K-POP(韓国の音楽)は、世界トップの市場規模を誇るアメリカにおいても活躍しています。最近では、BTSのメンバーのJUNG KOOK(ジョングク)がソロで全米チャートにランクインしているほどです。
このようにK-POPが日本やアメリカで活躍しているのは、音楽の魅力に加えて、徹底的なマーケティング戦略に秘密があります。本記事では、K-POPがこれほど世界から人気があるのかについて、海外進出のマーケティング戦略から紐解いていきます。
K-POPはなぜ、世界で人気になったのか
K-POPを世界に広めたきっかけは、2012年にラッパーPSY(サイ)の歌う「江南(カンナム)スタイル」が世界的な大流行をしたことです。
馬に乗る様子を模したダンスは世界的なブームとなり、YouTubeのプロモーションビデオは5カ月で9億回以上再生される記録的な再生回数を達成しました。
その後はSuperMやNCTなどのK-POPグループの積極的な海外進出により、現在の活躍につながっています。
勢いのとまらないBTSと次世代のK-POPのアイドル達
K-POPの歴史は、1990年代の第1世代と呼ばれるソテジワアイドゥルやH.O.T.などの活躍で、アイドル文化が誕生したことが始まりです。次に2000年代に活躍したグループを第2世代、2010年代に活躍したグループを第3世代と呼びます。
2020年には、第3世代のBTSが韓国のアーティストとして初めて全米チャート1位を獲得しました。BTSは日本においても大ヒットを記録し、「Dynamite(ダイナマイト)」や「Butter(バター)」などをお気に入りの曲としている方も多いでしょう。
現在は第4世代・第5世代のグループが登場し、K-POPの勢いはとどまることを知りません。
第4世代のアーティスト
・Stray Kids
・NewJeans
・TOMORROW X TOGETHER
第5世代のアーティスト
・ZEROBASEONE
・BOYNEXTDOOR
このように、今後も海外進出に積極的なアーティストが続々と登場するでしょう。
K-POPが世界で人気を集めている理由
韓国のアーティストが日本やアメリカなど、世界で人気を集めている理由は主に以下の3つです。
・多国籍のメンバー構成
・充実したコンテンツ
・多言語字幕機能による配信
この章では、K-POPが人気を集める理由や特徴について詳しく解説します。
多国籍のメンバー構成
K-POPが世界で人気を集めている理由の1つは、グループが多国籍のメンバーで構成されていることです。
例えば、BLACKPINKは韓国・オーストラリア・タイ出身のメンバーで構成されていますし、aespa(エスパ)は、韓国・中国・日本出身のメンバーで構成されています。
なぜ多国籍メンバーでグループを構成するのかといえば、韓国の音楽市場の規模が小さく、結成当初から海外進出を視野に活動する必要があるためです。
また多国籍のメンバー構成にするのは、複数の国でファンの獲得・支持を集めやすいのも理由です。
日本人がいるグループであれば、日本のファンは親近感を持ちやすく、応援したくなるでしょう。同様に中国やタイなどでも、自国出身のメンバーがいることでファンの獲得に役立ちます。
さらに複数の言語に対応できるのも、多国籍メンバーで構成する理由です。つまり、K-POPグループは結成時からターゲット市場に合わせたメンバー構成にすることで、人気を集めているのです。
充実したコンテンツ
K-POPの世界的な人気の理由に、充実したコンテンツが挙げられます。
一般的に海外のアーティストのコンテンツを見る場合は、海外チャンネルを取り扱う有料放送を契約する必要があります。しかしK-POPの場合は、無料でアーティストのコンテンツを視聴できるのです。
例えば、韓国のテレビ番組に出演した翌日には、公式YouTubeチャンネルなどで動画としてアップロードされます。ほかにも各メンバーにスポットを当てたコンテンツや、複数のプロモーションビデオのバージョンが用意されているなど、ファンを飽きさせない工夫が多数あります。
このような充実したコンテンツと工夫により、海外でのファンを着実に増やし、K-POPの人気を支えているのです。
多言語字幕機能による配信
K-POPの人気を語るうえで欠かせないのは、多言語への対応方法です。
いくら多国籍のメンバーで構成されていても、すべてのコンテンツにおいてターゲット地域の言語のみを使用するのは困難です。またメンバーが話せない言語を使用する地域にも、コンテンツは配信されています。
そこで、よく利用されているのは映像プラットフォームの「V LIVE」です。
V LIVEの特徴は多言語字幕機能があることです。英語・中国語・ベトナム語・タイ語・日本語など複数の言語に対応しているため、多くの地域のファンから利用されています。
加えて、K-POPではファンが字幕を付ける「ファンサブ」と呼ばれる行為が認められており、より多くの言語に翻訳されるのに役立っています。
K-POPの躍進は徹底的なマーケティング戦略
K-POPが世界的な躍進を実現できた大きな要因は、徹底的なマーケティング戦略です。この章では、K-POPのマーケティング戦略の特徴について紹介します。
SNS活用戦略:ファンとの親密なコミュニケーション
K-POPの特徴的なマーケティング戦略は、SNSを活用したファンとの親密なコミュニケーションです。インスタライブやSNSを通じたプロモーション活動など、積極的にSNSを使ってファンとのコミュニケーションの場を多く作っています。
とくに「ヨントン」は代表例といえます。
「ヨントン」とは、韓国語で「映像通話」の意味で、自分の推しメンバーとビデオ通話ができるイベントのことです。
自分の推しとのビデオ通話は、ファンにとって何にも代えがたい体験となるでしょう。
このようなSNS活用戦略は、ファンとメンバーの距離を縮め、より熱心なファンの獲得に役立っているのです。
プロデュース戦略:誰もが推しを応援できる
K-POPのプロデュース手法としてよく採用されるのは、「視聴者参加型オーディション」です。
「視聴者参加型オーディション」とは、オーディション参加メンバーのパフォーマンスを放送し、視聴者がデビューさせたいメンバーに投票する手法です。
より多くの票を獲得したメンバーがデビューできるため、デビュー直後から人気を確保できるメリットがあります。加えて誰でも投票できる仕組みなので、自分の推しメンバーをデビューさせるために、積極的な推し活動を促せるのもメリットです。
また視聴者参加型オーディションは、パフォーマンス以外にもメンバーの人間性や成長を感じてもらうことで、幅広いファンの獲得に役立っています。
自分の推しがデビューできれば、イベントなどで活躍が見られるため、ファンにとっても達成感を味わえるのが魅力です。
まとめ
世界中で大人気のK-POPは、その裏には徹底したマーケティング戦略があります。SNSの活用方法やプロデュース手法など、音楽業界以外にも通用しそうなアイデアが多く取り入れられています。
これからK-POPを楽しむ際は、グループのコンセプトやメンバー構成、マーケティング戦略などにも注目してみてはいかがでしょうか。