
国内でコロナ規制が緩和され、インバウンドが戻り以前のように日本中で外国人を見かけるようになっています。そのような日本と同様に、世界中で注目を浴びている衣料品業界のグローバルブランドがオニツカタイガーです。
オニツカタイガーは、鬼塚喜八郎氏により設立されたスポーツシューズブランドで、現在ではアシックスの代表的なブランドの1つです。 本記事では、オニツカタイガーが海外進出に成功した理由を事例から解説します。海外進出を検討している企業は、参考になる話題ですのでぜひご覧ください。
メイドインジャパンの靴が世界で注目される理由
そもそも海外で「なぜメイドインジャパンの靴が注目されているのか」といえば、「メイドインジャパン=高品質」という日本らしい品質と、シンプルなデザイン性がうけているためです。
機能性・デザイン性に優れたメイドインジャパンの靴は、欧米を中心にファッションアイテムとして人気があります。
その火付け役は、アシックスがSupremeの有名デザイナーとコラボしたことです。コラボにより、メイドインジャパンの靴の機能性・デザイン性が海外ユーザーに知れ渡り人気に火が付いたのです。
日本の履物輸出の動向
ここで、「海外でメイドインジャパンの靴の需要がどの程度高まっているのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。
経済産業省の調べによると、日本の履物輸出の推移は以下のとおりです。

出典:経済産業省「履物産業を巡る最近の動向」
2021年の輸出数量は1,943万足で、輸出額が92億円に急拡大しています。輸出数量・輸出額ともに、革靴以外の履物の伸びが牽引しています。とくにスニーカー含むゴム底靴の伸びが顕著で、海外においてメイドインジャパンのスポーツシューズの需要が高まっているのです。
経済産業省の同資料の考察では、海外展開に成功しているブランドの特徴として以下の2点を挙げています。
- 繊細なモノづくり・究極の履き心地の追求
- 海外ブランドにはない独自の世界観・デザイン
オニツカタイガーとは?

出典:オニツカタイガー
改めてオニツカタイガーの紹介をしたいと思います。
オニツカタイガーは鬼塚喜八郎氏が設立し、同氏の創業したアシックスが運営する代表的なシューズブランドの1つです。
オニツカタイガーは世界に160店舗以上を出店し、それらのセレクトショップを通じて海外進出を展開しています。2021年の売上が385億円(前年比+ 13.6%)で、2022年が430億円(前年比+ 11.6%)と2桁台の急成長を実現しています。
また海外売上比率は2005年に50%を超え、現在では85%を占めるほどになっており、このことから海外進出に成功したグローバルブランドといえるのです。
オニツカタイガーの特徴
オニツカタイガーのシューズには、以下の2つの特徴があります。
- 現代的なレトロデザイン
- 歩きやすく、毎日履いても傷みにくい機能性
オニツカタイガーについて理解を深めるために、2つの特徴を詳しく解説します。
①現代的なレトロデザイン
オニツカタイガーの歴史は古く、1949年に設立し70年以上の歴史があります。その中で1966年に発売されたトレーニングシューズ「LIMBER UP 革 BK」において、オニツカタイガーストライプが初めて登場します。
オニツカタイガーストライプとは、縦横に2本のラインが特徴的なオニツカタイガーのトレードマークです。

出典:オニツカタイガー
現在ではオニツカタイガーの代名詞ともいえる「MEXICO 66」に採用されており、発売から50年以上経った現在も根強い人気があります。「MEXICO 66」シリーズは細身のシルエット・薄いソール・独特なカラーリングにより、一目でオニツカタイガーとわかるほど、アイコンシューズとして広く認知されています。
つまりオニツカタイガーは、ローテクなフォルムやレトロなデザインがファッションアイテムとして受け入れられているのです。
②歩きやすく、毎日履いても傷みにくい機能性
オニツカタイガーの特徴は、機能性の高さが挙げられます。
オニツカタイガーの代名詞である「MEXICO 66」は薄いソールが特徴です。このように聞くと、「薄いソールは履き心地が悪そう」と感じる方もいるでしょう。しかし、発売から50年以上経った現在ではアップデートを重ね、歩きやすさはもちろんのこと、耐久性も優れています。
具体的には、以下のような素材の追求により履き心地と優れた耐久性を実現しています。
- ヒールウェッジにクッション性に優れた素材「AmpliFoam」を採用
- 耐久性向上のために、アウターソールにグリップ性・耐久性を追求したラバーを採用
- フィッティングの向上のために、中敷きに通気性・クッション性に優れた「オーソライト」を採用
レトロなデザインでありながら、最新技術が詰まった構造により高品質な履き心地・優れた耐久性を実現することで、多くのファンから愛されているのです。
オニツカタイガーの海外展開成功のポイント

それでは、本題であるオニツカタイガーの成功の秘訣について探っていきましょう。海外展開成功のポイントは以下の3つです。
- 実店舗とECサイトの役割を明確化したこと
- リーズナブルな価格に設定したこと
- 日本のものづくりの素晴らしさを世界に発信したこと
近年2桁成長を遂げているオニツカタイガーの海外事業のポイントなので、参考になる点も多いはずです。そのため各ポイントについて詳しく解説します。
①実店舗とECサイトの役割を明確化
オニツカタイガーの海外展開成功のポイントは、実店舗とECサイトの役割を明確化したことです。
オニツカタイガーの海外店舗は160店舗を超えていますが、その中でもロンドン・イタリア・アメリカ・バンコクなどに展開している旗艦店は、オニツカタイガーの世界観・ブランドを伝える場所として活用されています。
一方ECサイトはブランド情報を発信するメディアとして活用され、オニツカタイガーマガジンはブランドの最新情報や、話題の芸能人のインタビューによりユーザーを引きつけています。
このように実店舗とECサイトの役割を明確化することで、ブランディングの最大化を図っているのがポイントです。
②リーズナブルな価格設定
オニツカタイガーの海外戦略で成功しているポイントは、リーズナブルな価格設定です。
オニツカタイガーは高品質なシューズとして好評ですが、販売価格は安く設定しています。例えば人気シリーズの「MEXICO 66」の多くは、15,000円以内で購入できるほどです。
リーズナブルな価格設定にすることで、コスパを重視する海外ユーザーにも受け入れられているのです。
③日本のものづくりの素晴らしさを世界に発信

出典:オニツカタイガー
オニツカタイガーが海外進出で成功したポイントは、日本のものづくりの素晴らしさを世界に発信したことです。
具体的には「NIPPON MADE」シリーズで、素材・染め・縫製など細部まで日本のクラフトマンがこだわり抜いた逸品を展開しています。職人の手から作り出される同シリーズは、大量生産とは異なり1点ごとに違いがあり、本物の日本品質を求めるユーザーから支持されています。
つまり、職人の手から作り出される日本のものづくりの価値を世界に発信することで、ブランディングの成功につながっているのです。
まとめ
オニツカタイガーが海外進出に成功したポイントは、「実店舗とECサイトの活用方法」「リーズナブルな価格設定」「日本の高品質なものづくり」です。今後海外進出を検討している企業にとって、参考になる成功事例といえます。 ほかにも海外進出についてお悩みや疑問があれば、海外進出支援のプルーヴ株式会社にお気軽にご相談ください。