日本企業が活躍する半導体製造装置とは?シェア率やランキングを紹介

半導体製造装置は、半導体産業のなかで日本が強みを持つ分野です。

2025年は生成AIブームや電気自動車、宇宙産業などにより半導体の需要が増大しました。それに伴い、日本の半導体製造装置メーカーも存在感を強めています。そこで本記事では、半導体製造装置の市場規模やシェア率、売上ランキング、国内企業10選を紹介します。

半導体製造装置とは?

半導体製造装置とは、名前から想像できるとおり半導体を製造するための装置のことです。半導体製造装置と一括りにしていますが、装置の種類は豊富にあります。なぜなら半導体の製造には工程が多く、どの工程にも精密な装置が必要なためです。

半導体がどのように作られているか知らない方もいるでしょう。そこで半導体が作られる工程を簡単に紹介します。まず半導体は「設計」「前工程」「後工程」に製造工程がわけられています。各工程での手順は以下のとおりです。

設計前工程後工程
・回路、パターン設計
・フォトマスク作成
・ウエハーの表面の酸化
・薄膜形成
・フォトレジスト塗布
・露光、現像
・エッチング
・レジスト剥離
・洗浄
・イオン注入
・平坦化
・電極形成
・ウエハー検査
・ダイシング
・ワイヤーボンディング
・モールディング
・最終検査

このように半導体は複雑な手順を踏んで作成されています。

また半導体産業は一部の企業を除き分業制です。設計だけを担当する企業というように、前工程だけ、後工程だけの企業もあります。同様にして、半導体製造装置だけを専門に設計・開発する企業もあるのです。

半導体製造装置の市場規模

SEMIの調査によると、世界の半導体製造装置市場は2025年に1,255億ドルに達する見込みで、前年比7.4%増という高い成長率が予測されています。2026年も成長は続き、市場規模は1,381億ドルと過去最高を更新する見通しです。

日本国内の半導体製造装置産業も好調です。一般社団法人日本半導体製造装置協会の「2025年7月発表 半導体・FPD 製造装置」の資料によると、2025年度の日本装置販売高は4兆8,634億円に達する見込みで、前年度比2%増と予測されています。さらに、2026年、2027年にかけても市場の拡大が続く見込みです。

背景には、世界各地で巨大なAIデータセンターの建設が相次ぐなど、半導体需要の拡大があります。それに伴い、半導体製造装置産業も世界的に活況を呈しています。

参考:SEMI「世界半導体製造装置の2025年央市場予測発表 2025年の半導体製造装置市場は1,255億ドルに到達

日本の半導体製造装置が世界に占めるシェア率

日本の半導体製造装置が世界に占めるシェア率は31%です。アメリカの35%に次いで2位を獲得しています。半導体産業から凋落したといわれて久しい日本ですが、半導体製造装置ではシェアを確保しているのです。

※EMEAとはヨーロッパ、中東、アフリカのこと

出典:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略

日本がシェアを獲得できている理由は、技術力が挙げられます。半導体製造の工程は1,000以上あります。その工程のすべてで極めて高いクリーン度に加えて、高度かつ繊細な技術力が必要になるためです。

半導体製造装置の国内企業の売上ランキング

世界で高いシェアを獲得しているだけあり、国内では数多くの半導体製造装置を開発・販売している企業があります。そのような国内企業の2024年版の売上高ランキングは以下のとおりです。

2024年版 半導体製造装置の国内企業の売上ランキング

順位企業売上高(億円)
1位東京エレクトロン24,315
2位アドバンテスト7,797
3位SCREENホールディングス6,253
4位ディスコ3,933
5位キヤノン3,565 ※インダストリアル事業
6位KOKUSAI ELECTRIC2,389
7位レーザーテック2,135
8位ニコン2,020 ※精密事業
9位原製作所1,159 ※精密・電子事業
10位東京精密1,135 ※半導体製造装置事業

国内企業では、1位の東京エレクトロンが2位以降と大きく差をつけていることがわかります。

日本が誇る半導体製造装置メーカー

半導体製造装置は日本が世界に誇る産業です。そのなかで活躍している105社の概要や特徴などについて解説します。

東京エレクトロン

出典:東京エレクトロン

東京エレクトロンは国内の売上ランキング1位の企業です。研究開発拠点は国内に57、海外に137の計184拠点で、活動拠点は世界18の国と地域で9583拠点を構えています。1年間に約6,000台の半導体製造装置を出荷し、これまでに9689,000台以上の納入実績があります。高い技術力が特徴で、特許の保有件数は約25,000件です。

東京エレクトロンの強みは製造装置の生産性の高さです。顧客の生産ラインの生産能力を向上させることで信頼を獲得しています。半導体製造装置で海外進出に成功した代表企業といえるでしょう。

アドバンテスト

出典:アドバンテスト

アドバンテストは東京に本社を置く半導体製造装置の企業です。活動拠点は日本だけではなく、アメリカやヨーロッパ、東南アジア、韓国、台湾、中国とグローバルに展開しています。

アドバンテストの強みは、長年の活動によりさまざまな業態の半導体企業や大学、研究機関とパートナーシップを持っていることです。そのつながりにより、先進的な半導体を手掛ける装置を得意としています。

また世界各地からグローバルに分業化したサプライチェーンをサポートし、アメリカのTechInsights社から「Top 10 Customer Service(旧10 BEST」に37年連続で選出されているのも強みです。

SCREENホールディングス

出典:SCREENホールディングス

SCREENホールディングスとは、日本・北米・ヨーロッパ・アジア・オセアニアで活動する企業です。半導体製造装置のほかに、プリント基板関連機器やICTソリューション、ライフサイエンスなど幅広い分野で活躍しています。

海外に27拠点を構え、海外売上比率が86%以上と高い割合を占めているのが特徴です。

SCREENホールディングスが得意とする技術は、「表面処理技術」「直接描画技術」「画像処理技術」です。これらの技術を横展開して、さまざまな分野での展開を成功させています。

ディスコ

出典:ディスコ

ディスコは従業員が5,491人で、日本・アメリカ・アジア・ヨーロッパに拠点を持つ企業です。1969年に、日本の半導体関連企業としてアメリカに初めて進出しており、海外展開に積極的なのが特徴です。

事業内容は、「装置」と「加工ツール」の開発・製造・販売をしています。加工ツールは「砥石」のことで、砥石を用いた半導体の「削る」「切る」「磨く」の技術に優れています。

キヤノン

出典:キヤノン

キヤノンは半導体露光装置の分野に強みを持つ企業で、同分野の世界シェアは34%と世界2位を誇ります。2025年には宇都宮市に半導体露光装置の新工場を開設しました。AI半導体の需要拡大を背景に注目が高まっており、後工程向け装置の販売台数も伸びています。

KOKUSAI ELECTRIC

出典:KOKUSAI ELECTRIC

KOKUSAI ELECTRICは、半導体の前工程で使用される「成膜」や「膜質改善(トリートメント)」装置を主力とする半導体製造装置メーカーです。なかでもバッチALD(原子層堆積法)装置の分野では、世界シェアの約70%を占めています。バッチALDは、高精度な薄膜形成と高い生産性を両立できる高度な技術で、先端半導体の製造に不可欠です。現在は同社と東京エレクトロンによる寡占市場となっています。

レーザーテック

出典:レーザーテック

レーザーテックは、光応用技術を活用したマスク欠陥検査装置やウェハ検査・計測装置に強みを持つ企業です。マスク欠陥検査とは、フォトマスク上に付着した微細な欠陥やダストを検出する工程で、最先端半導体の製造には欠かせない重要なプロセスです。なかでも同社は、EUV(極端紫外線)マスク欠陥検査装置で世界シェア100%を誇り、高い技術力で市場を独占しています。

ニコン

出典:ニコン

ニコンは半導体露光装置に強みがあり、半導体の小型化・高機能化に貢献している企業です。同社は半導体装置をの海外進出は1980年に販売して以来、全世界で9,000台以上を出荷しています。2024年度は625台を販売しました。これらの保守サービスも重要な収益源となっています。

荏原製作所

出典:荏原製作所

荏原製作所は1912年に創業したポンプメーカーです。1985年に精密・電子事業へ参入し、1986年にはルーツ型ドライ真空ポンプを完成させています。ドライ真空ポンプとは、真空状態にすることで容器内の気体を排出する装置で、油や液体を使用しないため、クリーンな環境を維持できる点が特長です。

半導体製造では、チリやホコリのない環境が不可欠であり、その実現にドライ真空ポンプは欠かせません。同社はこの分野で世界シェア2位を獲得しています。

また、荏原製作所はCMP装置の製造・販売も手掛けており、累計販売台数は3,000台を超えています。CMP装置は、半導体ウェハの表面を平坦化する装置です。こちらも世界シェア2位を獲得しています。

東京精密

出典:東京精密

東京精密の半導体製造装置は、ウェハの製造・加工・テスト・研磨・切断といった幅広い工程で強みがあります。複数の工程に対応できる点が大きな特長で、その基盤となっているのが高精度な測定技術です。精密な計測によって、高度な加工や高品質な検査を可能にしています。このように、精密測定機器と半導体製造装置の相乗効果により、同社は事業のさらなる拡大を目指しています。

半導体製造装置は日本の成長産業の一つ

半導体製造装置の分野は、日本が長年培ってきた高い技術力を発揮できる産業です。実際に多くの日本企業が、世界トップクラスのシェアと競争力を維持しています。

AI半導体の需要拡大に伴い、今後も半導体製造装置産業は中長期的に成長が続く見込みです。そのため、半導体製造装置分野は日本の半導体産業、日本経済を牽引していく存在として期待されています。今後の半導体装置メーカーの動向にもぜひ注目してみてください。

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