11月の感謝祭翌日の金曜日はアメリカで「ブラックフライデー」と呼ばれている大規模なセールの日です。
この日を機に年末商戦が本格化し、「どんな店でも黒字になる」と言われる日で、小売り業界の年間売上の約3割から4割がこのセールが占めるとも言われています。
しかし、今年は世界的なコロナウイルスの感染拡大が起こり、年末のバーゲンに対して人々はどのように感じているのでしょうか。
アメリカの調査会社「モーニングコンサルト」は、2020年9月、アメリカに住む2200人余りを対象として、「コロナ渦で年末のショッピングがどう変わるか」について調査しました。
その結果、約60%の人が「今年の年末は感染しないために買い物にいきたくない」と答えています。
また、デパートは店舗側も、なるべく感染を広げないように大規模なセール開催を中止するなど今までにない対応をしています。
https://www.tsuhannews.jp/shopblogs/detail/65741
9月中旬に、20~60代の男女(男25%、女75%)425人に対して行われたアンケートでは、「コロナ渦において贈り方や贈るもの、対応などが変わるか」と聞いたところ、上記の円グラフの結果が出ました。
従って、日本においても感染拡大防止をするために、手渡しではなくネット通販に変更をしたり、在宅時間を楽しめるような地方の名産を送ったりする人が増えています。
ここでは、コロナ渦における贈り物の意識の変化、コロナ渦で躍進しているギフト市場、アメリカと韓国のギフト文化についてご説明します。
コロナ渦でのギフト需要の変化
2019年の国内のEC市場は、約20兆円で前年比で7.6%の成長を見せ、EC化率についても消費者向けで約6.8%、ビジネス向けで約32%となっています。2019年時点でEC化率が約7%ということは、現状でおよそ7000億円の市場です。
今後10年以上かけて20%EC化率が進むと、2兆円の市場になるとされています。
このように今後伸びる市場と予測されていた中、2020年は感染拡大の影響でEC市場は急速に拡大しました。
ギフトECサイトTANPを運営する株式会社Graciaの代表取締役斎藤氏は、コロナ渦で友達や家族に気持ちを伝えるためにTANPを使う人が急増していると述べています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000046400.html
上記はコロナウイルス感染拡大の影響によって、直接訪問して結婚の挨拶を控えたカップル330人に対して行った調査ですが、このように帰省を止めたり、結婚式を中止する人が今年は増えたため、「会えない分せめてギフトでも送りたい」という感情を持つ人が増えているのではないでしょうか。
コロナウイルス感染拡大前は、注文する顧客自身が直接受け取ってそれを相手に手渡しするケースが8割でしたが、感染拡大後は、相手の自宅に直接届けるケースが増えています。
このような習慣が浸透すれば、百貨店やショップで購入して送るという既成概念は崩れていくのではないかもしれないと言われています。
日本人の贈り物の価値観の変化
株式会社Graciaの代表取締役斎藤氏は、日本人の贈り物の価値観は変化していると言っています。
お歳暮やお中元などの形式的なギフトが市場全体としても縮小傾向にありますが、その中でもギフト市場全体としては年々成長傾向にあるようです。具体的には下記の点でが挙げられます。
- 伝統的で儀礼的なフォーマルギフトは、時代の流れと共に縮小傾向となっている
- 一方、個人的な、また親密な間柄におけるカジュアルギフト(パーソナルギフト)は需要が増えており、市場全体は拡大傾向に
- 昨今は、進む高齢化によってシニア層が増加し、「母の日」、「父の日」、「敬老の日」などの自分より目上の人に贈るカジュアルギフト需要が拡大している
- フォーマルギフトのように形式に囚われず、親しい仲の人に対して、自分が使って良かったもの、食べて美味しかったもの、話題性のあるもの、旬の美味しいものを贈る傾向が出てきている
ソーシャルギフトとは
また、ソーシャルギフト、デジタルギフト利用の急伸も見逃せません。
「ソーシャルギフト」と「デジタルギフト」とは、スマートフォン上で「ギフトを贈る」ことができるサービスです。
私達がギフトを贈る場合、通常、楽天などのECサイトやギフト専用のオンラインショップで品物を選んで購入し、その後商品が店舗から配送されて相手に届きます。
しかし、ソーシャルギフトでは、相手とSNSでつながっていたり、メールアドレスを知っていたりさえすれば、住所や電話番号を知らなくても贈れるシステムです。
ソーシャルギフトはどのような特徴になっているのでしょうか。
- ユーザー同士でやり取りされるギフトはURLで管理されており、1つの商品につき1URLが発行される
- 発行されたURLをギフトを贈りたいユーザーにメールやSNSを使って送信
- 個人情報を開示したり取得する必要がないというメリットがある
- ソーシャルギフトで送られるギフトは多くが店頭受取になっている
- ギフトを送られた人が自ら店舗へ行って商品を受け取るため、送る側の送料はかからない
カジュアルにギフトを贈ることができるのも大きな特徴です。
「ポチッとギフト」では、ギフトの受け取り店舗の一つにセブンイレブンがあるので、よほどの郊外でない限りは受取が簡単にできます。
セブンイレブン以外にはモスバーガー、ケンタッキーなどがあり、身近な店舗で受け取れる商品をギフトにすることができます。
例えば100円~500円の単価の商品では、「ちょっと仕事を手伝ってもらったあの人にお礼がしたい」などといったシチュエーションに使用されることが多いようです。
兵庫県のギフトパッドは今年4月、ECサイトの売り上げが前年同月比約500%増、5月は同約300増と急増しています。
ギフトパッドは、店でギフトを受け取るのではなく、受け取る人が配送先を指定できる「配送型」を導入して売上が急伸し、20年4月度は19年に比べ50%増となりました。
2014年度のソーシャルギフト市場は82億円の規模でしたが、2018年度では約1,167億円と、4年で約14倍に急成長しています。
その背景には、贈り手がギフトを贈る際に、「簡便さ」や「手軽さ」を求めていることです。
アメリカのギフト市場
https://americalifejapan.com/2017/12/24/gift-card/
以前は、形あるものを贈り物に選ぶことが多かったアメリカ人ですが、近年、ギフトカードやプリペイドカードが人気を集めています。
2014年に行われたホリデーギフトに関する消費者調査では、「貰いたいギフトは何ですか」と聞いたところ、37%の人が「プリペイドカード」と答えたことが分かりました。プリペイドカードの人気は6年連続で第一位の結果となりました。
このように、プリペイドギフトカードは、米国では人気のギフトになっており、成長する巨大なマーケットです。National Retail Federationによる調査によると、贈り物にプリペイドカードを選ぶ理由として50%の人々が「もらう側が購入するものを選べて実用的」と答えています。
出産祝いや子供へのギフトも、幼いうちはおもちゃが選ばれますが、大きくなるにつれて本やゲームに使用できるギフトカードが好まれるようです。
https://americalifejapan.com/2017/12/24/gift-card/
趣味や嗜好などが分からない相手には、チェーン店で身近にあるWalmartやTargetなどのギフトカードが無難とされています。ギフトカードを販売するドラッグストアやスーパーには、グリーティングカードが置かれていることが多いので、カードにギフトカードを添えて贈ることができます。
日本におけるギフトカードで最も有名なのは「Amazonギフト券」です。
https://mag.app-liv.jp/archive/85058/
amazonギフト券は、下記の9つのメリットがあります。
- マホやパソコンで簡単に注文でき、5分で相手に届く
- 相手が本当にほしい商品を購入してもらえる
- 1億種以上の商品を購入するときに使える
- 複数の方に贈るときに、簡単に贈れる
- ギフトラッピングが無料でついてくる
- 付属品がすべて無料サービス
- オリジナルのamazonギフト券を贈れる
- ギフトを選ぶ時間を短縮できる
- 配送料などは一切不要で相手に届けることができる
日本では、年配の方にギフトカードを贈るのは失礼にあたるのではないかと躊躇するかもしれません。
しかし、アメリカでは年齢や性別は関係なくギフトカードをプレゼントとして贈る文化が根付いているようです。
https://11874.click/amazon-gift-certificate-type-how-to-buy#i
Amazonのギフトカードは贈り物としてではなく自分のプリペイドカードにも使うことができます。プリペイドカードを使って商品をたくさん購入するとポイントがつくというメリットがあります。日本の場合、ギフト券として使うだけでなく、自分用に使っている人も多いようです。
韓国ギフト
韓国のギフト文化にはどのような特徴があるのでしょうか。
韓国は儒教的な倫理観が根付いており、親を大事にし、目上の人を敬う文化があります。韓国で最も韓国らしいプレゼントは実は、「現金」です。日本では現金を贈ることはお正月のお年玉や結婚式のご祝儀のような場面に限られるため、驚く方も多いのではないでしょうか。
https://marry-xoxo.com/articles/12578
※現金×フラワーボックスのギフト
儒教の国韓国では、先生は日本以上に敬われており、以前、目上の人に対する過剰な贈り物が問題になったこともあります。韓国は学歴社会ということもあり、ある年の5月15日の先生の日に、教え子の親から先生に過剰なギフトが贈られたことが問題となりました。
この出来事があって以降、公務員や学校関係者への接待や贈り物を制限する「金英蘭(キム・ヨンラン)法」が成立し、値段が高い安いに関係なく、教師への贈り物は禁止されるようになりました。
韓国でも2014年からソーシャルギフトサービスが誕生しており、定着しつつあります。
韓国人は国民性として積極的に感情表現をする傾向があるため、手軽にギフトでお礼を伝える国民性とマッチしたのではないかと言われています。
https://www.value-press.com/pressrelease/244251
韓国の変わったギフトサービスに、「dpon gift」というものがあります。これは、スマホのLINEやInstagramのDMを使って、日本から韓国に住む人に出前をプレゼントにするサービスです。受け取った相手は、コード番号に受取可能な時間を入れて好きなタイミングで自宅やオフィスから注文が可能です。
最後に
コロナ渦によってECギフト市場やソーシャルギフト市場が急伸しているという事実は喜ばしいニュースです。簡
単に友達や家族に会えない状況であっても、関係を保つために、気軽に使えるソーシャルギフトを利用してみるのはいかがでしょうか。
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1508/14/news066.html
https://omiyage.co.jp/hpgen/HPB/entries/19.html
http://blog.livedoor.jp/nsg3/archives/52007834.html
https://blog.conocer.jp/0728-korea/
https://joah-girls.com/articles/QE1YB
https://ecnomikata.com/original_news/28188/
https://www.bci.co.jp/netkeizai/article/7151
https://ecnomikata.com/original_news/28188/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000049020.html
http://festivo.org/supporter/1583
https://www.gii.co.jp/report/infi969636-global-gifts-retailing-market.html?
https://thebridge.jp/2020/07/gracia-off-to-wms-market-to-change-the-gift-world
https://giftgrace.jp/blog/article/36
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201021/k10012673421000.html