コロナウイルス感染について
現在、新型コロナウイルスによって全世界が経験したことのない大きな問題に直面しています。
今年1月に中国の経済主要都市の一つでもある武漢で感染拡大を防ぐためにロックダウンされたことを機に、日本でもコロナウイルスの情報が報道され始めました。
その後、他の中国主要都市は勿論、中国へ行き来する国々にも感染が急激に拡大し、全世界がコロナウイルスの渦に巻き込まれている状態なっています。
5月30日時点での全世界の感染者は605万人を突破し、死者数はおよそ36.9万人にも上っています。
こうした脅威的な感染拡大を防ぐために、世界各国ではソーシャルディスタンスを取るなどのいわゆる「3密」を避ける行動や不要不急の外出自粛、都市封鎖「ロックダウン」などの対策をとっています。
日本を含む各国がそうした発令を解除し、経済活動を早急にスタートさせる方向ですが、第2波の警告や未だ3密を避ける行動を心掛けなくてはならない緊迫した世の中になっています。
コロナ以前の活発な動きを取り戻すことも厳しく、こうした状況によって経済、暮らし、仕事、教育といった様々な場面において私たちの日常生活に大きな支障をきたす状況になりました。
コロナで進むDX
私たちは社会のデジタル化によって、こうした状況下に置かれながらも、在宅勤務やオンライン授業、オンライン診察などができます。
勿論今までやっていたことの全てをまかなえているわけではありませんが、在宅でも必要最低限の仕事することができたり、逆に出勤しなくてもできる仕事の幅が広いことに気付き、無駄が省けた企業も多数存在します。
もしこの事態が100年前に起きていたら、きっとこのような対応をすることができず、もっと深刻な問題を抱えていたことでしょう。
こうしたITの進化に伴って新しいサービスやビジネスモデルを展開することでコストを削減し、社会の変革に繋げる施策を総称したものをデジタルトランスフォーメーション(以下DXと省略する)と言います。
技術自体は数年前から実現可能でしたが、日本企業特有の文化・商習慣によってDX導入が進まなかった企業様も、コロナ自粛をきっかけにDX導入が一気に加速した印象も持っております。
今回は、コロナショック真っ只中にいる現在、こうしたDXの進化によって世の中がどう変わっているのか最近の実例を取り上げ、今後海外でも需要が伸びるビジネスや海外展開アイデアなどについてお伝えしていきます。
身近で進むDXとその効果
日本では、4月7日から緊急事態宣言が公示され、5月25日に解除されました。
日本政府が1か月以上の外出自粛を要請したことで、日本社会はDXを進め、様々な場面において変革を起こしました。まずは仕事面からみていきます。
在宅勤務・テレワーク・オンライン授業・オンライン診察
在宅勤務体制がとられる企業が急激に増え、遠隔で書類や情報の共有を行ったり、ビデオ通話で会議を行えるツールが必須となりました。
Web会議システムで定番になっているツールはZoom やSkype、LINK Biz、MicrosoftのTeams、Google ハングアウト、Google meet、Cisco Webex Meetingsなどです。
このWeb会議システムは、顔が見られるだけではなく資料や画面を共有しながら対話ができます。
PCやスマートフォン端末から利用することができるため、専用機器をそろえる必要がない点も定番となる理由の一つです。
ビジネス用途であるものの、背景を自由にアレンジできるため、遊び心も持つことができることも人気の理由となっています。
ビジネスチャットツールいわばビジネス版のLINEとして利用者数が多いのはSlackやChatwork、Typetalkです。
リモートワークは耳から入る情報量が減るため、正確な情報共有が課題となっているため、こうしたオンライン上のビジネスコミュニケーションツール企業の円滑な業務進行に貢献し、経済を支えています。
在宅で働く人の中には育児や介護と両立しやすくなったり、出勤時間が無くなったことで仕事ができる時間が増える、企業側も交通費の負担額が削減できるというメリットもあります。
また、多くの企業の人事部採用担当では受験者とのWeb面接に最適なInterview makerというアプリケーションを使うところも増えています。
これは面接スケジュール管理や面接中の評価を瞬時に担当者間で共有できるといった面接業務に特化した機能が備わっています。
このように業務内容に合わせたツールも仕事の効率を上げ、それぞれの企業が直接の対面ではなくても求めている人材を集められる手助けとなっています。
一方で教育現場である小学校から大学までは休校措置が取られ、児童や学生が通常通りの授業を受けられなくなったことから、オンライン授業に切り替えた学校も多々あります。
オンライン授業では参加者数が多い場合にも閲覧制限のかからない環境を備えたり、共同作業上コミュニケーションが取れる機能が必要となります。
こうしたニーズに合わせて定番になっているオンラインツールはZoomやGoogle Classroom、Microsoft Teamsです。
この3つは先生と学生で1対1もしくは全員でチャットができる機能があり、Google Classroomは宿題の提出もできます。
また先生はミーティングIDとパスワード、URLを全員にメールで送る必要がなく、このClassroom内にアップするだけで学生に共有することができます。
先生の仕事の効率アップにもつながり、様々な学生の質問や先生の回答を見ることができるため、同じ質問を繰り返すこともなくなります。
特に新入生で学内に気軽に質問できる友達がおらず、精神的に不安になる学生もかなり多いため、そうした精神面も支える便利ツールとなっています。
また、医療の現場で進むDXもみていきましょう。
新型コロナウイルスの患者を受け入れている病院では、他の病で来院する患者が新規感染しないようにオンライン診療を行っている病院もあります。
オンライン診療に使われているアプリでApp Storeメディカルカテゴリ1位を誇っているCLINICS(Medley社)というものがあります。
これは予約、問診、診察、会計、処方という患者のニーズをすべて満たすことができる機能を持っています。
24時間予約が可能で問診票もアプリで回答し、保険証や医者に見せる資料もアプリで提出できます。
そして予約時間になるとアプリで医師から連絡が入りビデオ通話で診察を受けられ、3密状態になる待合室で待つ必要がなくなります。
診察後はアプリに登録したクレジットカードで自動決済。薬や処方箋は3日以内に自宅まで配送されます。
コロナウイルスが発生する前までは、どんな症状においても医師との直接対面で診察を受けることが一般的でした。
今では医者が患者の症状を聞くことさえできれば、適切な薬や治療法を提供できる場合もよくあるため、こうしたオンライン診療はコロナウイルス感染対策にも効果があり、患者の待ち時間や問診など看護師の仕事も減らすことができるため空いた分の時間を他のことに有効活用できるという利点があります。
DXで仕事の効率アップ
こうしたコロナショックの時代において、在宅勤務という新しい働き方が一般的となるため、タスクをしっかり管理する重要性は増していきます。
そのタスクを管理する上で、REDMINEなどのプロジェクト管理ツールを使い、タスクから様々なグラフを作ったり、タスクの追加・削除機能で管理の手間を省く機能を使いこなし、仕事の質と効率を上げていくことができます。
また、RPAの導入によって業務の効率化をはかる方法もあります。
RPAとは「Robotic Process Automation」の略語であり、事務作業を担うホワイトワーカーがPCなどを用いて行っている一連の作業を自動化できるソフトウェアロボットを指します。有名なツールとしては、UiPathなどがあげられます。
やることの決まった作業は人間よりもロボットの方がスピーディーで正確です。
ルールエンジンやAIなどの技術を持ったロボットがホワイトワーカーに代行して自動化していくのです。
このRPAを導入する企業が業務効率化や生産性向上といった成果が得られたとのことで2017年にRPAは大ヒットしました。
MM総研によるRPA国内利用動向調査2020の結果からは、実際に国内大手のRPA導入率が50%以上を記録しました。
それ以外にも民間企業や自治体での導入も進んでいます。
例えば、メールに添付されてきた情報をExcelファイルに「コピー&ペースト」して転記する作業や、FAXで届いた発注書の内容を手入力でEDI(電子データ交換)システムに入力する作業などがあります。
RPAの速度は、人間のパソコン操作速度の約3倍と言われています。
正確さや速さ以外にも、コスト削減、拡張性、分析なども得意分野としているため、導入のメリットが沢山あります。
しかしRPAはアクシデントや例外処理に弱く、柔軟に動けない点が短所となっています。
そうした問題に遭遇した時は、作業が止まってしまうため、判断を伴わない、単純な作業を行わせる際だけに利用して生産性と効率をアップさせていきましょう。
以上のことから、こうしたところにもDXの進化は経済の基盤を支え、役に立っていると言えます。
ネットインフラ整備の必要性
5Gネット回線速度
DXにおける様々なツールが進化していて、私たちの日常生活に大きなメリットを与えてくれることをお伝えしてきましたが、どのツールにおいても共通する大きな問題はネット回線の問題です。
実際、通信環境が悪く、アクセスできないといったトラブルが相次いでいます。
こうしたネット環境問題を解決するとして注目されていた5Gのネット回線ですが、最近あまり「5G」というワードを見聞きしません。
その理由は、5Gの利用地域が限定されすぎてしまっている問題があるからです。
東京都内だけでも、オリンピックアクアティクスセンター、東京スタジアム、羽田国際空港、東京スカイツリー、渋谷ストリート、渋谷スクランブルスクエア、ドコモショップ4店舗、ドコモのオフィスなどがある山王パークタワーなどのビルでしか使えない状況になっています。
コロナウイルスで外出自粛状態になっている現在では、今まで人でにぎわっていた上記のような場所には行けないため、今のところ5Gはあまり効果のない結果となってしまっています。
5Gのネットインフラを整備できていない最大の理由は、5G向けの周波数が高層ビルなどの障害物に弱いことや、衛生通信との電波干渉を受けてしまうといったことです。
世界的に見ても5Gを全国規模に拡大できている国は、先進国の中でも国の規模が比較的小さい韓国くらいしかないようです。
多くの人にインターネットサービスの提供を
こうしたDXはこれまでの無駄を省き、今後も需要が高まるため、発展していきます。
しかし、ネット回線速度がいくら速いものができてもそれを利用できないのであれば意味がありません。
ネットインフラの整備がしっかりできてからでないと、便利なツールが使いこなせないのです。
こうした課題を解決していく分野である、ネットインフラ整備のIT企業の需要が拡大する傾向が強いです。
そして通信媒体をもっていないお年寄りの人々なども、平等なDXサービスが受けられるようにしていくには、もっとPCやタブレット、スマートフォンなどインターネットが使用できるデジタル媒体を普及させていくことが必要です。
GAFAでもコロナショックで躍進した企業とそこまでだった企業
欧米やアジアなど世界中においても我々が身近で体験しているような形で、DXを必要とした世の中になっています。
GAFAと呼ばれるアメリカの巨大IT企業4社は世界のDXの柱ともいえる存在です。
GAFAの時価総額は東証1部上場企業全体の7割を占めている計算になります。
DXに大きな影響を与えているGAFAは需要と売上が今回のコロナでどれくらい増えているのかを下記で見ていきます。
Googleは、人々の検索数、広告クライアントが急激に増えたことや、クラウド関連製品・サービスが増えたことが予測できます。
そうした予測通りの売り上げで前年比で13.3%増加しました。
Amazon
Amazonは、コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界各国の都市にロックダウン、外出自粛要請が発令されたことなどを機に、ネット販売の需要が大幅に増加したため、売上も上がっていると予測できます。
しかし、感染拡大が懸念されている中、倉庫や配送部門の人員数を増やさなければならなかったため、賃金を上げて稼働させたり、マーケティング・研究開発に大幅なコストがかかりました。
前年同期に比べて26.4%売上高が増加しましたが、前期の売上高と比べると上昇にはあまり繋がらない状況になっています。
Facebookはこのコロナ期に入ってからサービスの利用者数が急激に増加し、それぞれ人々が日常生活におけるコロナの状況などをアップしたり、情報収集のために利用する人が増えているという予想ができます。
実際2月から3月の1ヵ月間、多くの国でメッセージの件数が50%以上増加、対話アプリのMessengerやWhatsAppといった音声ビデオ通話においては、感染者が多い国で2倍以上利用者が増えました。
そのため、前年同期比でも17.0%売上高が上昇しました。
Apple
Appleは結論から言うと0.5%しか前年同期比で増加しませんでした。
主力のスマートフォンであるiPhone、タブレットのiPad、パソコンのMacはいずれも売上高が減少だったからです。
しかし、Apple WatchやApple TV、AirPodsなどの他製品の売上高が22.5%上昇したため、プラスマイナスで計算してこの結果となったわけです。
こうしたコロナショックの時代でも、GAFAは売上高を前年同期比よりも確実に上げています。
また今の段階は、初めてのコロナショック対策によるマーケティング戦略や研究開発費の膨らみで、あまり実績が出せなかったところもありますが、今後はそうしたコストも減ってくると考えられるので、GAFAはさらなるDX進化を遂げていくでしょう。
まとめ
これまでコロナショックの真っ只中にいる現在、DXの進化によって世の中にどのような変化が見られ、何が新たな問題となっているのか、身近な所から紹介し、今後の需要なども踏まえながらお伝えしてきました。
DXの進化が加速する現代では、GAFAをはじめとするIT企業が、コロナウイルスが流行している現在も、終息後も変わらず、国境を越えて世界の人々の需要を満たすサービス・製品を展開させていくことができる、もっとも強力な業界だと言えます。
コロナショック時代でも力を持ち続けているIT企業との連携やDXを活かしてビジネスを海外に拡大させていく方法もあるのではないでしょうか。