
2025年10月、トヨタ自動車の生産台数は前年同月比3.8%増の92万6,987台となり、過去最高を更新しました。このように、トランプ関税の影響や世界的なEVシフトが進む厳しい環境下でも、好調を維持する自動車メーカーが存在します。
こうした企業は、自動車業界にとどまらず、他の産業にとっても多くのヒントを与えてくれる存在です。そこで本記事では、日本車の世界シェアや自動車メーカーの世界ランキング、さらに国内大手5社の現状と取り組みについて解説します。
参考:トヨタ株式会社「2025年10月 販売・生産・輸出実績」
日本経済を牽引する自動車業界
自動車産業は、日本を代表する基幹産業の一つです。2023年の日本の輸出総額101兆円のうち、自動車産業は22兆円で全体の21.5%を占めています。

出典:経済産業省「自動車産業を取り巻く国内外の情勢と自動車政策の方向性」
また、国内の自動車関連産業全体の雇用者数は、全産業の約1割の約558万人です。さらに、設備投資は約1.5兆円、研究費は約3.9兆円でともに製造業の約3割を占めています。
このように、雇用・投資・技術開発のいずれの面においても、日本経済に大きな影響を与えています。
世界市場における日本車のシェア率
2024年の世界の自動車販売台数は、約9,200万台でした。そのうち、日系メーカーは約2,400万台を占め、世界シェアは約26%に達しています。また、主要市場におけるシェア率は以下のとおりです。

出典:経済産業省「自動車産業を取り巻く国内外の情勢と自動車政策の方向性」
このように日系メーカーの自動車は、北米や新興国で高いシェアを誇っています。
自動車業界の世界市場規模
自動車業界はEVシフトや自動運転技術の進展、新興国市場の拡大を背景に、中長期的に成長すると見込まれています。株式会社グローバルインフォメーションの「自動車製造市場」の調査によると、2024年の世界市場規模は2兆2,100億ドルに達し、2032年には3兆3,300億ドルまで拡大する見込みです。同調査によると、年平均成長率は5%を超えるとされています。
自動車メーカーの世界ランキング【トップ10】
一般社団法人日本自動車会議所の発表によると、2024年の自動車メーカーの世界販売ランキングは以下のとおりです。
| 順位 | グループ名 | 販売台数 | 本社 |
| 1位 | トヨタ自動車グループ | 1,082万台 | 日本 |
| 2位 | フォルクスワーゲングループ | 903万台 | ドイツ |
| 3位 | ヒョンデ・起亜自動車グループ | 723万台 | 韓国 |
| 4位 | ゼネラル・モーターズグループ | 600万台 | アメリカ |
| 5位 | ステランティス | 542万台 | オランダ |
| 6位 | フォードグループ | 447万台 | アメリカ |
| 7位 | 比亜迪(BYD) | 427万台 | 中国 |
| 8位 | ホンダ | 380万台 | 日本 |
| 9位 | 日産自動車 | 335万台 | 日本 |
| 10位 | 浙江吉利控股集団 | 333万台 | 中国 |
引用:一般社団法人日本自動車会議所「2024年の世界販売ランキング」
このように、世界1位は日本のトヨタ自動車グループで、トップ10のうち日本メーカーが3社ランクインしています。一方で、EVシフトが進む中国の自動車メーカーも躍進しており、BYDや浙江吉利控股集団などを中心に、世界市場での存在感を高めています。
日本の大手自動車メーカーの現状と取り組み

日本の自動車メーカーは海外市場でも高いシェアを獲得していますが、その実績や戦略には企業ごとに違いがあります。そこで、ここでは国内大手5社の現状と注目の取り組みについて解説します。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、世界市場で高い競争力を持つ自動車メーカーです。その証拠に、2024年には5年連続で世界販売台数1位を獲得しました。同社の2025年3月期の主な業績は以下のとおりです。
| 営業収益(売上高) | 48兆367億円 |
| 営業利益 | 4兆7,955億円 |
| 総販売台数 | 1,027万台 |
| 国内販売台数 | 151万台 |
| 海外販売台数 | 877万台 |
参考:トヨタ自動車株式会社「2025年3月期 決算説明会」
同社の注目の取り組みは、2025年11月に中国市場で新型EVを発表したことです。EVのニーズが高い中国で、新たなモデルを投入することでシェア拡大を目指しています。さらに、中国進出にあたっては現地企業の技術を採用し、現地消費者のニーズに即した商品開発を進めている点も特徴です。
参考:Infoseekニュース「400万円台から!? トヨタ新型「5.1m超えセダン」発表! ハンマーヘッド顔採用で“クラウンセダン”より大きい「bZ7」 中国広州ショーで公開」
本田技研工業株式会社
本田技研工業株式会社(ホンダ)は、2024年の世界ランキングで8位にランクインした企業です。また、同社は二輪車分野で長年にわたって世界シェア1位の座を獲得しています。そのような同社の2025年3月期の業績は以下のとおりです。
| 売上収益(売上高) | 21兆6,887億円 |
| 営業利益 | 1兆2,134億円 |
| 総販売台数 | 372万台 |
| 国内販売台数 | 63万台 |
| 海外販売台数 | 309万台 |
参考:本田技研工業株式会社「2025年3月期 決算説明会」
同社の海外展開の特徴は、「現地主義」です。人・製品・金・部品の4つの現地化を掲げ、現地の雇用創出や地域経済への貢献を通じて、各国市場における競争力を高めています。
注目の取り組みは、日産自動車株式会社とアメリカにおける自動車およびパワートレイン開発の共同プロジェクトです。まだ検討段階であるものの、両社は技術面での協力を通じて競争力を高め、アメリカ市場での事業拡大を目指しています。
参考:VOI「本田と日産が米国で自動車からエンジンへの開発に協力」
日産自動車株式会社
日産自動車株式会社は、世界ランキング9位の日本を代表する自動車メーカーです。2024年度の業績は以下のとおりです。
| 売上高 | 12兆6,332億円 |
| 営業利益 | 698億円 |
| 総販売台数 | 335万台 |
| 国内販売台数 | 46万台 |
| 海外販売台数 | 289万台 |
参考:日産自動車株式会社「財務・業績ハイライト」
世界ランキングの上位にランクインする一方で、2025年度上期は営業損失が277億円、当期純損失が2,219億円と厳しい状況でした。
そこで新たな取り組みとして、ショッピングモールや商業施設に販売を目的としない店舗を倍増させ、顧客との接点を増やす戦略を採用しています。展示や体験を重視した店舗づくりにより、新たな販売モデルの構築を目指しています。
参考:読売新聞オンライン「日産、車を売らない「展示専門店」倍増へ…「日産車を検討していなかった人」との接点狙いモール内に」
スズキ株式会社
スズキ株式会社は、インド市場の開拓に成功した日本の大手自動車メーカーです。2024年の世界販売ランキングでは11位にランクインしました。2025年3月期の業績は以下のとおりです。
| 売上収益(売上高) | 5兆8,252億円 |
| 営業利益 | 6,429億円 |
| 総販売台数 | 324万台 |
| 国内販売台数 | 72万台 |
| 海外販売台数 | 252万台 |
参考:スズキ株式会社「2025年3月期 決算説明会」
同社の特徴は、早い段階からインド市場に進出してきた点にあります。具体的には、1981年にインドの国営企業マルチ・ウドヨグと合弁会社を設立し、1983年には現地での自動車生産を開始しました。現在ではインド市場でトップシェアを獲得しており、2025年3月期の販売台数324万台のうち、180万台をインド市場が占めています。
近年はインド国内で新工場を稼働させるとともに、現地生産車を日本へ逆輸入する戦略を拡大しています。その結果、2025年4月には国内の輸入車全体の新規登録台数で首位に立ちました。このように、インド事業が同社の成長を支える重要な柱となっています。
参考:一般社団法人日本自動車会議所「2025年4月の輸入車販売、スズキが初のトップ インド生産車のジムニーなどけん引」
マツダ株式会社
マツダ株式会社は、独自性やデザイン性で高い評価を得ている日本の自動車メーカーです。2025年3月期の業績は以下のとおりです。
| 売上高 | 5兆189億円 |
| 営業利益 | 1,861億円 |
| 総販売台数 | 130万台 |
| 国内販売台数 | 15万台 |
| 海外販売台数 | 115万台 |
参考:マツダ株式会社「主要業績の推移(5ヵ年)」
同社の注目の取り組みは、走行中にCO2を回収する技術の実証を始めたことです。カーボンニュートラルの実現に貢献する次世代技術として注目を集めています。
参考:まつだのニュース「「走れば走るほど地球がキレイに」マツダがS耐でついに実証開始した“CO2回収技術”がすごい」
日本の自動車メーカーの海外展開は成功例の宝庫
日本の自動車業界は、日本経済を支える基幹産業の一つです。世界で活躍する企業も多く、各社がそれぞれ異なる海外戦略を展開しています。そのため、日本の自動車産業は、海外戦略の成功事例の宝庫とも言えます。海外進出を検討している企業様は、自動車メーカー各社の海外戦略を参考にしてみてはいかがでしょうか。
