は4,032万kWです。その約80%が国家電網公司によって配電されています。このように、中国の風力発電の発展には、国家電網公司の高度な送配電技術と電力網が不可欠です。同社は今後も再生可能エネルギーの普及と安定供給の要として、中心的な役割を果たすことが期待されています。
太陽光発電
中国の太陽光発電は、2023年までに新規設置容量が2億2,000万kWに達し、累計設備容量は約6億1,000万kWとなりました。これにより、中国全体の設備発電容量の約20.9%が太陽光発電です。そして、国家電網公司の営業エリアでは、新規太陽光発電容量が約1億7,600万kWに達しました。累計設備容量は5億1,000万kWで、前年比52%の大幅な増加となりました。
同社は、こうした大規模な太陽光発電基地の送電網への接続に注力し、中国におけるクリーンエネルギーの推進に貢献しています。
揚水発電所
国家電網公司は電力網の安定化を目的として、揚水発電所の建設を積極的に進めています。2023年には新たに11カ所の揚水発電所を建設する予定で、46カ所がすでに建設中です。
揚水発電所をこれほど必要とする背景には、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの増加が挙げられます。これらの発電は天候に左右されやすく、安定的な電力供給が難しいためです。
そこで、活用されているのが揚水発電です。まず、再生可能エネルギーによる余剰電力を使って水を高い位置に汲み上げます。電力が不足すると、放水して発電することで、電力の需給バランスを調整します。
このような仕組みの構築によって、国家電網公司は、再生可能エネルギーの普及と電力網の安定化に貢献しているのです。
石炭火力発電・エネルギー貯蔵施設
国家電網公司の事業エリア内では、石炭火力発電の調整機能の強化やエネルギー貯蔵施設の増設が進んでいます。これにより、過剰な電力供給の抑制や、より安定した電力供給が可能になると期待されています。
国家電網公司の海外戦略

国家電網公司は、優れた高圧・超高圧送電技術を活かし、海外にも積極的に進出しています。ここでは2つの事例を紹介します。
ブラジル
同社はブラジルにおいて、水力発電所からの送電インフラの開発に携わっています。そして、2013年にその実現に向けて、30年間にわたる送電線の開発・運営権を取得しました。このように、海外に敷設した送電線の運営権を獲得することで、長期的な収益の確保を図る戦略をとっています。
パキスタン
国家電網公司は、パキスタンで660kVの高圧送電線の敷設を行いました。このプロジェクトではBOT方式が採用され、一定期間の運用後にパキスタンへ施設が譲渡される予定です。パキスタンは、中国の「一帯一路構想」において重要な経済回廊の一つとされています。
まとめ
国家電網公司は、11億人に電力を供給する世界最大級の送配電事業者です。安定した電力の供給のために、揚水発電の整備を強化しています。クリーンエネルギーの導入と安定供給の両立を支える存在として、今後も中国において重要な役割を担っていくでしょう。
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