収益性向上へ向けたプライシング戦略構想

収益性向上へ向けたプライシング戦略構想

業界 : 半導体・電子材料業界
対象国・地域 : 中国・韓国・台湾

クライアント企業は半導体検査装置メーカーとして、グローバルに展開していました。当初は東アジアを中心とした事業展開を行っていましたが、同業界の人件費の高騰により収益性を押し下げる要因となっていました。
そこでプルーヴが参画することにより、収益性改善を目的に、業界他社の分析を通じてプライシング戦略を見直し、ターゲット別の価格設定や新たな収益源の創出へ向けた道筋を立てることが出来ました。

課題

クライアントは半導体検査装置メーカーとして、中国・韓国・台湾の半導体ファンドリー向けに半導体検査装置を納入していました。半導体検査装置事業は、装置販売だけでなく、装置納品後のアフターサービスの収益貢献性が高水準であったものの、同業界では人件費の高騰が続き、収益性を押し下げる要因となっていました。
他方で、業界他社は同様の環境下においても収益性を向上させている状態であり、装置販売及びアフターサービスを含むプライシングやコスト構造の変革が必要な状況でした。

しかしながら、プライシング戦略は売り手・買い手の交渉力だけでなく競合他社を含めた、複雑多岐におよぶ外部環境の影響を強く受け、社内メンバーだけでの情報分析や改善策の立案に行き詰っていました。

半導体業界の経験が豊富であり、中国・韓国・台湾各国に豊富なネットワークを有しており、グローバル視点で変革へ向けた支援が行える点を評価いただき、プルーヴに支援を依頼されます。

支援内容

具体的な支援策は以下の通りです。

  1. 半導体検査工程各社の過去10年間の収益性分析
  2. 収益改善及び悪化の因果関係の分析
  3. 半導体検査工程各社のプライシング戦略分析
  4. 半導体検査工程各社の保証及びアフターサービスのコスト改善戦略の分析
  5. クライアント事業の事業改善へ向けた解決方針策定支援

今回、業界他社の定量的な情報を基に、収益改善を行えている企業をベストプラクティス分析対象企業として選定しました。収益改善の因果関係をプライシングとコスト構造に分解のうえ、収益性改善の道筋を明らかにしました。

今回の支援におけるポイントは業界最大手や収益性上位企業だけを見るのではなく、再現性を重視した分析を実施した点です。ファンドリーの規模や成熟度に応じ、機種の新旧及びアフターサービスの内容や頻度が異なります。加えて、検査装置メーカーの規模や業界ポジションにより売り手の交渉力も異なります。戦略として再現性を担保するためには、単に収益性の高い企業をベストプラクティス分析の対象とするだけではなく、検査装置メーカー各社の売り手の交渉力にも注目しながら、クライアント企業でも再現可能なケース分析を行いました。

他社事例を基に、事実に基づいたベストプラクティス分析を行うことで、根拠の伴う戦略策定が可能となり、社内メンバーの巻き込みがスムーズに進みました。他部門からの参加者も積極的に意見を交わす環境醸成が行え、各部門にとって実現可能と納得のできる変革構想を策定することができました。

今回の支援は、プルーヴの半導体業界の豊富な実績・知見に加え、定量・定性情報を収集し、他部門を巻き込むプロジェクトのファシリテーションが行えることを生かせた事例といえます。

結果

定価ではなく、顧客規模や装置新旧及び顧客先の技術的成熟度に応じたプライシング方針を策定しました。また、検査装置販売のみではなく、サービス収益の強化へ向けた新たな収益源創出へ向けた企画立案を行いました。

中国・韓国・台湾の各半導体ファンドリーにより、設備投資における優先事項が異なり、最新機種を希求することもあれば、コストパフォーマンスの向上、技術教育を重視するケースもあるなかで、適切な提案メニューと価格設定を行うことで収益性改善に繋がることがわかりました。

自社のみでは分析できない他社事例を基に、再現性を伴う変革方針が策定できたと評価をいただきました。クライアント企業は、営業部門を中心に、提案メニューと価格ロジックの改訂を行うこととなりました。

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