ユニコーン企業とは?国内外の主要企業とユニコーン企業を生み出す風土や支援についてご紹介

ユニコーン企業とは、評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業のことを指します。 世の中にまだない新たなイノベーションを生み出すようなテクノロジー系の企業が多い印象ですが、分かりやすい企業例を挙げると、動画投稿アプリ「TikTok」を提供する中国の北京字節跳動科技(ByteDance)やニュースアプリ「SmartNews」を提供する日本のスマートニュース株式会社などが挙げられます。

各国のユニコーン企業をご紹介しながら、世界に対して日本ではまだまだユニコーン企業が少ない現状についても触れていきます。

ユニコーン企業とは?

ユニコーン企業とは、「評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業」のことを言います。由来としては額の中央に1本の角がある架空の白馬「ユニコーン」のように、非常に希少的な存在で成長性が感じられるベンチャー企業のことで、ユニコーン企業と言われるようになりました。 条件としては、以下などが挙げられます。

・評価額が10億ドル以上

評価額とは「企業の価値」のことで、時価総額とも言われます。ユニコーン企業の条件として評価額が10億ドル以上で、日本円換算でおおよそ1,040億円以上の評価額です。

・創業10年以内で未上場

上記の条件に加えて、創業から10年以内で未上場企業であるという条件もあります。例えば日本のメルカリ社は、一時期「日本最大のユニコーン企業」と言われていましたが、2018年に上場を果たしユニコーン企業の条件を満たさなくなりました。

デカコーン・ヘクトコーンについて

ユニコーン企業から派生した「デカコーン」「ヘクトコーン」について簡単に述べます。 ユニコーン企業のうち、評価額が100億ドル以上の企業を「デカコーン企業」、1,000億ドル以上の企業を「ヘクトコーン企業」と呼んでいます。日本円換算にするとそれぞれ1兆円、10兆円ほどの評価額になります。デカコーン、ヘクトコーンを日本の企業に例えると、TOTOやリクルートホールディングスなどが当てはまります。

創業10年以内のベンチャー企業でここまでの評価額を得ることはどれほど難しいことか想像できるでしょう。

世界のユニコーン企業数

ユニコーン企業について概要をお伝えしてきましたが、世界でどれほど存在するのでしょうか。 調査会社CBインサイツの調べによると、2021年度で世界のユニコーン企業数は約800社になります。新興企業が多く集まるシリコンバレーで有名なアメリカが最も多く、世界のユニコーン企業数のおよそ半分の割合を占めます。次いで中国が全体のおよそ20%ほどで、動画投稿アプリTikTokを運営する北京字節跳動科技(ByteDance)は評価額が1,400億ドルで、世界を代表するヘクトコーン企業です。それ以降インド、イギリス、イスラエルと続きますが、アメリカと中国で全体の約7割を占めます。

新型コロナ下においてもスタートアップ企業への資金調達は活発で、21年4~6月は過去最高額になり、新たに誕生したユニコーン企業数は前年同月比で6倍近くにもなりました。

日本にユニコーン企業が少ないのはなぜ?

2021年7月 国別のユニコーン企業の割合、米国は378社、50.4%占めている

2021年7月 国別のユニコーン企業の割合 (引用元:CBインサイツ)

前述のように世界に約800社あるユニコーン企業のうち、約7割がアメリカと中国の企業です。そのうち日本のユニコーン企業数は2021年時点で11社で、日本の経済規模からみてもまだまだ少ないのが現状です。 日本にユニコーン企業が少ない理由はいくつかありますが、ひとつの理由としてベンチャーキャピタルの投資額がアメリカや中国に比べてかなり少ないことが挙げられます。アメリカのベンチャー投資規模はとても大きく、日本はアメリカの約2%にしか満たないのです。また起業家の母数や経営人材の育成課題なども挙げられます。近年は若手の起業家も増えてきてはいますが、大手企業への就職を志望する若手が多く、経営人材がなかなか育成されないといった課題もあります。

そこで日本政府は「未来投資戦略2018」で、日本のユニコーン企業を2023年までに20社創出するという目標を掲げました。今後の日本経済を牽引するような、また世界で戦えるようなスタートアップ企業への支援に期待が集まります。

国内のユニコーン企業

この章では日本のユニコーン企業を何社かピックアップします。ユニコーン企業は世の中にまだない新たなイノベーションを生み出すような、テクノロジー系の企業が多い印象です。機械学習の研究と実用化のPreferred Networks社、量子水素エネルギー事業のクリーンプラネット社、ニュースアプリ開発運営のスマートニュース社についてご紹介をします。

Preferred Networks(プリファードネットワークス)

株式会社Preferred Networks(プリファードネットワークス)は、機械学習の研究と実用化事業を行うAIのテクノロジー企業です。国内のユニコーン企業の中で評価額が最も高く、AI企業の中でも大きな注目を集めています。特にAI開発の技術力が高く、GoogleやApple出身のエンジニアなどが在籍しています。トヨタやNTTなどさまざまな企業と業務提携を行うことにより自動運転、ビッグデータ、ロボット分野など幅広い事業展開をしている点も同社の特徴のひとつです。

クリーンプラネット

地球温暖化対策のひとつとして期待が集まる量子水素エネルギーの研究事業を行う株式会社クリーンプラネットのご紹介です。国内の評価額ランキングではプリファードネットワークス社に次いで2位です。同社は水素を燃料とした量子水素エネルギーというガソリンの1,000倍以上のエネルギー密度を誇るにも関わらず、二酸化炭素や有害な放射線を排出しないクリーンエネルギーの実用化研究を行っています。東北大学発のユニコーン企業で共同研究部門という形で大学と連携し、世界各国にて特許を取得しています。

スマートニュース

ニュースアプリ「SmartNews」の開発運営を行っているスマートニュース株式会社は国内の評価額ランキングで3位に位置づいています。2012年の会社設立から数年後に米国版のアプリを提供開始し、日米の月間アクティブユーザー数は5,000万を超えています。今後は米国を中心とした海外事業拡大を見据え、ソニーやDeNAなどの有名企業から経営陣をそれぞれ招聘し全社の人材採用を強化、日本をはじめ米国や中国にも開発拠点を立ち上げるなど更なる事業成長をうかがえるユニコーン企業です。

海外のユニコーン企業

続いて海外のユニコーン企業に目を向けてみます。2021年度の世界のユニコーン企業ランキングによると、評価額が最も高かったのは、動画投稿アプリ(TikTok)を運営する中国の北京字節跳動科技(ByteDance)です。続いてオンライン決済事業を運営するアメリカのStripe社、アメリカの宇宙ロケット開発のSpaceX社などが続きます。

今回は上記3社に加えて、タクシー配車サービスを運営する中国のDidi Chuxing社についてもご紹介をします。

世界のユニコーン企業価値10社

21 年4~6月期の世界のユニコーン企業価値上位10社

世界のユニコーン誕生数、過去最多に 21年4~6月

ByteDance

動画投稿アプリ(TikTok)や今日頭条(Toutiao)というニュースアプリを運営する中国の北京字節跳動科技(ByteDance)は世界最大のユニコーン企業であり、評価額が1,400億ドルでヘクトコーン企業とも呼ばれます。ビッグデータや機械学習を活用したレコメンド強化により、世界何十カ国にもサービス展開されるほど急成長し世界を代表するテクノロジー企業です。FacebookやInstagramなどと同様に、「TikTok」はショートムービー型のSNSと認知が広まり日本でも大きな地位を築いています。

Didi Chuxing

滴滴出行(DiDi Chuxing)は、中国で有名なライドシェアサービスを展開する企業です。ライドシェアはアメリカ発のUberが日本でも知名度が高いかと思いますが、DiDi Chuxingは中国を中心にライドシェアや配車サービスなどを展開しています。ディープラーニング技術など先端テクノロジーを活用したスマート交通の基盤を構築しています。DiDiのユーザー数やアプリの普及率は他の競合他社を圧倒しています。日本にも進出をしており、ソフトバンク社と協同してタクシー配車サービスを展開しています。

Stripe

Stripe社はオンライン決済事業やFinTechサービスを展開する、アメリカで評価額が最大のユニコーン企業です。新型コロナをきっかけとしたECサービスがより好調になったこともあり、同サービスは拡大を続けています。事業者向けのオンライン決済サービスを中心に、FacebookやZoom、Slackなどの大手企業も同サービスを活用しています。また日本への事業展開を視野に東京に開発拠点を新設や、三井住友カードやJCBとの提携もしています。

Space X

最後のご紹介は、宇宙ロケット開発を行うアメリカのSpaceX社です。 SpaceX社を設立したイーロン・マスク氏は、電気自動車テスラの共同創業者やPayPalなども創設した実業家としてとても有名な方です。同社も世界でとても評価が高い開発力をもとに、ロケットの再利用という革新的なビジネスモデルを構築しています。宇宙の産業規模は計り知れないほど大きく、宇宙開発の可能性に期待が集まるSpaceX社の注目度は非常に高いです。

ユニコーン企業を増やすにはどうすればいい?

世界のユニコーン企業数や、日本は各国に比べてまだまだユニコーン企業数が少ないことを前述しました。 そこで具体的に日本がユニコーン企業を生み出すためにはどうしたらよいかについて、

1.ベンチャー企業を資金面で支援する

2.人材開発の強化・支援

3.失敗しても評価されるような社会風土を作る

の3つの視点に沿って解説をします。

ベンチャー企業を資金面で支援する

まずは資金面ですが、日本はベンチャーキャピタルの投資額が世界に比べて少なく、投資機構や年金基金、大学発のファンドなど機関投資家がベンチャー企業を資金面で支援することが重要です。会社立ち上げ期の資金調達だけでなく、事業拡大の際に必要となる運転資金や海外展開など、会社として大きくなるプロセスにおいて資金を提供する迅速な仕組み作りも必要になってきます。

人材開発の強化・支援

ユニコーン企業を増やすには資金面や、後述する失敗を恐れないような社会風土作りもとても重要な要素ですが、リソースである起業する人材を増やし、イノベーションを起こせる人材の開発をすることが最も重要なポイントです。企業への就職だけではなくキャリアのひとつとして自らで事業を作り上げるような人材開発、成功事例を持ったベンチャー企業の経営者が次世代の起業家を支援するような仕組み、海外の優秀な学生なども国内の起業プロジェクトにインターンとして招く、などといったような環境整備が必要です。

失敗しても評価されるような社会風土を作る

3つ目は、もし起業に失敗してもその失敗した経験が評価されるような社会風土を作っていくことです。日本は失敗を許さないという社会風土がありますが、アメリカは日本の風土とは逆で「起業して失敗した人」のほうが評価されやすい傾向があります。日本においてユニコーン企業をより多く生み出していくには、仮に失敗したとしてもその経験をプラスに評価されるような社会風土や仕組み作り、またアメリカのように積極的に挑戦するのを恐れないようなチャレンジ精神を養っていくことも重要です。

まとめ

海外と日本のユニコーン企業について、代表的な企業紹介や日本の現状などについて記述をしてきました。評価額が10億ドル以上などユニコーン企業の特徴や、海外と日本のユニコーン企業はどういった企業があるのかご認識いただけたかと思います。

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