世界的な電力不足はなぜ起こっているか。脱炭素化を進めるヨーロッパのジレンマとは

地球温暖化、環境破壊、化石燃料の枯渇、地球環境を守るためにさまざまな問題が浮上していますよね。その中で重要なのが再生可能エネルギーを使用すること。原子力発電からの脱却、クリーンなエネルギーへの変遷の課題の多さなど、さまざまな問題を抱え、世界中の国々で電力不足が叫ばれています。 

世界中の国々の中でも、ヨーロッパは環境下についての目標を具体的に上げ、より強く環境問題について取り組みが行われています。今回はヨーロッパの事情を中心に、電力と、脱酸素社会について記述していきます。

 

各国の二酸化炭素削減政策

各国ではさまざまな形で、規制や目標を設定し、脱炭素社会への適応をはじめとする気候変動の対策を行なっています。 

EUでは、2050年までに「カーボンニュートラル」を達成するという計画を発表しています。「カーボンニュートラル」とは、「気候中立」とも表現し、排出する二酸化炭素量と、除去する二酸化炭素量を同量にするということ。まずは2030年までに、気候目標として、1990年の排出量に対して、55%削減することを掲げています。 

日本はかなりエネルギー効率が良いと言われていますが、絶対値でいうエネルギー使用量は世界でも上位に上がります。原子力発電所の停止などで火力や石炭での発電も増え、二酸化炭素排質量も増加傾向にあります。 

世界的な二酸化炭素削減の目標を達成するためは、ガソリン、ディーゼル車、航空燃料、鉄鋼、コンクリートの輸入、高エネルギー効率の建設物への変換、再生可能エネルギーの使用、などが挙げられています。その他にも、温室効果ガス排出権を排出量の少ない国に買い取ってもらい、排出量をその国の排出量として取り扱う、という方法もあります。 

このような目標とターゲット作りにより、一丸となって突き進むはずですが、さまざまな問題が浮上してきていることも現実です。その問題とはどのようなものなのでしょうか。 

 

自動車燃料の問題

電気自動車

 

ヨーロッパの国々や自動車製造メーカーは、二酸化炭素排出量の削減への動きに対して、早い段階から目標設定などを行なっています。その主な政策は現在のガソリンやディーゼルを燃料として使用している自動車を、電気自動車に置き換え、二酸化炭素排出量を削減する、というもの。国、地域、メーカーともに、2030年前後を目標年と設定し、電気自動車普及に努めています。 

これは一見とても順調な計画のようですが、問題も発生しています。電気自動車自体は二酸化炭素を発生させないものの、発生エネルギーの根本は電気であり、石炭、石油などを使用する発電方法では結局どこかで二酸化炭素が排出されてしまいます。さらに現在の車載用駆動バッテリーでは、動力に対して効率が低く、電気自動車が増加するごとに電気使用量も増加し、二酸化炭素排出量が増加してしまいます。そこで化石燃料を使用しない発電方法として再生可能エネルギーの使用の増加促進を進めています。

 

再生可能エネルギーの問題

太陽光発電

よくニュースでも取り上げられることの多い言葉である「再生可能エネルギー」とどのようなものなのでしょうか?簡単に表現すると、減ることなく使用し続けることの可能なエネルギーのこと。太陽光発電、水力発電、風力発電、地熱発電、潮力発電、などが代表的な再生可能エネルギーとなります。全般的に使用エネルギー自体からは排気ガスや温室効果ガスも発生せず、大きな地球環境の変動がない限り無限に使用ができるエネルギーになります。 

無限に使用できるエネルギーがありながら、なぜ電力不足が叫ばれているかというと、世界各国において、化石燃料や原子力に頼った発電方式から、再生可能エネルギーである、太陽光、風力、力などを活用していく動きが増加していく中、自然エネルギーは化石燃料や、原子力発電のように安定した供給が見込めないことが原因のひとつに挙げられます。 

例えば風力発電で風の多く吹く地域に建設したとしても、それがうまく稼働しなかったり、鳥が巻き込まれて故障してしまうことや、耐久性の問題で、修理コストがかかること、さらには、低周波の騒音が発生し、近隣住民に迷惑をかけるため停止せざるを得なかったりすることなどの問題が発生しています。そして発電効率の悪さもあり、現在のところ効率よく稼働している発電所は少なくなっています。 

太陽光発電も家庭用などで普及が進んできましたが、大規模なメガソーラーの建設では、土地の整備を計画的に行わないと周辺に草木が生え、影ができることで発電効率が悪くなったり、斜面や、森を切り崩して建設したために、土砂崩れに遭ったりするなどの問題を抱えています。特に地震や台風、洪水などの災害が多い日本では、復旧が難しく、それによるコスト上がってしまうなどの問題も抱えています。

 

再生可能エネルギーの買い取りと新たな問題

再生可能エネルギーの中でも代表格であるソーラーエネルギーは、個人の家屋に設置することも可能な上、余った電力が販売できるという点で人気を高めており、普及が進められています。例として、日本での電気の買い取りには、「FIT」(固定価格買取制度)が適用されていて、この制度は一定期間、電気事業者が再生可能エネルギーを使用した電気を国が定めた一定の価格で買い取らなくてはならない、という決まりです。

回避可能費用の制度終了

しかしながら2016年に「回避可能費用」という制度が終了しました。回避可能費用は、火力などの一般の電力会社が再生可能エネルギー発電会社から電気を購入する場合、一般の発電会社の販売電気量が減少します。その減少した発電をしなかった分の支出分を免れることが可能な制度です。今までの買取価格はこの回避可能費用によって、その各設備導入月ごとに決まる固定価格で、市場の価格より低価格でした。しかしながらこの制度が廃止され、市場価格と連動した価格となり、購入単価が上がる結果になりました。

そこで、従来から契約しているところからは、公共料金の急激な価格変動を抑える措置である「激的緩和措置」を導入し、5年間は回避可能費用を適用できるように設定しています。そして、その5年目というのがちょうど現在の2020年から2021年にあたるのです。買取価格の負担が増加してしまうため、電力会社は再生可能エネルギーの買い取りが難しくり、経営が困難になることも想定されています。ひいては電力不足にもつながりかねないという状況です。 

このように、環境を良くするための制度や技術などを駆使しても、再生可能エネルギーは負担率が大変多く、今までの原子力、火力、などに頼っていた発電とは異なる問題が発生し、再生可能エネルギーのさらなる発展を妨げています。世界で広がる電力不足にも、この日本の例に挙げたようなジレンマが多く発生しています。

温室効果ガスの排出権問題

温室効果ガス

排出権の取引は、変動制となっており、2021年5月の時点で、二酸化炭素1トンあたり、約55ユーロとなっています。排出権取引が始まり、一旦2014年ごろには安定して10ユーロ程度であったものが、さまざまな環境規制目標数値が制定されるとともに、価格も高騰してきている状況です。2018年の日本の排出量は10億トンほど。ヨーロッパも主要国全体でも15億トン強の排出量。日本は京都議定書制定の期間に1600億円もの大金を注ぎ込むことになり、その価格の高騰と高額な費用が問題になっています。コストがかかり、効率も低い再生可能エネルギーの使用と、排出権の取引によって、排出国にとっては大きな負担となることは確かです。

 

燃料費高騰

さまざまなエネルギー問題を抱える中、燃料費の高騰までもが世界を襲いました。特に二酸化炭素の排出が少なく、原油への代替需要として天然ガスの需要が高まることによって、価格の高騰が欧州中心で発生。電気代も、とくにヨーロッパで年々上がり続けている状況です。その中でアメリカでは石油のパイプラインに対するサイバー攻撃を受け、供給不足となり、ガソリン不足と価格の高騰が起こりました。イギリスでの燃料事情はより深刻で、ガソリンスタンドに長蛇の列を作る、という事態に陥っています。これはイギリスでのトラック運転手が不足しているためにガソリンを運ぶ人が少なくなっている、ということが発端になっています。実際ガソリン量自体は不足していないと政府は発表しているものの、市民は不足する前にガソリンを入手しようと殺到し、普段より多くのガソリンを供給したため、不足してしまった状況です。まるで日本でも発生した災害などでの買い占めと同じような状況ですよね。 

ヨーロッパでは原子力発電の減少、再生可能エネルギーの推進で、電気価格の高騰と、電力が不足しており、いつ燃料やエネルギーがなくなってしまって生活に影響を及ぼすかわからない、という不安心理から発生しているという考えもあります。 

さらに世界では異常気象と呼べる大寒波に襲われることもあります。欧州や中国などの国々では、通常の期間でも冬の間暖房としての利用の燃料需要が高まります。それに加え大寒波が発生してしまうと大きな影響が発生してしまいます。アメリカでは大寒波が襲い、寒さによる死亡者が発生してしまったことに加え、電気使用の急激な高まりによる停電、新型コロナワクチンの接種の滞り、工場の操業停止などの大混乱に陥る事態になってしまいました。 

 

まとめ

環境のことを第一に考え、将来的にも住みやすい生活にするために始まった脱炭素社会への取り組み。未来や子孫のために美しい環境を守り続けるという高い志のもとに、二酸化炭素排出量の提言を世界各国で取り組んでいます。その中で、さまざまな問題が発生し、最終的には電力が不足してしまうという事態に陥っています。世界が一丸となり、目指している二酸化炭素低減の実現を頓挫させないように、再生可能エネルギーを技術開発により、効率の高いものへと進化させ、ほかにも利用できる再生エネルギーの探索や研究を行うことで目標を達成し、美しい環境が続く未来が訪れるといいですよね。 

 

^欧州カーボンニュートラル

https://www.google.com/amp/s/www.bbc.com/japanese/57845224.amp  

^世界の二酸化炭素排出量 

https://www.jccca.org/download/13327 

^排出権取引 

https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=39101 

^燃料費高騰 

https://www.bbc.com/japanese/58715191 

^アメリカガソリン価格高騰 

https://www.bbc.com/japanese/57096513 

^寒波の影響 

https://www.bbc.com/japanese/56107849

 

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