日系スポーツ用品メーカー海外展開 徹底比較!ミズノ/アシックス

日系スポーツ用品メーカーのミズノやアシックスは、世界進出の成功事例です。

オリンピックや世界大会で、日系メーカーのスポーツ用品を身につけているプロ選手をよく見かけると感じている方も多いはずです。 本記事ではミズノとアシックスを比較しながら、海外進出の成功理由を紐解いていきます。

世界のスポーツ用品ランキング

世界のスポーツ用品メーカーにおける、ミズノとアシックスの立ち位置から確認しましょう。以下は、世界のスポーツ用品メーカーの売上高ランキングです。

■世界のスポーツ用品ランキング

順位メーカー名売上高日本円換算本社
1位ナイキ
(NIKE)
512億1,700万米ドル
(2023年5月期)
7兆1,703億円アメリカ
2位アディダス (adidas)225億1,100万ユーロ
(2022年12月期)
3兆1,515億円ドイツ
3位プーマ
(Puma)
84億6,500万ユーロ
(2022年12月期)
1兆1,851億円ドイツ
4位ルルレモン・アスレティカ
(lululemon athletica)
81億1,000万米ドル
(2023年1月期)
1兆1,354億円アメリカ
5位スケッチャーズ (SKECHERS)約74.4億米ドル
(2022年12月期)
1兆416億円アメリカ
6位アンダーアーマー
(UNDER ARMOUR)
59億300万米ドル
(2023年3月期)
8,264億円アメリカ
7位ニューバランス
(New Balance)
約53億米ドル
(2022年)
7,420億円アメリカ
8位アシックス
(ASICS)
4,846億円
(2023年3月期)
日本
9位ミズノ
(MIZUNO)
2,120億円
(2023年3月期)
日本
10位グローブライド (GLOBERIDE)1,345億円
(2023年3月期)
日本

※1米ドル=140円、1ユーロ=140円で換算

日系のスポーツ用品は3社がランクイン、アシックスが8位・ミズノが9位でした。

海外企業との比較

世界のスポーツ用品メーカーは、ナイキ・アディダス・プーマが長らく3強として君臨しています。とくにナイキは売上高7兆円を突破するなど、他メーカーよりも飛び抜けている状況です。

国内首位のアシックスの売上は4,845億円で、1兆円以上がひしめく海外メーカーのなかで遅れをとっています。ランキングからも日系スポーツ用品メーカーが海外のシェアを取り切れていないのがわかるでしょう。

スポーツ用品業界の傾向

スポーツ用品業界はコロナの影響を受け、とくに2020年は各社の売上が減少しました。フィットネスジムが自粛生活により苦戦を強いられたため、フィットネス用品の不振につながったためです。

しかし、コロナ規制が緩和されるにつれフィットネス関連の需要も回復しています。加えて、コロナ禍で注目されたアウトドアや登山、ゴルフ、サイクリングなども引き続き好調を維持しています。

これらによって、スポーツ用品業界の2021年・2022年は需要が回復・拡大した年になりました。

例えば、アシックスの売上高の推移は以下のとおりです。

出典:アシックス 財務・業績ハイライト

このグラフからも2021年・2022年は、スポーツ用品業界にとって復調・成長の年になっていることがわかります。

日系スポーツ用品メーカーの概要と、海外成功理由

世界ランキングやスポーツ用品業界の傾向から、日系スポーツ用品メーカーのミズノとアシックスにスポットを当てていきたいと思います。

ここからは主要2ブランドの会社詳細と、海外展開に成功した理由について解説しますのでぜひご覧ください。

ミズノ 

出典:ミズノ

ミズノは1906年に創業し、野球ボール・シューズ・グラブなどの製造・販売を中心に発展してきました。会社概要は以下のとおりです。

会社名美津濃株式会社(Mizuno Corporation)
創業1906年4月
資本金261億3,700万円
従業員数3,782名
売上高1,315億円(2023年3月期)

また、アジア・オセアニア・ヨーロッパ・北米に19拠点があります。

ミズノの海外事業はゴルフ用品やランニング用品、サッカースパイクが好調で、2022年の海外売上比率は38.0%でした。前年度は33.9%であったことから、海外事業が大きく売上を延ばしていることがわかります。

地域別に見ると、欧米は31.5%、欧州は40.1%、アジア・オセアニアでは43.8%もの伸びとなっています。

海外進出成功理由①戦前からCSR経営とSDGs活動に取り組む経営姿勢

ミズノが海外進出に成功した理由の1つ目は、戦前からCSR経営とSDGs活動に取り組む経営姿勢です。

これはミズノの経営理念、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」の実践に起因します。例えば1991年には地球環境保全活動「Crew21」を開始し、30年以上にわたって事業活動にともなう環境・社会への影響を低減するCSR活動を積極的に進めています。

つまり、気候変動や多様性などのサステナビリティが注目されるはるか以前より、社会問題に取り組み続けている経営姿勢が海外ユーザーに受け入れられているのです。

海外進出成功理由②学生やこどもでも手に取りやすい価格帯

ミズノは機能性に優れたスポーツ用品を開発する一方、学生やこどもでも手に取りやすい価格にすることを重視しています。

このやり方によって、急成長・急拡大は難しくても、地道にファンを増やすことで国内首位の地位にまで登りつめています。

海外進出においても同様で、国内で培った技術をもとに、高品質で手ごろな価格の商品により知名度を高めているのです。

アシックス

出典:アシックス

アシックスは1949年に創業した「鬼塚商店」を前進企業とするグローバルブランドです。創業者の鬼塚喜八郎が感銘を受けた、「もし神に祈るならば、健全な身体に健全な精神があれかしと祈るべきだ(“Anima Sana in Corpore Sano”)」が社名の由来です。

その言葉どおり、スポーツによる健全な青少年の育成を目的としたスポーツシューズの開発に携わっています。アシックスの会社概要は以下のとおりです。

会社名株式会社アシックス
創業1949年
資本金239億7,200万円
従業員数8,886名(連結)
売上高4,846億円(2022年12月期実績)

北米・欧州・中国・オセアニア・東南・南アジアなど世界中に進出しており、海外における関係会社は61社にもなります。国内の関係会社が13社であることを考慮すると、海外進出を積極的にしているといえるでしょう。

海外においてシューズの売上が好調で、海外売上比率が約70%を占めるほどに海外進出で成功を収めています。

海外進出成功理由①機能性を徹底的に磨いた商品力

アシックスが海外進出に成功したのは、機能性を徹底的に磨いたことです。

アシックスの特徴は、自社製造のために細やかなシューズの機能性を極限にまで高められることです。その結果、競技ランナーから絶大な信頼を獲得し、アメリカでシェア2位になるほどのブランディングに成功しました。

海外進出成功理由②世界も相手にできる販売戦略

アシックスが海外進出に成功した2つ目の理由は、販売戦略にあります。

例えば、世界中で開催される180のランニングイベントのスポンサーになり、ショップを出店して集客につなげるといった具合です。このような競技者や市民マラソンランナーとの交流により、信頼を獲得し海外市場でシェアを伸ばしています。

まとめ

世界で注目される日本のスポーツ用品メーカーの比較から、海外進出の成功事例を読み解いてきました。結果、海外における経営・販売戦略に加えて、技術力や価格設定などが成功のポイントといえます。 今後海外進出を検討されている企業様は、海外進出支援のプロ集団であるプルーヴ株式会社に一度ご相談ください。

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