EU一般データ保護規則(GDPR)とは?日本企業への影響とリスクを解説 

EUは個人情報の取り扱いや環境保護、AI、セキュリティなどに関して厳格な法規制が設けられています。これらの規制の中には巨額の制裁金が科されるものもあります。代表的な規制の一つは、EU一般データ保護規則(以降、GDPR)です。

GDPRはEUへ進出している、あるいはこれから進出する企業だけでなく、欧州経済領域(EEA)の個人情報を取り扱う日本企業にとっても重要な規制です。
※EEAとは、EU参加国にノルウェー・アイスランド・リヒテンシュタインを加えた経済圏のこと。

本記事では、GDPRとは何か、日本企業にどのような影響やリスクがあるのかをわかりやすく解説します。

EU一般データ保護規則(GDPR)とは?

EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)とは、EU域内における個人データやプライバシーの保護を目的とした法規制です。2016年に成立し、2018年5月に施行されました。なお、個人データとは、氏名・メールアドレス・クレジットカード情報・IPアドレス・Cookieなどを指します。インターネットやクラウドサービスの普及により、個人情報が国境を越えて利用される機会が増えたことを背景に、EU全体で統一的なルールとして整備されました。主に以下のような内容が定められています。

・個人データ処理における適切な安全管理措置の実施

・目的達成に必要な期間以上の個人データ保持の禁止

・EEA域外への個人データ移転に関する制限

・個人データが流出した際の報告義務

・本人による個人データの閲覧、訂正、削除などの権利の保障

このようにGDPRは、EU域内における個人データの適切な管理と透明性の高い取り扱いを求めています。

日本企業もGDPRが無関係ではない理由

GDPRは、一定の条件に該当する場合、EU域外の企業にも適用されます。つまり、日本企業であっても事業内容によっては対象となります。例えば、次のようなケースです。

・EU域内に子会社や支店、営業拠点などを設置して事業を展開している

・EUユーザーのオンライン行動を追跡している

・企業から委託を受け、EU域内の個人データの処理業務を行っている

このように、EUに拠点がない日本企業であっても、EU域内の個人データを扱う場合には、GDPRの対象となる点に注意が必要です。

GDPR違反時の罰則とリスク

GDPRが日本企業にとって重要な理由の一つは、違反した場合に厳しい罰則が定められている点です。企業にとって大きなリスクとなる可能性があります。ここでは、GDPRの罰則規定と違反時のリスクについて解説します。

3.1 巨額の制裁金

GDPRの大きな特徴は、高額な制裁金が規定されている点です。違反内容の重大性に応じて、次の2段階の罰則が定められています。

・最大1,000万ユーロまたは世界全体の売上高2%のいずれか高い額

・最大2,000万ユーロまたは世界全体の売上高4%のいずれか高い額

ポイントは、制裁金の上限が企業の世界全体の売上高に連動している点です。つまり、企業規模が大きいほど、制裁金の額も大きくなります。例えば、世界全体の売上高が2,500億円の企業の場合、最大で100億円の制裁金が科される可能性があります。

実際にGoogleは、2019年にGDPR違反により約62億円の制裁金を科されました。このようにGDPR違反は企業にとって重大なリスクを招きます。

参考:日本経済新聞「グーグル、GDPRで制裁金、情報収集に不備、日本企業もリスク

3.2 顧客からの信用低下

GDPRに違反し、個人データの不適切な取り扱いが明らかになった場合、企業に対する信頼が大きく損なわれる恐れがあります。欧州では個人情報保護の意識が高く、データ管理体制が不十分な企業に対して厳しい目が向けられるためです。その結果、顧客離れやブランドイメージの低下など、企業にとって長期的な悪影響を招くリスクがあります。

3.3 ビジネス機会の損失

GDPRに十分対応できていない企業は、EU市場でのビジネス機会を失うリスクがあります。EU域外の企業であっても、EU域内の個人データを取り扱う場合にはGDPRが適用されるためです。そのような中、GDPRに対応できていないとEU企業との取引を断られたり、パートナー候補から外れたりする可能性があります。

GDPRが日本企業に与える影響

GDPRは、日本企業も適用対象となる可能性があり、違反した場合には高額な制裁金が科されるなど大きなリスクを伴います。こうした背景から、日本企業の活動にも次のような影響を及ぼします。

4.1 データ取得・利用への影響

GDPRでは、個人データを取得する際に利用目的を明確にし、必要に応じて本人の同意を得ることが求められます。そのため、EU向けの事業を展開する企業は、個人データの取得方法や利用目的、保管期間などを適切に管理する必要があります。特に、WebサイトにてEUユーザーを対象としたサービスの提供やマーケティングを行う場合には注意が必要です。お問い合わせフォームや会員登録、アクセス解析などを通じて個人データを取得する場合、GDPRに基づいた適切な対応が求められます。

4.2 データ管理・セキュリティへの影響

GDPRでは、個人データの適切な管理が求められます。具体的には、不正アクセスへの対応やセキュリティ対策、社内ルールの整備や従業員教育などです。また、個人データの漏えいが発生した場合には、原則72時間以内に監督機関へ報告する必要があるため、迅速に対応できる体制の整備も重要です。

4.3 ユーザー対応への影響

GDPRでは、個人が自身のデータに対して閲覧や訂正、削除などを求める権利が認められています。そのため企業は、問い合わせ窓口の設置や対応フローの整備など、個人からの要請に適切に対応できる仕組みを整える必要があります。

EU海外進出には法規制への対応が必須

EUでは、個人情報保護や環境、デジタル分野など様々な領域で法規制が強化されています。GDPRのように違反時の制裁金が高額に設定されている規制も多く、企業にとって法規制リスクは重要な経営課題です。

そのため、EU市場へ進出する際には、事業内容に関連する法規制を事前に把握し、適切な体制を整えることが不可欠です。例えば、GDPRの他にも、AIの利用を規制する「AI規制」なども注目されています。こうした法規制を理解し、早い段階から対応を進めることがEUでの事業展開の前提条件と言えるでしょう。

EU進出における成功のポイント

EUのように法規制が複雑で更新頻度も高い地域に進出する場合、事前の法規制調査が非常に重要です。自社のビジネスモデルがどの規制の対象となるのか、どのような対応が求められるのかを把握しておかなければ、想定外のリスクや追加コストが発生する可能性があるためです。

しかし、海外の法規制は制度が複雑で専門知識も求められるため、社内のリソースやノウハウだけで正確な調査を行うのは難しいケースも少なくありません。そのような場合は、専門家やコンサルティング会社の支援を活用することも有効な選択肢です。法規制リスクを抑えながら、よりスムーズな海外展開を実現しやすくなります。

まとめ

GDPRは、EU域内の個人データ保護を目的とした重要な法規制であり、日本企業も事業内容によっては対象となる可能性があります。違反した場合には高額な制裁金や信用低下、ビジネス機会の損失といったリスクがあるため、EU向けに事業を展開する際は事前の対応が不可欠です。

そこでPROVEでは、EUをはじめとした海外法規制の調査・分析を支援しています。EU進出を検討している企業や法規制リスクについてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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