
海外には多くのビジネスチャンスが広がっています。そのため、多くの日本企業が海外進出に挑戦していますが、高いリスクも伴います。成功率を高めるには、綿密な準備と戦略的な行動がかかせません。本記事では、日本企業の海外進出を成功に導く7つの手順をわかりやすく紹介します。
なぜ今、日本企業に海外進出が必要なのか
日本企業にとって海外進出が重要な戦略となっている背景には、国内市場が直面している様々な課題があります。ここでは、日本企業がなぜ海外進出を検討すべきなのか、その主な理由を解説します。
日本市場の縮小
日本では少子化が進み、総人口が年々減少しています。加えて高齢化も進行しており、労働人口の割合も低下しています。これにより、国内市場の経済規模は縮小する見込みです。
内閣府の報告書によると、人口減少が以下のような「負のスパイラル」を引き起こし、国内市場の縮小や生活の豊かさの低下を招くと指摘しています。

出典:内閣府「選択する未来」
つまり、日本企業が事業規模を拡大するには、海外にチャンスを求めることがカギとなっているのです。
販路の拡大
日本のGDPは世界第4位を誇りますが、1位のアメリカはその約7.2倍、2位の中国は約4.6倍もの経済規模があります。このように、海外には日本を大きく上回る市場が広がっており、海外進出によって販路の拡大が期待できます。
生産コスト削減
海外進出は生産コストの削減につながります。新興国や発展途上国に生産拠点を移すことで、人件費を抑制できるためです。また、原材料の産地の近くに拠点を設けることで、物流コストの削減も期待できます。
競争力の強化
海外進出によって生産コストを削減することで、価格競争力を強化できます。さらに、海外の多様な人材と交流することで、新たなイノベーションが生まれやすくなり、競争力の強化につながります。
海外進出を成功に導く7つの手順
日本企業の海外進出成功率は30~40%と言われています。言い換えると、半数以上は失敗します。その失敗を避けるには、適切な手順で進めることが大切です。ここでは、海外進出の7つの手順をわかりやすく解説します。
手順① 海外進出の目的の明確化
まずは、海外進出の目的を明確にすることが大切です。目的がはっきりしていないと、戦略や判断がぶれやすくなるためです。例えば、以下のような目的が考えられます。
- 市場の開拓
- 生産コストの削減
- 部品や原材料の調達
- 新規事業の立ち上げ
- 海外人材の雇用
目的を明確にしたら、本当に海外進出が必要なのかを再検討しましょう。
- 国内で代替できる手段がないか
- 今すぐ進出する必要があるのか
- 経営資源は十分か
これらの検討を経て、「それでも海外進出が必要」という結論に達した場合に次の手順へ進みます。
手順② 進出計画案の策定
進出計画案とは、海外進出のロードマップを示した計画書のことです。これにより、進出の方向性を明確にします。
主な内容は以下のとおりです。
- 目標設定
- 行動計画
- 黒字化の見通し
- リスク管理
進出計画案は、海外進出の戦略の基になる重要な案です。理想を並べただけでは意味がなく、具体性・実現性・収益性のバランスが問われます。現実に即した綿密な計画が成功の秘訣です。
プルーヴでは、「海外事業戦略の構築の支援サービス」を提供しています。
- どうやって進出計画案を立てればいいかわからない
- 検討ばかりで、前に進めない
このようなお悩みを解決します。
手順③ 海外進出国・地域の選定
進出計画案を実行に移すには、最適な国や地域を選ぶことが不可欠です。
中国、アメリカ、タイ、インド、韓国などは人気の進出先ですが、必ずしも最適であるとは限りません。「どこが自社に合っているか」を見極めることが重要です。選定時の主なチェックポイントは以下のとおりです。
- 現地の法規制による影響
- 外資規制や投資制限の有無
- 人件費や労働者の水準
- 信頼できる現地パートナーの存在
- インフラ整備の状況
こうした判断には、最新かつ信頼性の高い現地の情報が不可欠です。しかし、言語・文化・情報インフラの壁により、正確な情報を得るのが難しい地域も少なくありません。
当社では、「海外市場調査」や「法規制調査」などにより、専門的かつ信頼できる情報を提供しています。進出先を選定する際は、ぜひご活用ください。
手順④ 進出形態の検討
海外進出にはさまざまな方法があり、目的や状況に応じて適切な進出形態を選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な3つの進出形態を紹介します。
・現地法人の設立
進出先の国で新たに法人を設立する方法で、自由度の高い事業展開が可能です。
ただし、国によっては、外資の出資比率に制限があり、現地パートナーとの合弁会社設立が求められます。
・支店の開設
日本本社と同一法人として現地に支店を開設する方法です。ただし、この形態を法律で制限している国や地域もあります。
・駐在員事務所の開設
営業活動は認められていません。市場調査や情報収集、現地との連絡窓口、販売代理店の支援を行う場合に有効です。
進出形態の選択は、戦略や現地の法規制によって大きく左右されます。
手順⑤ 国内予備調査・海外市場調査
進出先の候補が具体化した段階で、まずは国内予備調査を行い、候補地を絞り込みます。
その後、現地での海外市場調査によって、進出先を最終的に決定します。以下は、それぞれの調査で押さえておくべき主なポイントです。
■国内予備調査
- 政治・経済・社会の安定性
- 外資政策や関連法規制
- 市場規模と成長性
- 原材料や部品の調達環境
- インフラの整備状況
■海外市場調査
- 国内予備調査と内容が一致しているかを検証
- 現地でしか得られない情報の収集
- 実際に自分の目で現地の状況を確認
- 現地パートナーの確認
現地での海外市場調査は、リスクやチャンスを見極めるのに不可欠です。
当社では、「海外市場調査」サービスを提供しています。現地のリアルな情報が欲しい場合は、ぜひご相談ください。
手順⑥ 現地パートナーの選定
現地パートナーは、販路の拡大や現地法人の設立など、海外進出において重要な存在です。しかし、ビジネスモデルが合わない、あるいは法令順守の意識が不十分な相手と提携してしまうと、重大なリスクにつながる恐れがあります。このように、現地パートナーの選定は海外進出の成否に大きく影響します。そのため、十分な情報収集と慎重な検討が必要です。
当社では、「海外提携先の開拓・選定支援」サービスを通じて信頼できる現地パートナー選びをサポートしています。ぜひご活用ください。
手順⑦ 海外進出の決定・実行
最後の手順は、海外進出の決定と実行です。
具体的には、社内に専門のプロジェクトチームを立ち上げます。ここまでの手順で検討した内容を基に、以下の要素を含む詳細な計画を作成します。
- スケジュール
- 拠点設立・登記などの手続き
- 人材の確保
- 現地パートナーとの契約締結
- 資金繰りの管理
そして、計画を実行に移して海外進出の成功を目指します。
ただし、実行段階では数多くのリスクが潜んでいるため注意が必要です。例えば、通訳の不正行為です。
現地パートナーとの交渉に通訳が必要になるケースは珍しくありません。しかし、その通訳に不利な内容の契約書に署名させられたり、会社の資金を不正利用されたりするケースが報告されています。こうしたリスクを防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 複数名の通訳者を配置する
- 現地の言語を理解できる社員を同行させる
このようなリスクは他にも多数存在し、知らなければ対策を講じることもできずに被害を受ける可能性が高まります。
当社では、これまでに多くの企業の海外進出を支援してきた実績があります。その経験を活かし、リスク対策も含めた総合的なサポートが可能です。当社の海外進出支援の事例は、「サポート事例の一覧」からご確認ください。
海外進出の成功には「手順と伴走支援」がカギ

日本企業にとって海外進出は、事業拡大を実現するための重要な戦略の一つです。そして、海外進出には専門的な知識や現地パートナーとのネットワーク、法規制や文化への理解がかかせません。しかし、こうした要素を社内リソースだけで満たすのは難しいのが現実です。
そこでプルーヴでは、海外進出を目指す企業様に対して、構想段階から実行フェーズまで一貫した支援を行っています。海外進出を検討している企業様は、まずはお気軽にご相談ください。